株式会社ミスミグループ本社 の会社詳細
株式会社ミスミグループ本社
ミスミグループ本社
2026年3月期 第3四半期

ミスミグループ本社・2026年3月期第3四半期、売上高は過去最高の3,206億円——Fictiv買収による費用先行で利益は10.7%減

ミスミグループ本社
9962
増収減益
Fictiv
M&A
meviy
設備投資
自社株買い
増配
上方修正
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

3,207億円

+6.3%

通期予想

4,400億円

進捗率73%

営業利益

323億円

-10.7%

通期予想

462億円

進捗率70%

純利益

230億円

-18.4%

通期予想

339億円

進捗率68%

営業利益率

10.1%

ミスミグループ本社が30日に発表した2026年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比 6.3%増3,206億6,100万円 となり、同期間として過去最高を更新しました。一方で営業利益は同 10.7%減322億6,400万円 にとどまり、増収減益の着地となりました。米国の製造業向けプラットフォームを運営する Fictiv Inc.の連結子会社化 に伴う買収関連費用の計上や、先行投資の継続が利益を押し下げた形ですが、同社は成長への布石と位置づけています。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の業績は、売上高が 3,206億6,100万円(前年同期比 +6.3%)と増収を確保した一方で、各利益項目は軒並み減少しました。営業利益は 322億6,400万円(同 -10.7%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 230億2,700万円(同 -18.4%)となりました。売上高の成長を牽引したのは、中国・アジア地域における通信関連や半導体関連の堅調な需要です。

利益面での苦戦は、主に成長に向けた積極的な 戦略投資と外部環境の変化 が重なったことによるものです。2025年7月に完了した米国 Fictiv Inc. の買収に関連する一時的な費用が発生したほか、グローバルでの拠点網拡充やIT投資を継続しました。また、主要顧客である自動車関連産業において、米国の関税政策への警戒感や円安の長期化を背景に設備投資の膠着状態が続いたことも、利益率の高い国内事業を中心に重石となりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力3事業のうち、FA事業が二桁増収を達成した一方で、利益面では各セグメントで明暗が分かれました。

FA(ファクトリー・オートメーション)事業は、売上高 1,159億1,900万円(前年比 +13.5%)と大きく伸長しました。日本国内の設備投資は低調でしたが、中国での通信関連需要の攻略に加え、オンライン機械部品調達サービス「meviy(メヴィー)」の成長やFictiv社の連結寄与が売上を押し上げました。利益面では買収関連費用の計上により、営業利益 140億4,500万円(同 -19.8%)の減益となりました。

金型部品事業は、売上高 652億300万円(前年比 +0.7%)、営業利益 62億8,500万円(同 -10.4%)でした。アジア地域での成長が一部寄与したものの、米国や日本における自動車生産の停滞による影響を強く受け、利益率が低下しました。

VONA事業(他社ブランド品を含む流通事業)は、売上高 1,395億3,800万円(前年比 +3.6%)、営業利益 119億3,300万円(同 +2.7%)と、増収増益を確保しました。中国・アジアを中心に製造現場の消耗品(MRO)需要を確実に捉え、全社利益の下支え役を果たしました。

セグメント売上高 (百万円)前年同期比営業利益 (百万円)前年同期比
FA事業115,919+13.5%14,045-19.8%
金型部品事業65,203+0.7%6,285-10.4%
VONA事業139,538+3.6%11,933+2.7%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
FA事業1,159億円36%140億円12.1%
金型部品事業652億円20%63億円9.6%
VONA事業1,395億円44%119億円8.6%

財務状況と資本政策

当第3四半期末の総資産は、前連結会計年度末比 185億2,400万円増4,380億9,900万円 となりました。特筆すべきは無形固定資産の急増で、Fictiv社の取得に伴い 「のれん」を530億8,700万円計上 しています。これにより自己資本比率は 83.0% と、高水準ながらも前年度末(83.2%)から微減しました。

株主還元については、積極的な姿勢を崩していません。当期間中に約 170億円 の自己株買い(745万1,500株)を実施したほか、配当予想を修正しました。期末配当は 26.04円 とし、年間配当は前期実績(43.21円)を上回る 44.06円 となる見込みです。買収による一時的な減益局面においても、機動的な資本政策を通じて投資家への還元を維持する判断を示しています。

通期見通しの修正

2026年3月期の通期業績予想について、売上高と営業利益をそれぞれ上方修正しました。Fictiv社の連結化による売上高の純増に加え、足元の需要回復や自社施策による数量増が寄与する見通しです。前提となる為替レートは、1ドル=155.0円、1ユーロ=182.0円、1人民元=22.0円に設定されています。

項目前回予想今回修正前期実績 (2025/3)
売上高432,000440,000401,987
営業利益45,50046,20046,505
親会社株主純利益33,90033,90036,527

リスクと課題

同社が直面する主な課題は、外部環境の不透明感と買収後の統合プロセス(PMI)に集約されます。

  • 地政学・通商リスク: 米国の関税政策の変更や、それに伴う製造業各社の生産拠点シフトが、同社の主要顧客である自動車・FA産業の需要を抑制するリスクがあります。
  • 自動車産業の停滞: 日本・米州における自動車関連の稼働膠着が長引けば、利益率の高い金型部品事業の回復が遅れる可能性があります。
  • PMIの成否: 巨額ののれんを計上したFictiv社の統合が順調に進み、期待通りのシナジー(受注拡大やコスト効率化)を創出できるかが、中期的な収益性回復の鍵を握ります。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、製造業のデジタルプラットフォームを運営する米Fictiv社の買収に伴う「攻めの減益」です。530億円もの「のれん」計上は、伝統的なカタログ販売からデジタル・オンデマンド製造へのシフトを加速させる同社の強い覚悟を感じさせます。

短期的には買収費用が利益を圧迫していますが、通期予想を上方修正した点は、既存事業の底堅さと新事業への自信の表れと見てよいでしょう。

懸念点は、やはり自動車産業の停滞と、トランプ政権復活等に伴う米国の通商政策です。製造業のサプライチェーンが再編される中で、ミスミの「確実短納期」という強みがどう機能するか、今後のPMIの進捗とともに注視が必要です。