クオンツ総研、2026年9月期第3四半期決算、売上高37%増で利益拡大
クオンツ総研の2026年9月期第3四半期決算を分析すると、売上収益は前年同期比37.3%増の159億円、営業利益は42.0%増の44億円、親会社株主に帰属する四半期利益は45.5%増の26億円となりました。M&A仲介の成約が堅調なうえ、コンサルティング事業が拡大し、増収増益が続いています。一方、採用投資や自己株式取得で財務構成は変化し、通期予想は据え置きました。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 159億円 | +37.3% | 223億円 | 71% |
| 営業利益 | 44億円 | +42.0% | 58億円 | 77% |
| 純利益 | 26億円 | +45.5% | 34億円 | 78% |
| 営業利益率 | 27.9% | |||
この決算のポイント
- 1M&A仲介の成約件数は177件、売上収益は前年同期比20.3%増の128億円。
- 2コンサルティング売上収益は前年同期比211.1%増の27億円、営業損失は6億円に拡大。
- 3営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期の8億円の支出から48億円の収入に転換。
- 4自己株式を38億円取得し、2026年7月には340万株を消却。年間配当予想は0円。
- 5通期予想は売上収益223億円、営業利益58億円で据え置き。営業利益の9カ月進捗率は77.0%。
業績のポイント
クオンツ総研(クオンツ総研ホールディングス)の2026年9月期第3四半期累計は、売上収益が前年同期比37.3%増、営業利益が42.0%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益が45.5%増となりました。営業利益率は前年同期の27.0%から27.9%へ上昇し、売上の伸びを利益の伸びが上回りました。
- 売上収益: 159億円で、前年同期から43億円増加。
- 営業利益: 44億円で、前年同期から13億円増加。
- 親会社株主に帰属する四半期利益: 26億円で、前年同期から8億円増加。
- 基本的1株当たり四半期利益: 49.28円と、前年同期の31.26円から上昇。
成長を支えたのは、主力のM&A仲介に加え、コンサルティング事業の売上拡大です。国内中小企業の後継者不在を背景にM&A需要が堅調で、会社はAIマッチングアルゴリズムの高度化や業務のデジタル化を進めています。コンサルタントの採用や新規事業への投資を進めながら、利益成長も確保した決算です。
セグメント別動向
主力のM&A仲介が増収増益を維持し、コンサルティングは売上が大きく伸びた一方で、採用拡大に伴う損失が続きました。会社はオペレーティング・リース事業の重要性が増したとして、今期から独立した報告セグメントにしています。
M&A仲介は売上収益が前年同期比20.3%増の129億円、セグメント利益が31.8%増の52億円でした。成約件数は177件と堅調で、中小企業の事業承継需要を取り込んでいます。主力事業がグループ利益の基盤となっています。
コンサルティングは売上収益が前年同期比211.1%増の27億円となりましたが、セグメント損失は6.95億円と、前年同期の5.77億円から拡大しました。旺盛な顧客需要に対応するためコンサルタントを274人まで増やしており、採用・体制づくりが先行しています。今後は人員増が売上だけでなく利益にもつながるかが焦点です。
オペレーティング・リースは売上収益が3.24億円と、前年同期の240万円から拡大しました。日本型オペレーティング・リース(JOLCO)の販売を始め、航空機リース収益も計上しましたが、セグメント損失は4584万円と前年同期の3472万円から増えています。その他の資産運用コンサルティング事業は売上がなく、損失は1271万円に縮小し、運営会社は第3四半期中に清算を終えました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| M&A仲介 | 129億円 | 81% | 52億円 | 40.3% |
| コンサルティング | 27億円 | 17% | -695.005百万円 | -25.7% |
| オペレーティング・リース | 3億円 | 2% | -45.841百万円 | -14.2% |
通期見通し
2026年9月期の通期業績予想は、2026年5月15日に公表した内容から変更していません。第3四半期までの営業利益進捗率は77.0%で、売上収益は71.5%、親会社株主に帰属する当期利益は77.7%です。
| 指標 | 今回予想 | 前回予想 | 9カ月進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(億円) | 222.92 | 222.92 | 71.5% |
| 営業利益(億円) | 57.78 | 57.78 | 77.0% |
| 親会社株主に帰属する当期利益(億円) | 34.05 | 34.05 | 77.7% |
