科研、2027年3月期第1四半期決算、海外売上急増で単体営業利益が急回復
科研の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、連結売上高は前年同期比59.8%増の301億5400万円となりました。科研製薬単体では営業利益が107億1900万円と、前年同期の3300万円から急増し、純利益も81億8300万円に伸びました。海外医薬品売上の拡大が業績を押し上げる一方、主力の爪白癬治療剤クレナフィン群は減収となり、製品ごとの差も表れています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 302億円 | +59.8% | 899億円 | 34% |
| 営業利益 | - | — | — | — |
| 純利益 | - | — | — | — |
この決算のポイント
- 1連結売上高は前年同期比59.8%増の301億5400万円、通期計画に対する進捗率は33.5%。
- 2単体の営業利益は107億1900万円で、前年同期の3300万円から大幅に増加。
- 3連結海外売上高は前年同期比733.7%増の144億9100万円、売上高比率は48.1%。
- 4クレナフィン群の国内売上高は前年同期比47.2%減の23億1000万円。
- 5通期連結売上高予想は899億円で、前期実績比16.9%増を見込む。
業績のポイント
科研(科研製薬)の連結売上高は前年同期比59.8%増の301億5400万円でした。利益の連結数値は今回の補足資料から確認できませんが、科研単体では営業利益が107億1900万円、純利益が81億8300万円と大きく伸びました。海外売上の急拡大が業績を押し上げた一方、国内主力品には弱さも残ります。
- 海外売上高: 144億9100万円となり、前年同期比733.7%増。海外売上高比率も9.2%から48.1%に上昇しました。
- 単体の売上総利益: 195億4300万円で前年同期比99.3%増。売上原価の増加が0.7%にとどまる一方、売上高が52.1%増えました。
- 単体の販売費及び一般管理費: 88億2400万円で前年同期比9.7%減。研究開発費は41億8800万円で22.2%減でした。
海外医薬品売上の増加幅が大きく、海外事業の存在感が一段と高まりました。Aadi社買収に伴う会計処理の記載はありますが、補足資料は売上増加の要因を個別に説明していないため、寄与の詳細は断定できません。単体の利益急増は、売上拡大と売上総利益率の改善、販管費の減少が重なった結果です。
- 売上高+52.1%
- 売上総利益+99.3%
- 販管費-9.7%
- 研究開発費-22.2%
セグメント別動向
薬業は売上高294億9600万円で、前年同期比61.8%増でした。医薬品・医療機器の国内外売上が同62.8%増の277億9600万円となり、薬業全体の伸びをけん引しました。海外医薬品売上の拡大が目立つ一方、国内では主力品の動きに明暗があります。
- 不動産事業: 売上高は6億5700万円で、前年同期比3.1%増。事業全体に占める規模は小さいものの、安定した増収でした。
- 国内主要品: クレナフィン群の売上高は23億1000万円で、前年同期比47.2%減。エクロックは3.6%増、ヘルニコアは13.0%増でした。
- 農業薬品: 連結売上高は16億4400万円で、前年同期比48.3%増でした。
薬業の増収は医薬品・医療機器が中心で、なかでも海外売上高の急伸が全体を押し上げています。一方、クレナフィン群は先発品の売上高が大きく減少しており、既存主力品の減収を他製品や海外展開で補えるかが焦点です。補足資料には個別セグメントの営業利益が示されていないため、売上の伸びが利益にどれだけ結びついたかは判断できません。
| 区分 | 2027年3月期Q1売上高(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 薬業 | 29,496 | +61.8% |
| 医薬品・医療機器 | 27,796 | +62.8% |
| 農業薬品 | 1,644 | +48.3% |
| 不動産事業 | 657 | +3.1% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 薬業 | 295億円 | 98% | - | - |
| 不動産事業 | 7億円 | 2% | - | - |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は1874億1400万円で、2026年3月末から91億9600万円増えました。現金及び現金同等物は74億3700万円増の581億4300万円、純資産は52億6300万円増の1528億8300万円です。自己資本比率は、純資産を総資産で割った単純計算で約81.6%となります。
- 総資産: 1874億1400万円で、前年度末比5.2%増。
- 現金及び現金同等物: 581億4300万円で、前年度末比17.6%増。
