パーク24・2026年10月期Q1、純利益12.2%増の58億円——海外事業が黒字転換、国内モビリティは稼働軟調で減益
売上高
1,065億円
+9.5%
通期予想
4,450億円
営業利益
92億円
-1.3%
通期予想
415億円
純利益
58億円
+12.2%
通期予想
240億円
営業利益率
8.6%
パーク24が発表した2026年10月期第1四半期(2025年11月〜2026年1月)連結決算は、売上高が前年同期比 9.5%増 の 1,065億4,900万円 、親会社株主に帰属する四半期純利益が 12.2%増 の 58億600万円 となった。国内駐車場の堅調な稼働に加え、構造改革を進めてきた海外事業が黒字転換したことが利益を押し上げた。一方、成長の柱であるモビリティ事業は積極的な増車に対して利用が伸び悩み、営業利益は 1.3%減 の 91億9,400万円 と小幅な減益を記録している。
業績のポイント
当第1四半期は、国内の「駐車場事業」と「モビリティ事業」がいずれも増収を確保し、連結売上高は過去最高の水準を更新した。主力の駐車場事業国内は、行動制限のない冬休みの外出需要やビジネス利用を背景に、売上高 526億7,700万円 (前年同期比 +10.1% )、営業利益 96億6,500万円 (同 +4.2% )と力強い成長を見せた。特に新設駐車場の原則キャッシュレス化や、車番認証カメラを活用した次世代サービスの導入といったオペレーションの効率化が収益を支えている。
一方で、全社の営業利益は 91億9,400万円 (前年同期比 △1.3% )と、わずかながら前年を割り込んだ。これはモビリティ事業における車両供給の先行投資が一時的に負担となったためだ。しかし、税引前利益段階では固定資産売却益 8億2,000万円 を計上したことで、最終的な純利益は 58億600万円 (同 +12.2% )と増益を確保した。長らく赤字が続いていた海外事業が四半期ベースで黒字に浮上したことは、中長期的な収益基盤の安定に向けた大きな転換点といえる。
業績推移(通期)
セグメント別動向
各セグメントの業績は、明暗が分かれる形となった。駐車場事業国内は、ネットワークの拡大が着実に進み、タイムズパーキングの台数は前期末比で 1万1,944台増 の 70万9,319台 に達した。キャッシュレス専用の自社開発精算機「タイムズタワー」への転換を加速させたことで、利便性向上とコスト抑制を両立させている。
モビリティ事業(カーシェアリング)は、売上高 328億400万円 (前年同期比 +10.7% )と増収を維持したものの、営業利益は 28億3,700万円 (同 △10.1% )と苦戦した。要因は、タイムズカー専用車両を前年同期比で 20.5%増 と大幅に増やした一方で、会員数の伸びが 18.4%増 にとどまり、車両1台あたりの稼働率が軟調に推移したことにある。テレビCMやウェブ広告を通じたプロモーションを継続しており、今後の需要回復が焦点となる。
駐車場事業海外は、売上高 227億9,500万円 (前年同期比 +5.8% )に対し、営業利益は 2億600万円 (前年同期は 5,600万円の損失 )と劇的な黒字化を達成した。英国や豪州など全ての地域で稼働が堅調だったことに加え、大型・長期契約から「各国版タイムズパーキング」のような短期契約の小型駐車場へとポートフォリオを組み替えた戦略が功を奏し、リスク低減と収益改善が同時に進んでいる。
| セグメント名 | 売上高 | 営業利益 | 前年同期比(売上/利益) |
|---|---|---|---|
| 駐車場国内 | 52,677 | 9,665 | +10.1% / +4.2% |
| モビリティ | 32,804 | 2,837 | +10.7% / △10.1% |
| 駐車場海外 | 22,795 | 206 | +5.8% / 黒字転換 |
※単位:百万円。セグメント売上高は内部売上を含む。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 駐車場事業国内 | 527億円 | 49% | 97億円 | 18.3% |
| モビリティ事業 | 328億円 | 31% | 28億円 | 8.6% |
| 駐車場事業海外 | 228億円 | 21% | 2億円 | 0.9% |
財務状況と資本政策
連結財政状態は、総資産が前期末比 432億6,600万円減 の 3,111億900万円 となった。これは主に現金及び預金の減少や、子会社株式の追加取得に伴う資本取引が影響している。自己資本比率は 22.8% と前期末(27.7%)から低下したが、これは戦略的な子会社整理とキャッシュの効率運用による側面が強い。
特筆すべきは資本政策の大きな動きだ。2025年12月付で連結子会社「MEIF II CP Holdings 2 Limited」の株式を追加取得した際、取得価格が資本連結上の純資産を下回ったことなどで、資本剰余金が 292億8,200万円 減少した。この結果、資本剰余金が一時的に負の値となったため、会計基準に基づき利益剰余金から同額を差し引く処理を行っている。これは会計上の振り替えであり、現金流出を伴うものではないが、資本構成に変化が生じている。
配当については、通期予想の 65円 (前期実績30円から大幅増配)を据え置いた。業績が概ね計画通りに推移していることから、株主還元への積極的な姿勢を継続している。
通期見通し
2026年10月期の通期連結業績予想については、2025年12月に公表した数値を据え置いた。売上高は 4,450億円 (前期比 +9.6% )、営業利益は 415億円 (同 +10.5% )を見込む。第1四半期の進捗率は売上高で 23.9% 、営業利益で 22.1% と、概ね季節性を考慮した想定の範囲内にある。
下期に向けては、第1四半期に課題となったモビリティ事業の稼働回復が鍵を握る。会社側は「4つのネットワーク(人・クルマ・街・駐車場)の融合」を掲げ、車両1台あたりの収益性重視に舵を切る方針を示しており、過剰気味だった車両投入ペースの適正化による利益率改善が期待される。
| 項目 | 前期実績 | 通期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 406,128 | 445,000 | +9.6% |
| 営業利益 | 37,557 | 41,500 | +10.5% |
| 親会社純利益 | 15,913 | 24,000 | +50.8% |
※単位:百万円。
リスクと課題
当面の課題は、モビリティ事業の需給バランスの調整である。積極的な車両供給が一時的に稼働率(稼働台数/保有台数)を押し下げており、これが解消されない場合、減価償却費などの固定費負担が重くのしかかるリスクがある。また、海外事業は黒字化したとはいえ、英国や豪州の景気動向やインフレによる運営コストの上昇には引き続き注意が必要だ。金利上昇局面においては、有利子負債 1,660億円 を抱える同社にとって支払利息の増加(今期Q1は前年比1.1億円増)も注視すべき要因となっている。
パーク24の今期決算は、「海外の止血」と「国内モビリティの足踏み」が交錯する内容でした。特に海外事業の黒字化は、長年の懸念材料が解消に向かっていることを示しており、投資家にとってはポジティブな材料です。
一方で、就活生や投資家が注目すべきは、かつての成長エンジンであったカーシェアリング(モビリティ事業)の減益です。車両を増やせば増やすほど利益が出たフェーズから、現在は「需要に合わせた適切な配備」が求められる成熟期への移行期にあると言えます。Q2以降、広告宣伝の効果で稼働率がどこまでV字回復するかが、通期目標達成の成否を分けるでしょう。
また、会計上のテクニカルな動き(子会社取得に伴う利益剰余金の減額)は一見ネガティブに見えますが、グループ支配力の強化という経営判断の裏返しでもあります。大幅な増配予想を据え置いている点からも、経営陣のキャッシュフローに対する自信が伺えます。
