ネクセラ、2026年12月期第3四半期決算、黒字転換と提携収入が拡大
ネクセラの2026年12月期第3四半期決算は、売上収益が前年同期比27.0%増の277億円、営業利益が31億円となり、前年の損失から黒字に転じました。提携先の開発進展に伴うマイルストン収入が増え、研究開発費などの抑制も利益を押し上げました。一方、通期予想は一時金収入の有無で幅が大きく、提携収入が業績を左右する構図が続きます。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 277億円 | +27.0% |
| 営業利益 | 32億円 | — |
| 純利益 | 23億円 | — |
| 営業利益率 | 11.4% |
この決算のポイント
- 1マイルストン収入が前年同期比103.7%増の94億円となり、研究・開発収益を押し上げた
- 2クービビックの売上収益は前年同期比43.2%増、ピヴラッツは10.2%増と伸長
- 3営業キャッシュフローは57億円の収入、現金残高は前期末比37億円減の166億円
- 4通期売上収益予想は338億〜488億円、上限には重要な新規提携の一時金を織り込む
- 5年間配当予想は0円。執行役向け新株予約権は株価条件付きで最大665万株が対象
業績のポイント
ネクセラ(ネクセラファーマ)は、2026年1〜9月の売上収益が前年同期比27.0%増の277億4,200万円、営業利益は31億7,500万円、親会社株主に帰属する四半期利益は23億2,800万円となり、いずれも前年の赤字から黒字に転換しました。基本的1株当たり利益は25.61円で、前年同期の53.31円の損失から改善しました。
| 主な利益変動要因 | 営業利益への影響(億円) |
|---|---|
| 増収 | +59 |
| 売上原価の減少 | +19 |
| 研究開発費の減少 | +22 |
| 販売費及び一般管理費の減少 | +10 |
| 無形資産償却費の減少 | +1 |
| その他収益・費用の悪化 | -20 |
最大の追い風は売上の増加で、とりわけ提携先の開発マイルストンを達成したことによる収入が前年同期比で大きく伸びました。研究開発費は複数の開発品が次の段階に進んだことや重点領域の絞り込みで減少し、コア営業利益も98億1,800万円と、前年同期の9億8,600万円の損失から黒字化しました。一方、のれんなどの減損や構造改革費用を計上しており、コア営業利益とIFRS営業利益には差があります。
- 前年同期-59億円
- 増収+59億円
- 売上原価減+19億円
- 研究開発費減+22億円
- 販管費減+10億円
- 償却費減+1億円
- その他費用-20億円
- 当期32億円
セグメント別動向
ネクセラは医薬品事業の単一セグメントで開示しているため、以下では売上収益を製品販売などの区分で見ます。上市済み製品の販売・ロイヤリティ収益は前年同期比14.9%増、研究・開発収益は47.6%増となりました。
| 売上収益の区分 | 2026年1〜9月(億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| ピヴラッツ | 98.8 | +10.2% |
| クービビック | 45.1 | +43.2% |
| 呼吸器疾患製品 | 14.5 | -9.4% |
| 研究・開発収益 | 119.0 | +47.6% |
| 合計 | 277.4 | +27.0% |
クービビックは塩野義製薬から受け取るロイヤリティと製品供給収益が伸び、不眠症治療薬として販売が好調でした。ピヴラッツも脳血管攣縮治療薬の販売増が続きましたが、ノバルティスの呼吸器疾患製品に関するロイヤリティは、製品ポートフォリオの成熟に伴って減少しました。研究・開発収益では、マイルストン達成が前年同期の6件から10件に増加し、契約一時金の減少を補いました。
- ピヴラッツ+10.2%
- クービビック+43.2%
- 呼吸器製品-9.4%
- 研究・開発+47.6%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 医薬品事業 | 277億円 | 100% | 32億円 | 11.4% |
通期見通し
2026年12月期の売上収益予想は338億〜488億円で、前期比14.1〜64.8%増を見込みます。営業利益は7億〜157億円、コア営業利益は78億〜228億円の範囲です。会社は直近予想からの修正はないとしています。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(億円) | 修正なし | 338〜488 | — |
| コア営業利益(億円) | 修正なし | 78〜228 | — |
| 営業利益(億円) | 修正なし | 7〜157 | — |
| ピヴラッツ売上(億円) | 修正なし | 138〜142 | 135.11 |
| クービビック売上(億円) | 修正なし | 50〜60 | 43.27 |
予想の下限は、既存提携先から約125億円のマイルストン収入を得ることや、研究開発費と販売費及び一般管理費を約35億円削減することを前提とします。上限には、これらに加えて重要な新規提携による一時金を見込んでおり、契約成立の時期や条件が業績を大きく左右します。為替前提は1ドル152円、1ポンド200円です。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は1,302億5,200万円で、前期末から45億3,500万円減少しました。親会社所有者帰属持分比率は49.3%となり、前期末の45.3%から上昇しています。
| 指標 | 2026年9月末または1〜9月 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 総資産(億円) | 1,302.5 | 前期末比 -45.4 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 49.3% | 前期末 45.3% |
