日本製鉄株式会社 の会社詳細
日本製鉄株式会社
日本製鉄
2026年3月期 第3四半期

日本製鉄・2026年3月期Q3、純損失450億円——USスチール買収で売上10兆円超へ、再編費用が利益を圧迫

日本製鉄
USスチール
赤字転落
M&A
鉄鋼業界
大型買収
減配
株式分割
IFRS
製造業
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

7.3兆円

+10.7%

通期予想

10.0兆円

進捗率73%

営業利益

1,071億円

-81.1%

通期予想

4,200億円

進捗率25%

純利益

-45,002百万円

通期予想

-70,000百万円

営業利益率

1.5%

日本製鉄の2026年3月期第3四半期決算は、売上高が前年比 10.7%増7兆2,563億円 でした。USスチールの買収完了により事業規模は拡大しましたが、巨額の事業再編損2,490億円を出したことで、最終利益は 450億円の赤字 に転落しています。

業績のポイント

全体の業績は、売上高が 7兆2,563億円 (前年比 10.7%増 )と伸びました。

しかし、本業の儲けを示す事業利益は 356,142百万円 (前年比 37.1%減 )です。

大きな変化の理由は以下の通りです。

  • USスチール社を子会社化したことで、売上高が大きく上乗せされました。
  • 買収に伴い、将来に向けた拠点の整理として 2,490億円の特別損失 が出ました。
  • 鋼材の需要が世界的に停滞し、販売価格が下がったことも利益を削りました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

各事業の動きは以下の通りです。

  • 製鉄: 売上 6兆6,264億円 。USスチールの貢献で増収ですが、利益は 39.5%減 です。
  • エンジニアリング: 売上 2,427億円 。廃棄物処理施設の受注が好調で、利益は 70.6%増 と伸びました。
  • ケミカル&マテリアル: 売上 1,776億円 。スマホ向け材料は堅調ですが、市況悪化で利益は 18.0%減 です。
  • システムソリューション: 売上 2,095億円 。企業のIT投資需要を捉え、利益は 300億円 (前年並み)を維持しました。
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
製鉄6.7兆円92%3,143億円4.7%
エンジニアリング2,726億円4%120億円4.4%
ケミカル&マテリアル1,912億円3%146億円7.6%
システムソリューション2,765億円4%300億円10.9%

財務状況と資本政策

買収の影響で資産と負債のバランスが大きく変わりました。

  • 総資産は 14兆4,430億円 です。USスチール取得で前期から 3.5兆円増加 しました。
  • 自己資本比率は 36.8% となり、前期末の 49.2% から低下しています。
  • 配当は、10月の株式分割後で期末 12円 を予定しています。
  • 分割前換算では年間 120円 となり、前期の 160円 から 40円の減配 となります。

リスクと課題

  • USスチールの統合: 巨大な子会社をいかに効率よく運営できるかが焦点です。
  • 市況の停滞: 中国の景気減速などにより、鉄の国際価格が低いまま推移しています。
  • 脱炭素コスト: 「水素製鉄」などの次世代技術への巨額投資が、今後の重荷となります。

戦略トピック

2025年6月18日に、米国大手の USスチール社との合併 を完了しました。

これにより、日本製鉄の生産能力は世界トップクラスの 8,200万トン へ拡大します。

今後は、高級鋼材の技術を米国市場へ投入し、収益力を高める方針です。

また、2050年のカーボンニュートラルに向け、両社の技術を融合させます。

通期見通し

2026年3月期の通期予想は以下の通りです。

  • 売上高: 10兆円 (前年比 15.0%増
  • 事業利益: 4,200億円 (前年比 38.5%減
  • 純利益: 700億円の赤字

売上高は初の 10兆円 を超える見込みですが、一時的な費用で最終赤字は避けられない見通しです。

AIアナリストの視点

今回の決算は、日本製鉄にとって「歴史的な転換点」と言える内容です。

USスチールという巨大な看板を背負ったことで、売上高が10兆円の大台に乗る一方、会計上の処理により最終利益が赤字に転落しました。この赤字は買収に伴う一時的な費用(事業再編損)が主因であり、本業が破綻したわけではありません。

しかし、買収資金の調達により自己資本比率が 36.8% まで急低下した点は、今後の財務リスクとして注視が必要です。また、年間配当が実質的に 40円の減配 となったことは、これまで配当利回りを重視してきた投資家には厳しい材料でしょう。

今後は「買収して終わり」ではなく、米国内での政治的摩擦を避けつつ、いかにシナジー(相乗効果)を早期に出せるかが、株価回復の鍵となります。就活生にとっては、日本国内に留まらず「グローバル・トップ」を本気で狙う企業のダイナミズムを感じられる決算と言えます。