トランスコスモス、2027年3月期第2四半期決算、増収も営業減益

トランスコスモスの2027年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比5.8%増の2,033億円となった一方、営業利益は16.6%減の67億円、純利益は24.7%減の49億円と減益でした。BPO・CXサービスの受注拡大が増収を支えましたが、AIなどへの投資、為替の影響、一部事業の稼働率低下が利益を押し下げました。通期予想は据え置き、年間配当は前期比5円増の145円を見込みます。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,033億円 | +5.8% | 4,100億円 | 50% |
| 営業利益 | 67億円 | -16.6% | 168億円 | 40% |
| 純利益 | 49億円 | -24.7% | 135億円 | 36% |
| 営業利益率 | 3.3% | |||
この決算のポイント
- 1国内BPO・CXの受注増などで中間期売上高は前年同期比5.8%増の2,033億円
- 2営業利益は16.6%減の67億円、投資や為替、一部事業の稼働率低下が響く
- 3海外関係会社は売上高10.6%増でも、中国の稼働率低下などで利益38.3%減
- 4通期予想は変更なし、年間配当予想は前期の140円から145円に増配
- 5営業キャッシュフローは前年同期の113億円から19億円に縮小
業績のポイント
トランスコスモス(トランス・コスモス)の2027年3月期中間期は、売上高が前年同期比5.8%増の2,033億円、営業利益は16.6%減の67億円、親会社株主に帰属する中間純利益は24.7%減の49億円でした。売上は伸びたものの、利益は減少する結果です。
- 増収の背景: BPOサービスとCXサービスで受注が増加し、国内関係会社や韓国・中華圏子会社の売上も伸びました。
- 営業減益の要因: コンサルティング・AI領域や情報セキュリティの強化に向けた投資、為替の影響、一部事業の稼働率低下がありました。
- 経常利益の減少: 経常利益は前年同期比29.2%減の65億円。前年に計上した為替差益がなくなり、当期は為替差損を計上しました。
- 純利益の減少: 中間純利益は前年同期比24.7%減。投資有価証券売却益や受取補償金を特別利益に計上したものの、営業段階の減益を補えませんでした。
会社は、雇用・所得環境の改善を背景に国内景気は緩やかに回復した一方、物価上昇や海外経済の不確実性などで先行きは不透明と説明しています。AI活用や人手不足への対応を求める企業の需要を取り込み、売上を拡大する一方、成長分野への投資を利益につなげられるかが今後の焦点です。
セグメント別動向
単体サービスは、売上高が前年同期比2.6%増の1,298億円、セグメント利益は6.4%減の39億円でした。BPO・CXサービスの受注増が売上を押し上げましたが、コンサルティング・AI領域や情報セキュリティへの投資が利益を圧迫しました。
国内関係会社は、売上高が前年同期比13.3%増の247億円、セグメント利益は12.1%減の14億円でした。BPO事業子会社で受託範囲が広がった一方、一部上場子会社の収益性低下が利益を押し下げています。
海外関係会社は、売上高が前年同期比10.6%増の559億円、セグメント利益は38.3%減の13億円でした。韓国・中華圏子会社の売上が増えたものの、中国のオフショア開発事業では経済安全保障上の懸念を背景に稼働率が低下し、為替の影響も受けました。
売上の伸びは国内関係会社と海外関係会社が相対的に大きい一方、利益面では海外関係会社の落ち込みが目立ちます。会社は、国内BPOで需給調整・計画業務へサービスを広げ、海外ではAIを使った顧客対応や人材育成の強化を進めています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 単体サービス | 1,292億円 | 64% | 40億円 | 3.1% |
| 国内関係会社 | 211億円 | 10% | 15億円 | 6.0% |
| 海外関係会社 | 530億円 | 26% | 13億円 | 2.4% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比42億円減の2,196億円、自己資本比率は58.9%となりました。営業活動で現金を確保した一方、投資活動と財務活動の支出が上回り、現金及び現金同等物は期首から85億円減少しました。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・実績 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 2,196億円 | 前期末比42億円減 |
| 自己資本比率 | 58.9% | 前期末の57.3%から上昇 |
| 営業CF | 19億円の収入 | 前年同期から94億円減少 |
| 投資CF | 33億円の支出 | 前年同期より支出が0億円余り減少 |
| 財務CF | 75億円の支出 | 前年同期より支出が9億円増加 |
| 年間配当予想 | 145円 | 前期実績140円から5円増配 |
