小野薬品、2027年3月期第2四半期決算、減収も営業利益11%増

小野薬品の2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上収益は前年同期比9.6%減の2,325億円となった一方、営業利益は11.2%増の579億円、親会社株主に帰属する中間利益は12.1%増の449億円でした。フォシーガの共同販売終了で国内売上が落ち込んだものの、海外製品とロイヤルティの伸長、費用減が利益を押し上げ、減収でも利益は増加しました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,325億円 | -9.6% | 4,550億円 | 51% |
| 営業利益 | 579億円 | +11.2% | 940億円 | 62% |
| 純利益 | 449億円 | +12.1% | 710億円 | 63% |
| 営業利益率 | 24.9% | |||
この決算のポイント
- 1国内製品売上はフォシーガの販売終了などで前年同期比33.9%減の968億円。
- 2海外製品売上はキンロック、ロンビムザの伸長で前年同期比37.2%増の394億円。
- 3通期予想は売上収益4,550億円、営業利益940億円で、5月公表値から変更なし。
- 4年間配当予想は80円で前期と同額。中間配当40円を実施。
- 5臨床開発段階の候補品は30品目。Biohaven社のIgG分解薬を導入する契約を締結。
業績のポイント
小野薬品は中間期に減収となりましたが、営業利益と親会社株主に帰属する中間利益は2桁の増益でした。営業利益は前年同期から58億円、中間利益は48億円増え、売上収益は246億円減少しました。
| 指標 | 前年同期からの増減額(億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | -246 | -9.6% |
| 営業利益 | +58 | +11.2% |
| 親会社株主に帰属する中間利益 | +48 | +12.1% |
小野薬品(小野薬品工業)は、国内で薬価改定の影響を受けたうえ、アストラゼネカとの共同販売契約終了によりフォシーガの売上計上がなくなりました。前年同期にあった同薬の売上は488億円で、国内売上の減少を大きく押し下げました。一方、海外製品とロイヤルティ収入が伸び、売上原価や販売費も減ったため、減収下で営業増益を確保しました。
- 海外製品とロイヤルティ: キンロック、ロンビムザの販売拡大やロイヤルティ収入の増加が、国内減収の一部を補いました。
- 費用の減少: フォシーガの売上減に伴う原価や共同販促費の縮小に加え、前年同期に計上した提携・開発一時費用の反動で研究開発費も減りました。
- コア利益も増益: 一時的な項目などを除くコア営業利益は736億円で前年同期比5.1%増、コア中間利益は568億円で5.5%増でした。
IFRSベースの営業利益率は24.9%で、前年同期の約20.3%から上昇しました。売上規模が縮小しても利益が伸びた背景には、販売構成の変化だけでなく、販促費などのコスト減があります。国内の主力薬の減収を海外と費用管理で補う構図が鮮明になりました。
セグメント別動向
小野薬品の事業は医薬品事業の単一セグメントで、決算短信ではセグメント別の売上高・利益を開示していません。製品・収入区分でみると、国内製品の大幅な減収を海外製品とロイヤルティの増収が補う動きでした。
| 製品・収入区分 | 売上高(億円) | 前年同期比 | 増減額(億円) |
|---|---|---|---|
| 国内製品商品 | 968 | -33.9% | -495 |
| 海外製品商品 | 394 | +37.2% | +107 |
| ロイヤルティ・その他 | 964 | +17.3% | +142 |
国内では、フォシーガの売上計上終了に加え、薬価改定や競争激化を受け、オプジーボも前年同期比2.3%減の572億円でした。一方、オンジェンティスは市場浸透で17.0%増、ビラフトビは大腸がん一次治療での使用拡大により50.1%増となりました。
海外では、キンロックが市場浸透で25.6%増の228億円、ロンビムザが販売地域の拡大などで215.8%増の87億円でした。ロイヤルティ収入はブリストル・マイヤーズ スクイブなどからの収入増が寄与しています。成長の軸が国内販売から海外製品やロイヤルティへ広がる一方、国内の大型製品の契約終了や競争環境が売上変動を大きくする点には注意が必要です。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末から151億円減少した一方、親会社所有者帰属持分比率は80.2%に上昇しました。営業キャッシュフローは黒字を維持し、期末の現金及び現金同等物も前期末から増えています。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 前期末・前年同期 | 増減・前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 総資産(億円) | 10,914 | 11,065 | -151億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 80.2% | 76.9% | +3.3ポイント |
| 営業キャッシュフロー(億円) | 503 | 546 | -8% |
| 現金及び現金同等物(億円) | 2,582 | 2,370 | +212億円 |
| 年間配当予想(円) | 80 | 前期80 | 変更なし |
営業キャッシュフローは、税引前利益の増加があった一方、法人所得税などの支払いが膨らみ、前年同期を下回りました。投資キャッシュフローは、前年同期の無形資産取得による大きな支出がなくなり、10億円の収入に転じています。財務キャッシュフローは配当支払いと借入金返済などで300億円の支出でした。
中間配当は1株40円で、期末予想も40円、年間配当予想は前期と同じ80円です。短信に大規模な自社株買いの発表はなく、期間中の自己株式取得額も小幅でした。負債の減少と自己資本比率の上昇で財務基盤は厚くなっていますが、研究開発や導入品への投資を続けるため、今後は成長投資と株主還元の両立が焦点です。
