関電工・2026年3月期通期、営業利益42.5%増の831億円——半導体・再開発需要が追い風、300億円の自社株買いも実施
売上高
7,420億円
+10.4%
通期予想
7,800億円
営業利益
831億円
+42.5%
通期予想
900億円
純利益
635億円
+49.9%
通期予想
650億円
営業利益率
11.2%
関電工が発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前期比 10.4%増 の 7,420億2,200万円 、営業利益が同 42.5%増 の 831億4,000万円 と、大幅な増収増益を記録しました。AI・半導体関連の工場建設や都心部の再開発需要が堅調に推移したことに加え、徹底した工程管理による収益改善が寄与しました。また、株主還元として 300億円規模の自社株買い と大幅な増配を決定し、市場の期待に応える積極的な資本政策を打ち出しています。
関電工 2026年3月期 通期決算
さくら × けんじ の対話形式解説
業績のポイント
2026年3月期の業績は、主要な全指標で前年を大きく上回る好決算となりました。売上高は 7,420億2,200万円 (前期比 +10.4% )、営業利益は 831億4,000万円 (同 +42.5% )、親会社株主に帰属する当期純利益は 635億1,600万円 (同 +49.9% )に達しています。
好調の背景には、民間の活発な建設投資があります。特に AI・半導体分野の工場建設 や、首都圏を中心とした大規模なオフィスビルの新築・更新需要が利益を押し上げました。電力設備投資においても、送配電網の老朽化対策(レジリエンス強化)に向けた工事が計画通りに進捗し、安定した収益基盤となりました。
利益面では、現場の収支管理を徹底したことが奏功しました。バックオフィス機能の拡充による業務効率化や、現場情報の一元化を通じて、資材高騰などの外部要因を跳ね返す 利益率の向上(営業利益率11.2%) を実現しています。
| 指標 | 前期実績(2025/3) | 当期実績(2026/3) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,718億円 | 7,420億円 | +10.4% |
| 営業利益 | 583億円 | 831億円 | +42.5% |
| 経常利益 | 594億円 | 849億円 | +42.8% |
| 当期純利益 | 423億円 | 635億円 | +49.9% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力の設備工事業が全体の成長を牽引し、利益の大半を稼ぎ出す構造がより強固になりました。
■設備工事業
セグメント売上高は 7,317億8,300万円 (前期比 +10.7% )、セグメント利益は 806億8,700万円 (同 +43.1% )と極めて高い伸びを見せました。半導体工場やデータセンターなどの 高付加価値案件の獲得 が進んだほか、カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギー関連の導入工事も堅調でした。また、電力インフラの維持・向上に関わる工事が継続的に発生したことも収益の下支えとなりました。
■その他
電気機器の販売や不動産賃貸、リース、発電事業などを含む本セグメントの売上高は 502億5,200万円 (前期比 +15.9% )、セグメント利益は 24億4,600万円 (同 +25.1% )となりました。主力の工事業に付随するサービスが着実に伸長し、グループ全体の収益源の多様化に貢献しています。
| セグメント名 | 売上高 | 営業利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 設備工事業 | 7,317億円 | 806億円 | 11.0% |
| その他 | 502億円 | 24億円 | 4.9% |
| 連結合計 | 7,420億円 | 831億円 | 11.2% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 設備工事業 | 7,318億円 | 99% | 807億円 | 11.0% |
| その他 | 503億円 | 7% | 24億円 | 4.9% |
財務状況と資本政策
当期は収益力の向上を背景に、極めて強力な株主還元策を打ち出しました。
財務面では、営業活動によるキャッシュ・フローが 894億5,100万円の収入 となり、前期(182億円)から大幅に改善しました。これにより、自己資本比率は 61.4% と高水準を維持しつつ、 約300億円の自社株買い を実施するなど、資本効率の向上を重視する姿勢を鮮明にしています。
配当についても大幅な増額を実施します。2026年3月期の年間配当は前期の82円から42円増の 124円 とし、さらに2027年3月期には 130円 への増配を計画しています。中期経営計画で掲げる 配当性向40%程度 という目標に基づき、利益成長を直接的に株主へ還元する方針です。
通期見通し
2027年3月期の連結業績は、引き続き増収増益を見込んでいます。国内の建設投資は、半導体・データセンター向けが引き続き旺盛であるほか、首都圏の大型再開発プロジェクトが目白押しであり、受注環境は良好です。
営業利益は前期比 8.3%増 の 900億円 を目指します。懸念される労務コストの上昇や資材価格の変動に対しても、デジタル技術を活用した施工管理の高度化によって吸収する構えです。電力事業においても、再生可能エネルギーの導入拡大や送配電網の増強需要が継続するため、安定した成長が期待されます。
| 項目 | 2026/3 実績 | 2027/3 予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,420億円 | 7,800億円 | +5.1% |
| 営業利益 | 831億円 | 900億円 | +8.3% |
| 親会社株主純利益 | 635億円 | 650億円 | +2.3% |
リスクと課題
好調な業績の裏で、会社側は以下のリスク要因を注視しています。
- 外部環境の不確実性: 中東情勢の緊迫化による原油・資材価格への波及、および世界経済への影響が懸念されています。
- 労働力不足の深刻化: 建設業界共通の課題である熟練技術者の不足に対し、同社は分業化やAI活用による省人化を急いでいます。
- 地政学リスク: サプライチェーンの混乱が国内の工場建設スケジュールに遅延をもたらすリスクがあります。
- 競争環境の変化: 成長分野である再エネ・データセンター市場における競争激化が、将来的な利益率に与える影響を精査する必要があります。
関電工の今期決算は、まさに「建設・インフラセクターの優等生」と呼べる内容です。特筆すべきは営業利益率の改善(8.7%→11.2%)で、単なる受注増だけでなく、内部のDXや工程管理が実を結んでいることが伺えます。
投資家にとって最大のポジティブサプライズは、300億円という巨額の自社株買いと、配当性向40%を掲げた大幅増配でしょう。かつての「電力会社の下請け」というイメージから脱却し、AI・半導体という成長エンジンを捉える独立系エンジニアリング企業としての評価を固めつつあります。
懸念点は2027年3月期の利益成長鈍化(純利益+2.3%)ですが、これは今期の伸びが非常に大きかった反動(巡航速度への回帰)と捉えるのが妥当です。就活生にとっても、安定したインフラ基盤を持ちつつ、AIや再エネといった先端分野で稼ぐ力を持つ同社の魅力は高いと言えるでしょう。