総資産の減少は、借入金の返済や仕入債務の減少に伴う現金・預金の減少などが主因です。営業CFは税引前利益の減少や仕入債務、未払費用の変動などを受け、前年同期を下回りました。配当は中間配当を行わず、期末145円を予定しており、自社株買いの実施は短信に記載されていません。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年4月30日に公表した内容から変更していません。売上高は前期比4.1%増、営業利益は1.5%増、親会社株主に帰属する当期純利益は3.2%増を見込みます。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績との比較 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,100億円 | 4,100億円 | +4.1% |
| 営業利益 | 168億円 | 168億円 | +1.5% |
| 経常利益 | 178億円 | 178億円 | -6.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 135億円 | 135億円 | +3.2% |
中間期は増収減益でしたが、会社は通期予想を据え置きました。下期にかけて受注拡大を利益成長につなげ、AI・コンサルティングなどへの投資や為替、一部事業の稼働率低下による影響をどこまで抑えられるかが、予想達成のポイントです。
戦略トピック
トランスコスモスは、AIを活用したBPO・CXサービスの拡充を進めています。国内ではサプライチェーンの受発注支援に加え、需給調整・計画業務を支援するサービスを展開し、顧客企業の業務効率化やコスト競争力の向上を目指します。
- CXプラットフォーム: 「trans-DX for Support」の導入企業は156社に拡大。AIエージェント機能や複数の生成AIモデルを選べる機能を加えた「trans-DX Plus for Support」を展開します。
- AIによる人材育成: 韓国で開発した「trans-AI Tutor」をベトナムに展開し、新人オペレーターの教育期間を50%短縮しました。
- 海外の運営体制: インドネシアで7拠点目となる「CXスクエア パーク23バリ」を開設し、多言語CXサービスの提供体制を強化しました。
AIをサービスの効率化だけでなく、顧客対応や教育の品質向上にも使う方針が読み取れます。これらの施策が中長期の受注拡大につながる一方、当中間期は投資が利益を押し下げており、導入後の収益性や生産性の改善が重要になります。
リスクと課題
会社は、物価上昇や海外経済の不確実性などから事業環境の先行きは不透明としています。AI活用や人手不足への対応需要を受注に結びつける一方、投資負担や稼働率の変化が利益に及ぼす影響に注意が必要です。
- 為替変動: 為替差益がなくなり、当期は為替差損を計上しました。海外事業の採算や経常利益が変動する可能性があります。
- 海外事業の稼働率: 中国のオフショア開発事業は経済安全保障上の懸念を背景に稼働率が低下し、海外関係会社の利益が大きく減りました。
- 人材確保とコスト: 専門人材不足への対応やサービス品質の維持が課題です。賃金・運営コストの上昇が続けば、利益率を圧迫するおそれがあります。
- 成長投資の回収: AI、コンサルティング、情報セキュリティへの投資を拡大しています。受注拡大や業務効率化を通じて、投資を利益に結びつけられるかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
3,675円
最新終値(2026/10/30)
3,675円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
トランスコスモスをライバルと比較
年収・業績・株価を並べてその他サービス業界の今
掲載19社トランスコスモスはその他サービス業界の掲載19社中、売上高で3位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +18.3%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +21.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 5社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 11.4%
- トランスコスモス+0.7%
- その他サービス(業界平均)+18.3%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は11社合計で売上高+8.9%・営業利益+51.7%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は1社、下回る企業は4社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは5社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはリクルート(営業利益+20.1%)。






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売上の伸びに対して利益が減っており、成長投資や為替影響だけでなく、海外事業の稼働率低下が利益を不安定にしている点は見逃せません。
一方、CX基盤の導入拡大やAIによる教育期間短縮など、サービスの競争力を高める取り組みは具体化しています。下期は、受注の積み上げだけでなく、投資効果が稼働率や利益率の改善として表れるかを見たい決算です。
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