業界ダイジェスト
野村不動産ホールディングス株式会社 の会社詳細
野村不動産ホールディングス株式会社
野村不動産ホールディングス
2026年3月期 通期

野村不動産・2026年3月期通期、売上高24.4%増の9,425億円で大幅増益——住宅・都市開発が牽引、次期売上は1兆円の大台へ

野村不動産ホールディングス
3231
増収増益
株式分割
配当性向
不動産開発
マンション販売
1兆円企業
資産売却
DOE
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

9,425億円

+24.4%

通期予想

1.1兆円

進捗率87%

営業利益

1,382億円

+16.2%

通期予想

1,400億円

進捗率99%

純利益

829億円

+10.8%

通期予想

860億円

進捗率96%

営業利益率

14.7%

野村不動産ホールディングスが24日に発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前期比 24.4%増9,425億円、事業利益が 17.8%増1,473億円 となり、大幅な増収増益を達成した。国内のマンション分譲が堅調に推移したことに加え、都市開発部門における大型物件の売却が利益を大きく押し上げた。同社は株主還元も強化しており、配当性向は41.4% と高水準を維持し、2027年3月期には売上高1兆円の大台突破を見込む。

トーク

野村不動産ホールディングス 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

2026年3月期の連結業績は、売上高が 9,425億円(前年比 +24.4%)、営業利益が 1,382億円(前年比 +16.2%)と、主要指標が軒並み二桁成長を記録した。親会社株主に帰属する当期純利益も 828億円(前年比 +10.8%)に達し、底堅い住宅需要と旺盛な不動産投資意欲を背景に、極めて好調な決算となった。

増収増益の最大の要因は、主力の住宅部門におけるマンション計上戸数の増加と、都市開発部門での資産売却が計画通り進展したことにある。特に同社が重視する管理可能利益の指標である「事業利益」は 1,473億円(前年比 +17.8%)となり、過去最高水準を更新 した。これは、物件価格の上昇による利益率の改善や、仲介・運営管理などのストック型ビジネスが安定的に成長した結果である。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績前年比
売上高7,576億円9,425億円+24.4%
営業利益1,189億円1,382億円+16.2%
事業利益1,251億円1,473億円+17.8%
当期純利益748億円828億円+10.8%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

セグメント別では、住宅部門と都市開発部門が双輪となって業績を牽引した。住宅部門は売上高 4,334億円(前年比 +17.6%)、事業利益 617億円(前年比 +26.6%)と大幅な増益となった。これは、都心部を中心とした分譲マンションの販売価格が上昇し、利益率の高い物件の引き渡しが集中したことが要因である。

都市開発部門は、売上高 3,247億円(前年比 +52.2%)、事業利益 539億円(前年比 +29.7%)と極めて高い成長を見せた。オフィスビルや物流施設などの開発物件を投資家向けに売却する「プロパティ・セールス」が加速しており、同社の開発能力と出口戦略の強さが鮮明になった形だ。一方、海外部門は売上高 37億円(前年比 60.5%減)と、前期の反動もあり一時的に落ち込んだが、アジア圏でのプロジェクトは着実に進行している。

セグメント名事業利益(2025/3)事業利益(2026/3)増減率
住宅487億円617億円+26.6%
都市開発416億円539億円+29.7%
資産運用98億円105億円+7.3%
仲介・CRE165億円189億円+14.6%
運営管理119億円135億円+13.3%
海外66億円27億円△57.8%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
住宅部門4,334億円46%617億円14.2%
都市開発部門3,248億円34%540億円16.6%
運営管理部門1,299億円14%135億円10.4%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比 1,254億円 増の 2兆8,119億円 となった。これは将来の利益の源泉となる「販売用不動産」を 1,341億円 積み増したことが主な要因であり、積極的な用地取得と開発投資を継続している姿勢が窺える。一方で、長期借入金の増加(前年比 +1,602億円)により有利子負債は 1兆5,993億円 となったが、自己資本比率は 28.5% と前期から 0.6ポイント改善 しており、財務の健全性は維持されている。

株主還元については、2025年4月1日付で実施した 1対5の株式分割 を踏まえ、年間の合計配当を 40.0円 とした。これは前期の実質ベースと比較して増配であり、配当性向は 41.4% となった。同社は中期経営計画において総還元性向40〜50%を掲げており、DOE(自己資本配当率)4%水準を下限 とする方針に基づき、安定的な配当成長を目指す姿勢を強調している。

通期見通し

2027年3月期の通期業績予想では、売上高がついに 1兆800億円(前期比 +14.6%)に達し、1兆円の大台を突破する見通しだ。ただし、事業利益は 1,500億円(前期比 +1.8%)と微増に留まる計画となっている。これは住宅の引き渡しが引き続き堅調である一方、建築コストの上昇や金利環境の変化を慎重に織り込んだものとみられる。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想前期比
売上高9,425億円1兆800億円+14.6%
事業利益1,473億円1500億円+1.8%
当期純利益828億円860億円+3.8%
1株当たり利益96.69円100.68円+4.1%

リスクと課題

今後の成長に向けては、いくつかの外部環境リスクが懸念される。第一に、金利上昇の影響 である。住宅ローン金利の上昇は個人ユーザーの購入意欲を冷え込ませるリスクがあるほか、同社の有利子負債に対する支払利息の増加も利益を圧迫する要因となる。事実、2026年3月期の支払利息は 188億円 と前期から 30億円増加 している。

第二に、建築コストの高止まりである。資材価格や人件費の上昇が続く中、分譲価格への転嫁がどこまで許容されるかが焦点となる。また、海外事業においては、金利高騰や景気後退リスクがある国々でのプロジェクト進捗が計画を下回るリスクも言及されており、国内市場への依存度を低減するためのグローバル展開は依然として道半ばといえる。

AIアナリストの視点

野村不動産の今回の決算は、まさに「実り」の時期を象徴する内容でした。特に都市開発部門での「プロパティ・セールス(売却)」が非常に高い利益率を叩き出しており、単なるデベロッパーから、回転型の投資ビジネスモデルへの転換が成功している様子が伺えます。

注目すべきは、次期予想で売上高1兆円を掲げながらも利益成長を「+1.8%」と極めて保守的に置いている点です。これは、日銀の金融政策決定に伴う金利上昇への警戒感が強く反映されている証左でしょう。有利子負債が1.5兆円を超える同社にとって、金利負担増は無視できないリスクです。

就職活動中の学生にとっては、同社が「住宅をつくる」だけでなく「街を開発し、金融商品として売却する」という高度なアセットマネジメント機能を有している点が魅力に映るはずです。一方で、市況の変化に対してレバレッジをかけている事業構造上、マクロ経済の動向に敏感な企業であることは理解しておく必要があります。