通期見通し
小野薬品は2027年3月期の通期予想を据え置きました。売上収益は前年同期比11.8%減を見込む一方、IFRSベースの営業利益は1.9%増、親会社株主に帰属する当期利益は1.8%増を計画しています。
| 指標 | 前回予想(5月公表) | 今回予想 | 前期実績比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(億円) | 4,550 | 4,550 | -11.8% |
| 営業利益(億円) | 940 | 940 | +1.9% |
| 親会社株主に帰属する当期利益(億円) | 710 | 710 | +1.8% |
会社は今回の中間決算を受けた予想修正を行わず、5月8日に公表した計画を維持しました。コアベースでは売上収益4,550億円、コア営業利益1,240億円を見込み、コア営業利益は前期比9.6%減の計画です。
中間期は売上収益が前年同期を下回る一方、営業利益は増加しました。通期達成には、国内のフォシーガ売上終了を海外製品やロイヤルティの伸びでどこまで補えるか、また下期の費用や研究開発投資が計画内に収まるかが重要になります。会社は業績予想に関する記述について、前提や外部要因によって実績が大きく異なる可能性があるとしています。
研究開発・成長投資
小野薬品は、がん、免疫・炎症、神経領域を重点分野として新薬開発を進めています。臨床開発段階の候補品は30品目あり、このうち19品目を自社で創製しました。
- 創薬の進捗: ONO-2808は多系統萎縮症を対象とする国際共同第3相試験を開始し、ONO-4578は胃がんを対象とする国際共同第3相試験を始めました。
- 承認・申請: てんかん治療薬エキスコプリは国内承認を取得。オプジーボは甲状腺未分化がんで承認申請し、ベレキシブルも適応追加を申請しました。
- 開発の見直し: オプジーボの膀胱がん、肝細胞がんの術後補助療法試験は主要評価項目を達成できず、開発を中止しました。
- 外部連携: 米国Mediar Therapeutics、Aitiaと創薬提携を結び、外部の研究力も取り込みます。
研究開発費は中間期に691億円で、前年同期比2.7%減でしたが、主因は前年に計上した提携・開発一時費用の反動です。研究開発を縮小したというより、重点領域の候補品を進めながら、臨床試験の結果に応じて開発を選別する段階といえます。候補品の臨床試験が承認や販売につながるかが、中長期の成長を左右します。
戦略トピック
小野薬品は米Biohaven社と、IgG分解薬の開発・販売に関する独占ライセンス契約を締結しました。日本、韓国、台湾、ASEAN諸国での開発・商業化権を得る契約で、対象資産にはBHV-1300、BHV-1310、BHV-1320が含まれます。
- 契約一時金: Biohaven社に8,000万米ドルを支払います。
- 追加支払い: 開発の進捗に応じて最大2,000万米ドルのマイルストンと、将来の売上高に応じたロイヤルティを支払います。
- 業績への影響: 一時金は2027年3月期第3四半期に無形資産として計上する予定で、当期業績への影響は軽微としています。
BHV-1300は米国などでバセドウ病を対象とする第3相試験が進んでいます。小野薬品にとっては、自社創製品だけでなく外部導入品を取り込み、重点領域の開発パイプラインを広げる動きです。一方、契約一時金や開発費用を回収できるかは、臨床試験の結果や各地域での承認、販売の成否に左右されます。
リスクと課題
中間期は利益が伸びたものの、国内の大型製品の販売環境や、開発品が上市に至るまでの不確実性が残ります。特に売上の構成変化と臨床試験の成否が、今後の業績を左右します。
- 国内販売の落ち込み: フォシーガの共同販売終了と薬価改定で国内製品売上が減少しました。オプジーボも競争激化を背景に前年同期比2.3%減となり、国内製品の回復が課題です。
- 海外製品の成長継続: キンロックやロンビムザは伸びていますが、市場浸透や販売地域拡大が計画どおり続くとは限らず、通期予想を支える成長の持続性が問われます。
- 研究開発の不確実性: オプジーボの複数試験などで開発中止が発生しています。候補品の試験結果次第では、研究開発費や将来の売上計画に影響する可能性があります。
- 導入契約の回収リスク: Biohaven社との契約では一時金やマイルストン、ロイヤルティの負担が生じます。開発・承認・販売が想定どおり進まなければ、投資回収が遅れるおそれがあります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
2,224.5円
最新終値(2026/10/29)
2,224.5円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
小野薬品をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて製薬業界の今
掲載24社小野薬品は製薬業界の掲載24社中、売上高で8位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +9.1%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- +10.9%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 5社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 13.9%
- 小野薬品+18.5%
- 製薬(業界平均)+9.1%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は12社合計で売上高+14.6%・営業利益+48.3%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は8社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは5社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは大塚HD(営業利益+30.3%)。