- 負債合計: 345億3100万円で、前年度末比39億3300万円増。
- 設備投資額: 連結で5億7500万円となり、前年同期比59.4%減。通期計画は21億円です。
- 配当・自社株買い・キャッシュフロー: 今回の補足資料には金額や実施状況の記載がありません。
現金の積み上がりと純資産の増加から、足元の財務基盤には余裕があります。一方、Aadi社買収に関連するのれんや販売権などの無形固定資産も計上されており、買収後の事業成果を継続的に確認する必要があります。配当や自社株買いの判断については、この資料だけでは評価できません。
通期見通し
2027年3月期の連結売上高計画は899億円で、前期実績比16.9%増を見込んでいます。第1四半期の売上高は計画の33.5%に相当します。今回の補足資料には、通期の利益予想や前回予想からの修正内容は確認できません。
| 項目 | 2027年3月期計画(百万円) | 2026年3月期実績(百万円) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 連結売上高 | 89,900 | 76,871 | +16.9% |
| 薬業売上高 | 87,300 | 74,328 | +17.5% |
| 医薬品・医療機器売上高 | 80,700 | 67,844 | +18.9% |
| 農業薬品売上高 | 6,400 | 6,274 | +2.0% |
| 不動産事業売上高 | 2,600 | 2,543 | +2.2% |
通期計画の増収を支えるのは、売上規模の大きい医薬品・医療機器です。第1四半期は海外売上が大きく伸びたものの、クレナフィン群の国内減収も続いており、残りの期間で海外の売上拡大を維持できるかが計画達成のポイントになります。
研究開発・成長投資
科研単体の研究開発費は41億8800万円で、前年同期比22.2%減でした。一方、開発パイプラインでは自社開発品の申請や第III相試験が進んでおり、既存薬の販売に加えて将来の製品候補を育てる段階にあります。研究開発費の減少だけで開発姿勢の変化を判断することはできません。
- 承認申請: アタマジラミ症治療薬KARと、難治性脈管奇形を対象とするKP-001を2026年に申請しました。
- 第III相試験: 原発性胆汁性胆管炎のKC-8025、尋常性乾癬などを対象とするESK-001が開発段階にあります。
- 設備投資: 連結の第1四半期実績は5億7500万円で、前年同期比59.4%減。通期計画は21億円です。
申請中の2品目が承認に至れば、販売機会の拡大につながる可能性があります。ただし、新薬は開発に長い期間と多額の費用を要し、試験結果や審査によって計画が変わることもあります。短期的な費用の増減より、開発段階の進展と上市後の収益化を合わせて見る必要があります。
リスクと課題
海外売上が急増した一方、国内の主力品には減収が見られ、製品や地域による業績のばらつきが強まっています。新薬開発の不確実性に加え、買収後の事業成果も中長期の注目点です。
- 主力品の競争: クレナフィン群の売上高は前年同期比47.2%減でした。国内の既存品が弱含めば、海外成長や新製品の伸びで補う必要があります。
- 海外売上の変動: 海外売上高の増加が全体の増収に大きく寄与しています。海外の販売状況や導出品の開発・販売動向が変われば、業績への影響も大きくなる可能性があります。
- 研究開発の不確実性: 開発には長い期間と多額の資金が必要で、試験結果などによって開発中止となる場合があります。申請中・臨床試験中の品目が計画通り進むとは限りません。
- 買収後の統合と収益化: Aadi社買収に関連する会計処理が記載されています。買収で得た事業や資産が継続的な収益に結びつくかを見極める必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/3)
3,820円
最新終値(2026/10/23)
3,840円+0.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#科研#決算#決算分析#四半期決算#海外売上#医薬品#クレナフィン#研究開発
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コメント
今回の決算で最も目を引くのは、海外売上が急伸し、科研単体の利益率も大きく改善した点です。財務基盤にも余裕があり、短期的な業績と財務の両面は堅調に見えます。
ただし、国内のクレナフィン群が大幅減収となっており、海外の伸びが続くか、新たな開発品が収益源に育つかが次の焦点です。単体利益と連結売上の動きは分けて捉え、今後の四半期で海外売上の持続性や買収事業の収益化を確認したい決算です。
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掲載企業
科研製薬株式会社
東証 4521
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