| 営業キャッシュフロー(億円) | +57.3 | 前年同期 -25.4 |
| 投資キャッシュフロー(億円) | -42.2 | 前年同期 +34.7 |
| 財務キャッシュフロー(億円) | -50.4 | 前年同期 -50.2 |
営業キャッシュフローはマイルストン受領などを背景に黒字化しましたが、vamorolone導入に伴う無形資産取得や関連会社への出資で投資支出が増え、借入金返済も続いたため、現金及び現金同等物は前期末から37億5,200万円減って166億1,300万円となりました。2026年12月期の年間配当予想は0円で、前年実績から変更はありません。自己株式の取得は四半期累計で12億5,000万円を計上していますが、短信に新たな自社株買い枠の発表はありません。
戦略トピック
ネクセラは、国内・アジア太平洋地域で導入品を育てる事業と、NxWaveプラットフォームを使った創薬・提携の二つを成長の柱に据えています。2026年1〜9月は、提携先の臨床開発や研究の進展に伴うマイルストンを10件達成し、収益拡大につなげました。
- 提携先の開発進展: ニューロクラインの統合失調症向け候補薬などで臨床試験が進み、複数のマイルストンを受領しました。Centessa関連のオレキシン2受容体作動薬でも開発進展に応じた収入が発生しています。
- 販売地域の拡大: 10月には台湾のSynmosaと、QUVIVIQのアジア太平洋地域8カ国での独占的ライセンス・供給・商業化契約を締結しました。
- 希少疾患領域への展開: DMD治療薬vamoroloneは韓国で承認申請し、2027年の承認、2028年の発売を目指します。ファブリー病治療薬候補lucerastatではアジア太平洋の一部地域の権利を取得し、契約一時金として700万スイスフランを支払う契約を結びました。
こうした提携・導入は自社単独での開発負担を抑えながら、販売品目と開発候補を広げる狙いがあります。一方、マイルストン収入は開発段階や契約条件に左右され、毎期一定とは限りません。既存製品の販売拡大と、導入品の承認・上市を着実に進められるかが、収益の安定度を左右します。
リスクと課題
黒字転換を達成した一方、売上収益には提携先の開発状況や一時金の有無で変動する収入が含まれます。会社自身も業績予想の達成を保証しておらず、開発・販売の進捗を見極める必要があります。
- マイルストン収入の変動: 提携先の臨床試験や研究の進展が遅れれば、収入計上の時期がずれ、通期予想の達成に影響する可能性があります。
- 臨床開発・承認の不確実性: 自社や提携先の候補薬は、試験結果や規制当局の判断によって開発計画や上市時期が変わるリスクがあります。
- 製品販売と競争: ピヴラッツやクービビックの販売が伸びる一方、製品の成熟や競合薬の状況によってロイヤリティ収入が変動します。
- 減損・資金の減少: 当期はのれんなどの減損を計上し、現金残高も前期末から減少しました。導入・開発投資と資金余力の管理が今後の課題です。
- 為替変動: 英国など海外での研究開発や外貨建て契約があり、円とポンド・米ドルの変動が費用や収益に影響します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
1,440円
最新終値(2026/10/30)
1,440円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
ネクセラをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて製薬業界の今
掲載24社ネクセラは製薬業界の掲載24社中、売上高で23位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +10.9%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +12.2%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 7社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 13.9%
- ネクセラ+60.7%
- 製薬(業界平均)+10.9%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は11社合計で売上高+14.2%・営業利益+55.2%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は9社、下回る企業は8社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは7社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは大塚HD(営業利益+35.6%)。






タグ#ネクセラ#決算#決算分析#四半期決算#黒字転換#医薬品#マイルストン収入#クービビック#ピヴラッツ
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営業利益の黒字化は前向きですが、利益の伸びをそのまま定常的な稼ぐ力とみなすのは慎重であるべきです。マイルストン収入の増加に加え、研究開発費や販管費の減少も寄与しており、提携収入が少ない期にも利益を保てるかが次の焦点です。
一方、クービビックなど既存製品の成長と、APACでの導入品・ライセンス展開が同時に進んでいる点は事業基盤の広がりを示します。投資家は、通期予想の幅を分ける新規提携の成立だけでなく、導入品の承認・発売と製品販売の積み上がりを確認したいところです。
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掲載企業
ネクセラファーマ株式会社
東証 4565
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