住友不動産・2026年3月期Q3、純利益19.2%増の1,748億円——オフィス賃貸が好調、13期連続の最高益へ
売上高
7,791億円
-0.5%
通期予想
1.1兆円
営業利益
2,384億円
+10.5%
通期予想
2,950億円
純利益
1,749億円
+19.2%
通期予想
2,100億円
営業利益率
30.6%
売上高は前年並みですが、利益面では第3四半期の過去最高を更新しました。都心のオフィス賃貸が絶好調なうえ、マンション販売の利益率も上がっています。大幅な増配と自社株買いも実施し、株主への還元を一段と強めた決算です。
業績のポイント
売上高は 7,791億円 (前年比 0.5%減 )とほぼ横ばいでした。
一方で、営業利益は 2,383億円 (同 10.5%増 )と大きく伸びています。
営業・経常・純利益のすべてで、第3四半期としての過去最高を塗り替えました。
都心のオフィス需要が強く、空室率が改善したことが利益を押し上げています。
通期でも13期連続の純利益の最高益更新に向けて、順調なペースです。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- 不動産賃貸:売上高 3,437億円 (同 7.2%増 )。東京の既存ビルの空室率が 5.0% (前年末は5.8%)に改善。賃料値上げも浸透し、過去最高益を記録しました。
- 不動産販売:売上高 2,407億円 (同 9.0%減 )。引き渡し戸数は 2,458戸 (同766戸減)と減りましたが、販売価格の上昇で利益率はさらに良くなりました。
- ハウジング:売上高 1,325億円 (同 2.9%減 )。受注は苦戦しましたが、来期の回復に向けて営業活動を強化しています。
- ステップ(仲介):売上高 559億円 (同 2.8%増 )。中古マンションの価格が上がり、1件あたりの手数料(取扱単価)が増えたことで増益となりました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 不動産賃貸 | 3,438億円 | 44% | 1,594億円 | 46.4% |
| 不動産販売 | 2,407億円 | 31% | 687億円 | 28.6% |
| ハウジング | 1,326億円 | 17% | 89億円 | 6.7% |
| ステップ | 559億円 | 7% | 188億円 | 33.5% |
財務状況と資本政策
総資産は 7兆932億円 で、前期末から 3,708億円 増えました。
2026年1月付で 1株を2株にする株式分割 を実施しています。
配当は実質的に 16円の増配 (年間86円、前年は70円)を予定しています。
また、約 369億円の自社株買い を実施し、株主還元に積極的な姿勢を見せました。
自己資本比率は 34.1% と、前期末の32.3%から向上しています。
リスクと課題
- 金利上昇による影響:支払利息が前年より 54億円 増えており、今後の金利動向が利益を削るリスクがあります。
- ハウジング事業の立て直し:受注棟数が前年を大きく下回っており、新会社による事業強化が急務です。
- インド事業への投資:インド子会社への追加出資など、海外展開の成否が今後の焦点となります。
戦略トピック
2025年4月付で、リフォームと注文住宅を統合した「住友不動産ハウジング」を分社化します。
両事業の施工体制を共通化し、業務を効率化するのが狙いです。
早期に売上高を5割増やし、 3,000億円 を目指す高い目標を掲げています。
「新築そっくりさん」のブランド力を活かし、成長市場であるリフォーム需要を取り込む戦略です。
今回の決算で特筆すべきは、売上の伸びを追わず「利益率」を徹底して追求している点です。マンション販売では戸数が減りながらも、価格転嫁によってセグメント利益を 8.9% 伸ばしています。
また、株主還元への意欲が非常に高いです。株式分割と合わせた大幅増配、さらに369億円もの自社株買いは、資本効率の向上を意識している証拠と言えます。
懸念点は有利子負債に伴う利息負担の増加ですが、都心オフィスの空室率が改善傾向にあるため、本業のキャッシュフローで十分にカバーできる範囲内と見られます。ハウジング事業の分社化による立て直しが、来期以降のもう一つの柱になるか注目です。
