日清オイリオ、2027年3月期第1四半期決算、営業利益70%増で大幅増益

日清オイリオの2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比15.4%増、営業利益は70.7%増と大幅な増収増益でした。油脂製品の販売数量と価格が上向き、海外の加工油脂事業も伸びました。一方、純利益は前年の固定資産売却益の反動で79.3%減。通期予想は据え置き、年間配当予想は株式分割後の60円です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,524億円 | +15.4% | 5,900億円 | 26% |
| 営業利益 | 64億円 | +70.7% | 190億円 | 34% |
| 純利益 | 34億円 | -79.3% | 120億円 | 29% |
| 営業利益率 | 4.2% | |||
この決算のポイント
- 1油脂の販売数量増加や価格改定が寄与し、営業利益は前年同期比70.7%増の64億円。
- 2海外のグローバル油脂・加工油脂事業は販売数量と粗利単価が伸び、営業利益が大きく増加。
- 3加工食品・素材はチョコレート原価上昇やMCTの数量減で、営業利益が前年同期比34.0%減。
- 4純利益は前年の固定資産売却益の反動で79.3%減。通期業績予想に変更はなし。
- 5年間配当予想は株式分割後で60円。当四半期に自己株式586万株を消却。
業績のポイント
日清オイリオ(日清オイリオグループ)は、2027年3月期第1四半期に増収増益となりました。売上高は前年同期比15.4%増、営業利益は70.7%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は79.3%減です。
- 売上高: 1,524億円で前年同期から203億円増。油脂製品の販売数量増加と価格改定が寄与しました。
- 営業利益: 64億円で前年同期から26億円増。販売単価の上昇や海外事業の採算改善が押し上げました。
- 経常利益: 52億円で前年同期比66.6%増。一方、持分法投資損失や支払利息などの営業外費用は増えました。
- 純利益: 34億円。前年同期に計上した固定資産売却益231億円がなくなった反動が大きく、営業増益とは異なる動きです。
本業は大幅増益、純利益は売却益の反動という構図です。前年同期は固定資産売却益に加え減損損失も計上しており、純利益の前年比だけでは事業の稼ぐ力を判断しにくい決算でした。営業利益の増加は、国内外での価格改定と販売数量の伸びが利益に結びついたことを示します。
セグメント別動向
グローバル油脂・加工油脂事業は、売上高が前年同期比44.9%増となり、営業利益も大幅に伸びました。マレーシアのIntercontinental Specialty Fatsでチョコレート用油脂などの販売数量が増え、円安による換算効果も売上を押し上げました。粗利単価の改善やパーム油取引の時価評価も利益増に寄与しました。
油脂・油糧および加工食品・素材事業は、売上高が前年同期比6.4%増、営業利益は11.7%増でした。油脂・油糧では業務用、加工用、家庭用の販売数量と単価が上昇した一方、加工食品・素材はチョコレート原価の上昇やMCTの販売数量減少で減益でした。
ファインケミカル事業は、売上高が前年同期比23.7%増、営業利益は38.1%増。中国・東南アジアの需要に加え、国内のクレンジング品やメイクアップ品への新規採用が販売数量を押し上げました。
| 報告セグメント | 営業利益の前年同期比 |
|---|---|
| グローバル油脂・加工油脂 | +410.2% |
| 油脂・油糧および加工食品・素材 | +11.7% |
| ファインケミカル | +38.1% |
海外油脂事業が利益成長をけん引しました。ただし、加工食品・素材のうちチョコレートは市場縮小が続き、価格改定で売上を保っても原価上昇が利益を圧迫しています。油脂コストや物流費、為替、パーム油相場の変化が、今後の採算を左右します。
- グローバル油脂+410.2%
- 油脂・加工食品+11.7%
- ファインケミカル+38.1%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| グローバル油脂・加工油脂事業 | 401億円 | 26% | 25億円 | 6.3% |
| 油脂・油糧および加工食品・素材事業 | 1,048億円 | 69% | 33億円 | 3.1% |
| ファインケミカル事業 | 46億円 | 3% | 6億円 | 12.1% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前期末比で8億円増の4,520億円、自己資本比率は46.9%と前期末から0.3ポイント上昇しました。現金及び現金同等物は前期末から67億円減り、183億円となりました。
| 項目 | 2027年3月期第1四半期 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 4,520億円 | 前期末比+8億円 |
| 自己資本比率 | 46.9% | 前期末46.6% |
| 営業キャッシュ・フロー | -38億円 | 前年同期は-98億円 |
| 投資キャッシュ・フロー | -41億円 | 前年同期は+39億円 |
| 財務キャッシュ・フロー | +9億円 | 前年同期は+57億円 |
| 年間配当予想 | 60円 | 中間30円、期末30円 |