タグ#小野薬品#決算#決算分析#四半期決算#医薬品業界#オプジーボ#海外展開#研究開発#配当
この記事はいかがでしたか?
登録不要・匿名で送信コメント
今回の決算は、売上の減少を利益の減少に直結させず、費用管理と海外製品・ロイヤルティの伸びで増益を確保した点が評価できます。ただし、フォシーガの販売終了で国内売上の構造が変わり、オプジーボにも競争の影響が出ています。
今後はキンロックやロンビムザの成長を保てるかに加え、導入品や自社候補品をどれだけ承認・販売につなげられるかが焦点です。利益の底堅さを、次の成長製品で補えるかを下期以降も見極めたい決算です。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/ono-pharma/report/2027-Q2
関連記事
同社の関連記事
中堅製薬・創薬の最新記事
- 決算解説日本新薬2027年3月期 第1四半期日本新薬、2027年3月期第1四半期決算、売上高24.1%増、営業利益22.1%増

- 決算解説ペプチドリーム2026年12月期 第2四半期ペプチドリーム、2026年12月期第2四半期決算、売上高8%増も営業損失は縮小

- 決算解説科研2027年3月期 第1四半期科研、2027年3月期第1四半期決算、海外売上急増で単体営業利益が急回復

- 決算解説キッセイ2027年3月期 第1四半期キッセイ、2027年3月期第1四半期決算、増収も営業益48%減で通期予想を下方修正

- 共同研究マイルストーン受領ペプチドリーム10月7日ペプチドリーム、MSDとPCC開発でマイルストーン達成。PDPSプラットフォームの汎用性裏付けし業績予想変更なしを確認

- 業績予想修正キッセイ10月29日キッセイ薬品、2027年3月期中間営業益16億円へ上方修正も純利益は前期比34.5%減

掲載企業

小野薬品工業株式会社
東証 4528
これが最新の決算解説です
次回の決算発表
同業他社の発表予定
今後2週間に604社が決算発表 · 注目企業と進捗率を見る他の決算期
4期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
- 2026年3月期 通期
- 2026年3月期 第3四半期




