コクヨ、2026年12月期第3四半期決算、増収増益も流通事業は減益

コクヨの2026年12月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比9.2%増、営業利益が8.8%増、純利益が8.0%増となり、増収増益でした。国内オフィス需要や文具の海外販売、購買管理サービスの拡大が売上を押し上げました。一方、競争対応や成長投資でビジネスサプライ流通事業は減益となり、通期予想も据え置きました。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,902億円 | +9.2% | 3,900億円 | 74% |
| 営業利益 | 234億円 | +8.8% | 270億円 | 87% |
| 純利益 | 181億円 | +8.0% | 203億円 | 89% |
| 営業利益率 | 8.1% | |||
この決算のポイント
- 1ファニチャー事業は売上高が前年同期比11.3%増、営業利益は12.3%増と全社業績を牽引
- 2ビジネスサプライ流通事業は売上高5.9%増に対し、営業利益は競争対応などで16.8%減
- 3ステーショナリー事業はCampusブランドや中国での販売が寄与し、営業利益が前年同期比18.4%増
- 4自己株式を約150億円取得し、10月には発行済み株式の5.44%に当たる株式の消却を決議
- 52026年12月期の通期予想は据え置き。中東情勢による原材料・物流費の上昇を織り込み済み
業績のポイント
コクヨ(コクヨ)は2026年1~9月、売上高と営業利益、純利益がそろって前年同期を上回りました。売上総利益率は前年同期並みを保ちつつ、成長に向けた経費や体制強化の支出も増え、営業利益の伸びは売上高の伸びをやや下回りました。
- 売上高: 2,901億円で前年同期比9.2%増。ファニチャー事業の案件獲得や「べんりねっと」、ステーショナリー事業の海外販売が寄与
- 営業利益: 233億円で前年同期比8.8%増。増収効果があった一方、販売費及び一般管理費は9.6%増
- 経常利益: 247億円で前年同期比13.4%増。前年同期の為替差損に対し、当期は為替差益を計上
- 純利益: 180億円で前年同期比8.0%増。固定資産・投資有価証券の売却益が前年より減ったものの、経常増益が補った
主要事業の伸びで増収増益。売上総利益率は40.6%で前年同期並みでしたが、販管費率は前年同期から0.1ポイント上昇しました。各事業の成長施策や体制強化を進めるための支出が利益の伸びを抑えた形で、今後は投資が継続的な売上・利益成長につながるかが焦点です。
セグメント別動向
4つの主要事業はいずれも増収でしたが、利益の動きには差が出ました。ファニチャーとステーショナリーが利益成長をけん引する一方、ビジネスサプライ流通は増収減益となりました。
ファニチャー事業は、売上高1,433億円(前年同期比11.3%増)、営業利益235億円(同12.3%増)でした。国内の新築オフィス移転・リニューアル需要を取り込み、顧客の働き方に合わせた提案や業務効率化で収益性も改善しました。インドでは新規連結会社の寄与に加え、大型案件の獲得が進みました。
ビジネスサプライ流通事業は、売上高822億円(同5.9%増)、営業利益28億円(同16.8%減)でした。「べんりねっと」の利用拡大や「カウネット」のEC売上増で流通総額は成長しましたが、大規模セールなど競争への対応と将来成長に向けた投資負担が利益を圧迫しました。
ステーショナリー事業は、売上高680億円(同9.3%増)、営業利益65億円(同18.4%増)でした。国内ではCampusブランドの「まなびかた」提案がBtoC販売を後押しし、中国では女子中高生向けの商品投入や店舗・ECの拡大が成長に寄与しました。インドでは競争激化が課題です。
インテリアリテール事業は、売上高177億円(同1.7%増)、営業利益7億円(同40.5%増)でした。前年の大型法人案件の反動減を、店舗の販促やEC拡大で補いました。小規模なその他事業は営業赤字が前年同期より拡大しており、主力事業との収益力の差も続いています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ファニチャー事業 | 1,420億円 | 49% | 236億円 | 16.6% |
| ビジネスサプライ流通事業 | 779億円 | 27% | 29億円 | 3.7% |
| ステーショナリー事業 | 524億円 | 18% | 65億円 | 12.4% |
| インテリアリテール事業 | 177億円 | 6% | 8億円 | 4.3% |
| その他 | 1億円 | 0% | -4億円 | -282.9% |
通期見通し
コクヨは2026年12月期の連結業績予想を、2026年2月に公表した水準から変更していません。売上高は前期比増を見込む一方、営業利益は小幅増、純利益は減少する計画です。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 | 前期実績 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 390,000 | 390,000 | +8.4% | 短信に記載なし |
| 営業利益(百万円) | 27,000 | 27,000 | +2.9% | 短信に記載なし |
| 経常利益(百万円) | 26,800 | 26,800 | -1.6% | 短信に記載なし |
| 親会社株主に帰属する純利益(百万円) | 20,300 | 20,300 | -5.5% | 短信に記載なし |