予想は前年比で売上収益34.3%増、営業利益20.9%増、当期利益23.9%増を見込んでいます。今回の短信には前期の通期実績額が掲載されていないため、金額比較は示していません。進捗率は累計実績を通期予想で割って算出した値で、会社は予想を据え置いたものの、採用投資や新規事業の収益化を含む今後の推移を見極める必要があります。
財務状況と資本政策
総資産は2025年9月末から57.3%増の127.8億円となり、自己資本比率は62.8%から29.4%へ低下しました。営業キャッシュ・フローは前年同期のマイナスからプラスに転じましたが、設備投資と株主還元を借入金の増加とあわせて進めています。
| 項目 | 2026年9月期3Q | 前期末・前年同期 | 動き |
|---|---|---|---|
| 総資産(億円) | 127.8 | 81.2 | 前期末比57.3%増 |
| 自己資本比率 | 29.4% | 62.8% | 前期末から33.4ポイント低下 |
| 営業CF(億円) | 48.5 | -8.1 | 前年同期から改善 |
| 投資CF(億円) | -55.3 | -3.0 | 有形固定資産取得が主因 |
| 財務CF(億円) | 7.8 | -42.1 | 借入金の増加などを反映 |
有形固定資産の取得支出は前年同期の0.9億円から53.5億円に増加し、借入金も前期末から52.6億円増えました。自己株式取得に38.0億円を充てた一方、利益計上があったにもかかわらず資本合計は前期末比で13.5億円減少しています。年間配当予想は0円で、前年実績の年間5円から減配となる見込みです。なお、2026年7月には自己株式340万5888株を消却しており、発行済株式数は5069万5447株となりました。
戦略トピック
クオンツ総研はM&A仲介に加え、コンサルティングとオペレーティング・リースを育成し、収益源を広げる方針です。既存事業のキャッシュ・フローを新規事業に投じ、各事業の利益を次の成長投資につなげる循環を目指しています。
- コンサルティングの拡大: 顧客需要を受け、コンサルタント数は274人に増加。現時点では採用費用などが利益を圧迫しています。
- リース事業の立ち上げ: JOLCOの販売を開始し、航空機リース収益も計上。規模拡大に伴い、今期から独立セグメントとして開示しています。
- 海外案件の獲得: シンガポール現地法人を拠点に、海外案件の獲得体制を強化しています。
- 業務の効率化: AIマッチングアルゴリズムの高度化や業務のDXを通じ、M&A仲介の効率向上を進めています。
今回の決算ではコンサルティングの急成長とリース事業の立ち上げが売上拡大に寄与する一方、いずれも採用・立ち上げ段階のコストが残っています。多角化を持続的な利益成長につなげられるか、各事業の黒字化と投資回収が今後の評価材料です。
リスクと課題
会社は国内M&A需要を堅調とみる一方、景気や政策の先行きには不確実性があるとしています。事業拡大に伴うコストや財務構成の変化も、今後の業績を見るうえでの確認点です。
- 景気・政策の不確実性: 金利のある環境への移行、地政学リスク、米国の通商政策をめぐる不透明感が続きます。企業の投資判断やM&A需要が弱まれば、成約や業績に影響する可能性があります。
- 採用と利益化: コンサルティング事業は人員を拡大する一方、前年同期より営業損失が拡大しました。採用費用に見合う売上・利益を確保できるかが課題です。
- 借入金と投資負担: 有形固定資産の取得や事業投資に伴い借入金が増え、自己資本比率は前期末から低下しました。投資収益の立ち上がりが遅れれば、資金負担が重くなるおそれがあります。
- 主力事業への依存: M&A仲介が利益の中心であり、市場環境や成約状況の変化が連結業績に及ぼす影響は小さくありません。AIや海外案件の取り組みが成約力の維持につながるかが注目されます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/14)
997円
最新終値(2026/10/23)
1,082円+8.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#クオンツ総研#決算#決算分析#四半期決算#M&A仲介#コンサルティング#オペレーティング・リース#自己株式消却
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コメント
主力のM&A仲介が増益を確保しながら、コンサルティングの売上が急伸している点は、事業ポートフォリオを広げる初期成果といえます。一方で、コンサルティングは売上成長だけでは利益貢献に至っておらず、採用した人材の稼働率や生産性が次の焦点です。
営業キャッシュ・フローの改善は心強いものの、固定資産取得と自己株式取得が重なり、借入金の増加と自己資本比率の低下が進みました。今後は新規事業の成長性だけでなく、投資回収と資本効率を両立できるかを見たい決算です。
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コンサルティング・シンクタンク
掲載企業
株式会社クオンツ総研ホールディングス
東証 9552
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