営業キャッシュ・フローは赤字でしたが、前年同期より支出が縮小しました。売上債権と棚卸資産の増加、法人税の支払いが資金を押し下げ、投資活動では有形固定資産の取得に44億円を支出しています。
2026年4月1日付で普通株式を1株につき3株に分割しており、前期の年間配当180円は分割後換算で60円に相当します。したがって今期の配当予想は分割調整後で前期と同水準です。当四半期には自己株式586万株を消却しましたが、短信に当四半期の自社株買い実施の記載はありません。
- 営業活動-38億円
- 投資活動-41億円
- 財務活動+9億円
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は据え置きです。売上高5,900億円、営業利益190億円、親会社株主に帰属する当期純利益120億円を見込みます。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,900億円 | 5,900億円 | 短信に記載なし |
| 営業利益 | 190億円 | 190億円 | 短信に記載なし |
| 純利益 | 120億円 | 120億円 | 短信に記載なし |
会社は2026年5月12日に公表した予想から変更していません。売上高は前期比6.4%増、営業利益は11.6%増を見込む一方、純利益は前年に固定資産売却益を計上した反動で50.0%減の計画です。
第1四半期の営業利益は通期予想の約34%に当たりますが、油脂原料や物流費の上昇、消費者の節約志向、中東情勢など不確定要因があります。会社は情勢の変化で予想修正が必要になれば速やかに開示するとしています。
リスクと課題
営業利益は増えましたが、原料市況や為替、国内消費の動向によって価格転嫁や販売数量が変われば、利益計画に影響する可能性があります。短信で示された主な外部環境と事業上の課題は次の通りです。
- 油脂原料の価格変動: パーム油はインドネシアのバイオ燃料政策や生産懸念を背景に上昇しました。大豆・菜種相場も中東情勢などで動いており、原料高が販売価格に転嫁できなければ採算が悪化します。
- 物流費・エネルギーコスト: コスト上昇が続けば、価格改定後も利益率を押し下げるおそれがあります。販売価格への反映とコスト削減の両立が必要です。
- 消費者の節約志向: 国内では節約志向が続き、家庭用油脂や加工食品の販売数量に影響する可能性があります。
- 中東情勢と供給不安: 情勢悪化は原料相場や調達環境の変動につながります。加工用油脂では供給懸念が需要を押し上げた一方、先行きの不透明さも増しています。
- チョコレート市場の縮小と原価高: チョコレート価格の高騰で市場規模が縮小し、原価上昇も利益を圧迫しています。販売数量と採算の回復が課題です。
会社は「ビジョン2030」の重点領域を成長ドライバーとし、中期経営計画「Value UpX」で2028年度にROE8.0%以上、ROIC6.0%以上を目指しています。成長投資と並行して、資産効率と収益性を高められるかが今後の焦点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
1,856円
最新終値(2026/10/23)
2,076円+11.9%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#日清オイリオ#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#油脂事業#加工油脂#配当#原料価格
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
営業利益の伸びは、価格改定だけでなく販売数量の増加も伴っており、原料高を販売価格に反映する力が表れています。特に海外の加工油脂が利益を押し上げた点は、国内の成熟市場を補う成長源として注目できます。
一方、純利益の大幅減は前年の資産売却益の反動が中心で、本業の急悪化を示すものではありません。ただし加工食品・素材では原価上昇が利益を削り、営業キャッシュ・フローも赤字です。原料高の転嫁を続けながら、数量を落とさず利益とキャッシュを確保できるかが次の四半期の見どころです。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/nisshin-oillio/report/2027-Q1
関連記事
競合他社の最新記事
- 決算解説JT2026年12月期 第2四半期(中間期)JT、2026年12月期第2四半期(中間)決算、売上収益17.7%増で通期予想を上方修正

- 決算解説アサヒ2026年12月期 第2四半期(中間期)アサヒ、2026年12月期第2四半期決算、営業利益56%増も実質為替除き減益

- 決算解説キリン2026年12月期 第2四半期キリン、2026年12月期第2四半期決算、大幅増益と通期上方修正、Jamieson買収発表

- 決算解説サントリー食品2026年12月期 第2四半期サントリー食品、2026年12月期第2四半期決算、増収もコスト高で利益伸び悩み

- 公正取引委強制調査アサヒ10月7日アサヒHD傘下アサヒビール、独占禁止法違反疑いで公正取引委に強制調査受ける

- 個人情報漏えいキリン10月16日キリンHD傘下ファンケルで個人情報漏えい、ファンケル・アテニア計78万5496人に影響

掲載企業

日清オイリオグループ株式会社
東証 2602
これが最新の決算解説です





