スターツコーポレーション・2026年3月期Q3、営業利益10.2%増の259億円——建設・不動産管理の「安定収益」が成長を牽引
売上高
1,814億円
+8.3%
通期予想
2,500億円
営業利益
259億円
+10.2%
通期予想
350億円
純利益
178億円
-2.1%
通期予想
235億円
営業利益率
14.3%
スターツコーポレーションが発表した2026年3月期第3四半期(2025年4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 8.3%増 の 1,814億800万円 、営業利益が同 10.2%増 の 259億39百万円 と、増収増益を確保しました。国内の雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復を背景に、建設事業やホテル事業が好調に推移したほか、同社の強みである 「不動産管理を軸としたストック型ビジネス」 が収益を下支えしました。純利益は前年同期にあった固定資産売却益の反動で微減したものの、本業の稼ぐ力は着実に高まっており、通期での 10円増配 予想を据え置いています。
業績のポイント
当第3四半期は、国内の不動産市況が堅調に推移したことが業績を押し上げました。特に主力の建設事業において、大型工事の進捗や法人向け受注が伸びたことで、売上高は 1,814億800万円 (前年比 +8.3% )に到達しました。営業利益についても、管理物件の増加に伴う手数料収入の拡大などが寄与し、 259億39百万円 (前年比 +10.2% )と2桁の伸びを記録しています。
一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益は 178億49百万円 (前年比 2.1%減 )となりました。この微減は、前年同期に計上された固定資産売却益という 一過性の要因 が剥落したことによるものであり、本業の収益性を示す経常利益は 274億62百万円 (前年比 +10.6% )と、過去最高水準に向けて順調な足取りを見せています。
投資家にとって注目すべきは、安定した収益基盤である管理戸数の積み上げです。2025年12月末時点で、住宅管理戸数は 105万3,627戸 に達しており、景気変動に左右されにくい 「ストック型収益」 がグループ全体の利益の柱となっています。こうした業績の安定感を背景に、年間配当は前期の120円から 130円 (中間・期末各65円)への増配を計画しており、株主還元への積極的な姿勢も維持されています。
業績推移(通期)
セグメント別動向
全10セグメントにおよぶ多角的な事業展開が、リスク分散と相乗効果を生んでいます。主要セグメントの業績は以下の通りです。
| セグメント | 売上高 (百万円) | 前年同期比 | 営業利益 (百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 53,924 | +8.1% | 5,823 | +23.3% |
| 不動産管理 | 74,746 | +5.6% | 10,537 | +5.9% |
| 売買仲介 | 7,453 | +23.0% | 3,153 | +44.8% |
| ホテル・レジャー | 12,339 | +6.7% | 2,174 | +26.7% |
建設事業 は、木造物件の竣工件数増加に加え、法人顧客向けの大型工事受注が好調で、利益を大幅に伸ばしました。 不動産管理事業 は、同社の最大セグメントとして安定した成長を続けており、更新手数料やメンテナンス売上の増加が寄与しています。また、 売買仲介事業 では首都圏を中心とした大型案件の成約が相次ぎ、利益率が大きく向上しました。
一方、 出版事業 は売上高 53億81百万円 (前年比 15.6%減 )、営業利益 10億64百万円 (前年比 44.5%減 )と苦戦しました。これは前期に大ヒットした映画化作品「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の反動によるものです。しかし、女性向けサイト「オズモール」の送客サービスなどは堅調であり、次なるヒット作の育成とWebサービスの強化を急いでいます。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 539億円 | 30% | 58億円 | 10.8% |
| 不動産管理事業 | 747億円 | 41% | 105億円 | 14.1% |
| ホテル・レジャー事業 | 123億円 | 7% | 22億円 | 17.6% |
財務状況と資本政策
2025年12月末時点の総資産は、前連結会計年度末から 76億24百万円 増加し、 3,412億72百万円 となりました。主な要因は、今後の分譲・賃貸事業に向けた土地や仕掛販売用不動産の取得が進んだことです。現金及び預金は 870億87百万円 とやや減少しましたが、将来の収益源となる資産への投資を戦略的に進めている結果と言えます。
純資産は利益剰余金の積み増しにより 1896億76百万円 となり、自己資本比率は前年度末の52.4%から 54.5% へと改善しました。不動産業界の中では極めて高い 自己資本比率 を維持しており、金利上昇局面においても強い耐性を持つ財務体質を構築しています。
キャッシュ・フロー面では、営業活動によるキャッシュ・フローが 39億91百万円 の収入となりました。前年同期の180億72百万円から減少していますが、これは棚卸資産(土地等)の取得による支出が 115億92百万円 増加したためです。投資活動では賃貸不動産の取得を継続しており、中長期的な賃料収入の拡大に向けた 成長投資 を優先する方針が明確に示されています。
通期見通し
2026年3月期の通期業績予想については、期初予想を据え置いています。現時点での進捗率は売上高で72.5%、営業利益で74.1%となっており、概ね計画通りに推移しています。
| 項目 | 前回予想(5/12) | 今回予想 | 前期実績 (2025/3) | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 250,000 | 250,000 | 233,028 | +7.3% |
| 営業利益 | 35,000 | 35,000 | 32,624 | +7.3% |
| 純利益 | 23,500 | 23,500 | 24,284 | △3.2% |
第4四半期に向けては、3月の繁忙期に伴う賃貸仲介・管理事業の伸びが見込まれるほか、受注済みの建設工事の竣工が集中する時期となります。会社側は、米国の金融政策や国内の金利動向など不透明な外部環境を注視しつつも、 ワンストップサービス によるグループ連携を強化し、目標達成を目指すとしています。
リスクと課題
順調な決算の一方で、今後の経営課題として以下の要因が挙げられます。
- 金利上昇リスク: 国内の金利先高観により、住宅ローン金利の上昇や投資家心理の冷え込みが、売買仲介や分譲事業に影響を及ぼす可能性があります。
- コストプッシュ・インフレ: 建設資材価格の高騰や深刻な人件費不足が、建設事業の利益率を圧迫する要因となります。
- 外部環境の不透明性: 米国の景気動向や為替相場の変動が、海外拠点の仲介業務やインバウンド関連のホテル需要に影を落とすリスクがあります。
これらの課題に対し、同社はITを活用した管理業務の効率化や、不動産セキュリティ・トークン(デジタル証券)といった 新領域の金融商品 の展開により、収益源の多様化を図り、リスク耐性を高めています。
スターツコーポレーションの決算で特筆すべきは、その「バランスの良さ」です。単なるデベロッパーではなく、管理戸数100万戸超という巨大なストックを背景にした手数料ビジネスが利益の半分近くを支えているため、不動産市況が悪化しても急激な業績悪化に陥りにくい構造を持っています。
今回のQ3決算でも、一過性の売却益を除けば実質的には2桁成長を遂げており、建設事業の受注残高が前年比で増加している点も評価できます。
懸念点としては、金利上昇局面での住宅需要の変化ですが、同社は賃貸管理に強みを持つため、住宅購入が控えられたとしても「賃貸需要の増加」でカバーできるという独自の強みがあります。就職活動中の学生にとっても、多角的な事業展開による「安定性」と「挑戦機会(金融・テック等)」の両立は魅力的に映るでしょう。
