業界ダイジェスト
株式会社三共 の会社詳細
株式会社三共
SANKYO
2026年3月期 通期

SANKYO・2026年3月期通期、純利益13.4%減の467億円——パチスロ新台投入の遅れが響く、600億円の自社株買い実施

SANKYO
パチンコ
パチスロ
減収減益
自社株買い
株主還元
トップシェア
型式試験
業績予想
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1,792億円

-6.6%

通期予想

1,740億円

進捗率103%

営業利益

625億円

-15.1%

通期予想

560億円

進捗率112%

純利益

468億円

-13.4%

通期予想

400億円

進捗率117%

営業利益率

34.9%

パチンコ・パチスロ機大手のSANKYOが13日に発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前期比6.6%減1,792億円、営業利益が同15.1%減624億円と減収減益で着地しました。主力のパチンコ事業は4期連続のトップシェアを維持し増益を確保したものの、パチスロ事業における型式試験の適合取得遅れに伴う新台投入数の減少が全体の足を引っ張る形となりました。一方で、機動的な資本政策として600億円規模の自己株式取得を実施し、株主還元への強い姿勢を鮮明にしています。

業績のポイント

2026年3月期の連結業績は、売上高が1,792億円(前期比6.6%減)、営業利益が624億円(同15.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は467億円(同13.4%減)となりました。パチンコ市場全体が伸び悩む中、同社は「ラッキートリガー3.0プラス」搭載機などのヒットにより高い存在感を示しましたが、利益率の高いパチスロ新台の供給不足が響き、2期連続の増益には届きませんでした。

利益面では、開発効率の向上やコスト削減に努めたものの、パチスロ事業の減益幅が大きく、連結営業利益率は前期の38.4%から34.9%へと低下しました。しかし、依然として業界内では圧倒的に高い収益水準を維持しており、自己資本当期純利益率(ROE)も目標とする15%を上回る17.6%を記録しています。不透明な市場環境下で、シェア拡大と高収益性の両立を模索する決算となりました。

項目2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)前期比
売上高1,918億円1,792億円△6.6%
営業利益736億円624億円△15.1%
営業利益率38.4%34.9%△3.5pt
当期純利益539億円467億円△13.4%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力であるパチンコ機関連事業は、売上高が前期比11.2%増1,198億円、営業利益が同12.7%増493億円と堅調に推移しました。新たなゲーム性を備えた機種の積極的な投入が功を奏し、販売台数は25.1万台に達しました。これにより、目標とする販売台数シェア30%以上を達成し、4期連続での国内トップシェアを盤石なものにしています。

一方、パチスロ機関連事業は苦戦を強いられました。売上高は前期比31.6%減434億円、営業利益は同47.0%減189億円と大幅な落ち込みを見せました。これは、一部の主要タイトルにおいて型式試験の適合取得が遅れたことで、新規投入が4タイトルに留まったことが主な要因です。長期稼働を続ける既存人気の「からくりサーカス」などの増産で補ったものの、新台効果の薄れをカバーしきれませんでした。

補給機器関連事業については、売上高が前期比22.9%減155億円、営業利益は同24.4%減11億円となりました。パチンコホールの設備投資意欲がスマート機の普及一段落により落ち着きを見せたことが影響しています。全社的にはパチスロの不振をパチンコの増収で一部補う構図となりましたが、高利益なスロ新台の欠乏が全体の利益を押し下げる結果となりました。

セグメント売上高前期比営業利益前期比
パチンコ1,198億円+11.2%493億円+12.7%
パチスロ434億円△31.6%189億円△47.0%
補給機器155億円△22.9%11億円△24.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
パチンコ機関連事業1,198億円67%494億円41.2%
パチスロ機関連事業434億円24%189億円43.6%
補給機器関連事業155億円9%11億円7.1%

財務状況と資本政策

当連結会計年度末の総資産は前期末比492億円減2,874億円となりました。主な変動要因として、賃借していた「SANKYO本社ビル」を取得したことで有形固定資産が138億円増加した一方、大規模な株主還元により現預金が476億円減少しました。自己資本比率は86.5%と極めて高い水準を維持しており、鉄壁の財務基盤を背景に機動的な経営判断を行っています。

資本政策において特筆すべきは、総額600億円にのぼる自己株式の取得です。これにより利益剰余金が減少したものの、1株当たり価値の向上を図りました。配当についても、連結配当性向40%を目安とする業績連動方針に基づき、年間で1株当たり90円(前期は100円)を実施。利益の減少に伴い減配とはなったものの、自社株買いを組み合わせた総還元性向は極めて高い水準となっています。

通期見通し

2027年3月期の通期業績予想は、売上高が前期比2.9%減1,740億円、営業利益が同10.4%減560億円と、さらなる減収減益を見込んでいます。パチンコ市場の稼働が低調に推移していることから、ホールの機種選定がより慎重になると分析しています。同社は新価格方針「SANKYO エールプライス」を導入し、ホールの導入負担を軽減することで市場の活性化とシェア維持を図る方針です。

パチスロ市場は好調な稼働が続いており、同社もタイトル数とラインナップの充実を図ることで販売台数の増加を目指します。しかし、部材コストの高騰や新価格方針による単価への影響、さらにはパチンコ台の販売減少見通しから、全体としては減益の予想となっています。配当については年間80円を予定しており、配当性向39.5%を維持する計画です。

項目2026年3月期(実績)2027年3月期(予想)増減率
売上高1,792億円1,740億円△2.9%
営業利益624億円560億円△10.4%
純利益467億円400億円△14.4%

リスクと課題

同社が直面している主なリスクと課題は以下の通りです。

  • 型式試験の適合率低迷: パチスロ機において新機種の供給が型式試験の結果に左右されやすく、計画通りの製品投入が困難になるリスクがあります。
  • ファン人口の減少: 若年層の流入は見られるものの、本格的なファン拡大には至っておらず、市場の持続的な成長には遊びやすい環境整備が不可欠です。
  • ホールの購買意欲低下: パチンコ市場の稼働低迷により、パチンコホール側の新台購入予算が絞り込まれる懸念があります。
  • コンテンツ競争の激化: 人気アニメ等のIP(知的財産)を活用した機種開発競争が激しく、有力なIPの獲得コスト増大が利益を圧迫する要因となります。
AIアナリストの視点

SANKYOの決算は、パチンコ事業の強さが際立つ一方で、パチスロ事業の「不確実性」が露呈した内容となりました。パチンコでの4期連続シェア首位は素晴らしい実績ですが、利益成長のドライバーと期待されたパチスロの新台投入が試験適合の遅れで停滞したことは、投資家にとって懸念材料です。

注目すべきは、業績が踊り場にある中で600億円という巨額の自社株買いを断行した点です。これは、現在の株価が割安であるという経営陣の判断と、将来のキャッシュフローに対する自信の表れと言えます。

今後の焦点は、新たに導入する「SANKYO エールプライス」がどれだけホールの需要を喚起できるか、そして適合取得が遅れていたパチスロ新台をスムーズに市場投入できるかにかかっています。就活生の視点では、業界トップの収益力と、圧倒的に健全な財務体質(自己資本比率86%超)は大きな魅力ですが、市場の成熟化に対してどのような新しい遊び(新規IPやゲーム性)を提示できるかが、同社の長期的な価値を左右するでしょう。