【ベイカレント】2030年売上5,000億円目標、現中計早期達成で資本政策も機動的に再編。AI需要が成長加速
日本のITコンサルティング大手株式会社ベイカレントは10月15日、2030年上期の中期経営計画(新中計)を発表しました。売上高を現在の約2.6倍となる5,000億円とし、EBITDAマージンも40%へ向上させる大胆な成長戦略を提示。現行の中期計画は約1年前倒しで来期達成が見込まれるほどの好調ぶりを受けて、株主還元方針を見直し、機動的な自社株買いの実施可能性を明示しました。

業績見通しの大幅上方修正と長期目標設定
ベイカレントは、AI関連需要の急拡大やサイバーセキュリティ・防衛分野への注目を背景に、急速な成長を続けています。現行の中期経営計画(FY2028達成目標:売上2,500億円、EBITDAマージン30〜40%)に対して、当初予想を大幅に上回るペースで進捗しており、約1年前倒しとなる来期(FY2027)中に概ね達成できる見通しです。
この実績を受けて策定された新中計では、長期的な企業価値向上を目指し、以下のような数値目標を掲げました。
| 指標 | FY2026(期初ガイダンス) | FY2030(新中計) | FY2035(成長ロードマップ) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,900億円 | 5,000億円 | 1兆円 |
| EBITDA | 665億円 | 2,000億円 | 4,500億円 |
| EBITDAマージン | 35% | 40% | 45% |
| EPS | 323.79円 | 約1,000円 | 約2,500円 |
| 時価総額(試算) | 〜1.5兆円 | 約5兆円 | 10兆円超 |
FY2030時点では、EBITDAマージンを40%まで引き上げ、ROEを約80%に高めることで利益構造の強化を図ります。さらにFY2035には売上1兆円を目指し、EBITDAマージンを45%、EPSを約2,500円へ拡大させる長期ロードマップを示しました。時価総額については、PER30〜40倍を想定してFY2035に10兆円超とする目標も示しています。
この計画は、国内需要の構造的な拡大を着実に取り込みながら、規律ある資本政策のもとで持続的な企業価値向上を目指すものです。
成長戦略:高付加価値化とグローバル展開
新中計の実現には、主に3つの柱が配置されています。まず事業の拡大です。国内主要企業のAI関連支援ニーズが、単なる導入支援から全社的なAIネイティブ組織への変革支援へとシフトする趋势を受け、規模を拡大させます。また、国策に関わるサイバーセキュリティ、防衛、エネルギー、半導体などの新たな需要を取り込みます。
次に高収益化です。CxO(最高経営責任者など)直結の全社AI変革や経営課題へのリーチを通じて付加価値を高めるとともに、徹底した社内AI活用による生産性向上でコスト抑制を図ります。これにより、バックログ比率を約50%まで高めて収益の安定化も狙います。
3つ目はグローバル展開です。国内主要顧客の海外支援ニーズに対応するため、拠点網やサテライトオフィスを段階的に拡充します。FY2030時点で売上構成比に占める海外比率を約20%へ高める計画で、現地有力企業への支援体制を整備し、新たな収益源と位置づけています。
「各業界の中核として先端市場を牽引し、主要企業の継続的な成長を支える総合的なパートナー」としてのポジションを確立するため、AIプラットフォームフォーマーとのアライアンスや専門人材の獲得にも注力します。
資本政策の変更:機動的な自社株買いへ
成長戦略を支えるため、これまでの株主還元・資本配分方針を見直しました。従来は、事業運営資金(予想売上収益の約25%)に加え、将来的な成長投資资金として予想売上収益の約15%を固定的に確保していましたが、この固定枠を廃止します。
新方針では、毎年確保すべきキャッシュ水準を事業運営資金のみ(予想売上収益の約25%)に一本化し、それを超える余剰キャッシュを「将来的な成長投資」と「自社株買い」に機動的に配分します。これにより、M&Aや主要顧客との資本取引(JVなど)、海外現地支援体制構築などの機会が訪れた際、即座に対応できる柔軟性を確保しました。
| 項目 | 従来方針 | 新方針 |
|---|---|---|
| 配当性向(目安) | IFRSベース40% | 変更なし(IFRSベース40%) |
| 確保キャッシュ水準 | 最大約40%(運営25%+成長15%) | 約25%(運営資金のみ) |
| 余剰キャッシュ使途 | 基本的には株主還元 | 機動的な成長投資または自社株買い |
配当については、IFRSベースで40%を目安とする従来のスタンスを維持します。当期の中間配当は1株65円、期末配当も65円とし、通年で130円/株を提供する予定です。
余剰キャッシュを自社株買いに充てる仕組みを明文化したことで、資本効率の最大化と株価へのシグナル発信を両立させます。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/15)
8,695円
最新終値(2026/10/23)
11,500円+32.3%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ベイカレント#6532#ITコンサルティング#AI需要#中期経営計画#株主還元#自社株買い#IR情報
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コメント
本件の核心は、単なる数値目標の引き上げではなく、成長段階に適した資本政策への転換にある。従来方式では固定費化するリスクがあった成長投資資金枠を廃止し、市場環境に応じた機動的な資本配分を可能にした点は評価できる。AI需要がピークアウトしない限り、現行の中計達成は容易だが、FY2030の売上5,000億円は過去最大の規模感であり、実行可能性への注目が必要だ。海外収益比率の拡大が進むことで為替リスクへの耐性も問われるが、まずはEBITDAマージン40%維持の実績が株価の後押しとなるだろう。
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