今回の短信では業績予想の修正はなく、中東情勢に伴う原材料費・物流費の一定の上昇をすでに織り込んでいます。第3四半期までの好調な進捗を受けて上方修正するのではなく、コスト上昇や外部環境の不確実性を踏まえて予想を維持した判断とみられます。前期実績の通期数値はこの短信に記載されていないため、表では補っていません。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前期末から減少しましたが、自己資本比率は74.8%と高い水準です。営業キャッシュフローは前年同期を上回った一方、設備投資や自己株式取得、配当支払いで資金が流出しました。
| 項目 | 2026年9月末・累計 | 前期末・前年同期との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 3,265億円 | 前期末比285億円減 |
| 自己資本比率 | 74.8% | 前期末の70.9%から上昇 |
| 営業キャッシュフロー | 114億円 | 前年同期の77億円から増加 |
| 投資キャッシュフロー | マイナス139億円 | 前年同期より支出が97億円増加 |
| 財務キャッシュフロー | マイナス266億円 | 自己株式取得・配当が主な支出 |
営業キャッシュフローの増加には、利益の積み上げや売上債権の減少が寄与しました。一方、仕入債務の減少などが資金を押し下げ、投資活動では新本社移転や東北IDC構築を含む設備投資に161億円を支出しました。
株主還元では、4月から9月に自己株式を約150億円取得し、取得は9月8日に終了しました。10月29日には自己株式2,400万株の消却を決議し、11月26日の実施を予定しています。年間配当予想は株式分割後換算で1株24円50銭で、前年の分割後換算額と同水準です。
リスクと課題
コクヨは国内需要やデジタル購買の拡大を取り込む一方、地政学リスクや海外景気、事業ごとの競争環境の変化に直面しています。会社は外部環境の不確実性を踏まえ、コスト上昇を通期予想に織り込んでいます。
- 中東情勢とコスト上昇: 原材料費・物流費の上昇が利益を圧迫する可能性があり、一定のコスト増は現行の通期予想に織り込み済み
- 海外景気の減速: 中国ではファニチャー需要の弱さや景気減速が続き、事業成長の重荷となる可能性
- 競争激化と販促負担: ビジネスサプライ流通では大規模セールなどの競争対応が利益を押し下げ、インドのステーショナリー事業でも競争が強まっている
- 需要・政策の不透明さ: 米国の政策動向やインフレ圧力などで経済環境が変われば、企業のオフィス投資や消費者需要に影響する可能性
特に流通事業では、顧客基盤と取扱高を広げる施策が利益率の改善につながるかが課題です。成長投資を続けながら費用を管理し、売上の拡大を利益成長へ結び付けられるかが今後の確認点となります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
861.5円
最新終値(2026/10/29)
861.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
コクヨをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてその他製造業界の今
掲載10社コクヨはその他製造業界の掲載10社中、売上高で2位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +15.3%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +1.5%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 3社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 9.2%
- コクヨ−0.4%
- その他製造(業界平均)+15.3%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第2四半期累計は3社合計で売上高+6.2%・営業利益+8.0%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は3社、下回る企業は2社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは3社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのは三菱鉛筆(営業利益+9.5%)。






タグ#コクヨ#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#Campus#べんりねっと#自己株式消却#オフィス家具
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全社では増収増益ですが、稼ぎ頭のファニチャーに加えてステーショナリーも伸びており、事業の成長源が複数ある点は評価できます。国内オフィス需要を捉えながら、Campusや購買管理サービスを通じて顧客接点を広げていることも強みです。
一方で、流通事業は売上を伸ばしながら利益を落としており、成長のための投資と競争対応がどこまで続くかが気になります。自己株式の消却は株主還元への姿勢を示しますが、今後は投資の成果と利益率の回復を確認したい決算です。
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