TSI、2027年2月期第2四半期決算(中間決算)、買収で売上高34%増
TSIの2027年2月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比34.4%増の889億500万円、営業利益は55.5%増の9億9500万円となり、増収増益でした。前期に連結したデイトナ・インターナショナルなどが通期で寄与し、既存ブランドも堅調に推移しました。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は14.9%減の11億1700万円。買収効果で売上が大きく伸びる一方、利益率改善が課題です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 889億円 | +34.4% | 2,000億円 | 44% |
| 営業利益 | 10億円 | +55.5% | 75億円 | 13% |
| 純利益 | 11億円 | -14.9% | 77億円 | 15% |
| 営業利益率 | 1.1% | |||
この決算のポイント
- 1アパレル関連は前年同期比32.4%増収。メンズブランドやフリークス ストアが売上を支えた
- 2自社ECサイト「mix.tokyo」は前年同期比20%超の増収で、オンライン販売が成長
- 3東洋エンタープライズなどを取得。取得対価は79億900万円だが、今中間期の損益には未反映
- 4年間配当予想は前期40円から70円へ増配。中間配当はなく、期末配当を70円とする計画
- 5通期予想は売上高2000億円、営業利益75億円で据え置き。中間期の営業利益進捗率は13.3%
業績のポイント
TSI(TSIホールディングス)は、2026年3月から8月までの中間期に売上高889億500万円、営業利益9億9500万円、親会社株主に帰属する中間純利益11億1700万円を計上しました。前年同期比では売上高が34.4%増、営業利益が55.5%増となった一方、中間純利益は14.9%減でした。
- 売上拡大: 前期に連結したデイトナ・インターナショナルとウォーターフロントが期初から寄与。既存事業ではメンズブランドや一部ウィメンズブランドも堅調でした。
- 利益率の綱引き: 売上総利益率は前年同期比2.1ポイント低下。新規連結会社の利益率水準や輸入ブランドの為替影響が響きましたが、販管費率は2.2ポイント改善しました。
- 純利益の減少: 営業利益と経常利益は増えたものの、法人税等の負担が前年同期より増加し、親会社株主に帰属する中間純利益は減少しました。
買収を軸に増収、利益率はなお綱引きという内容です。営業利益率は前年同期の約1.0%から約1.1%へ小幅に改善しましたが、売上高の伸びに比べると利益の積み上がりは限定的です。経常利益は前年同期比44.7%増の19億2900万円でしたが、税負担などが最終利益を押し下げました。
セグメント別動向
アパレル関連事業は、売上高が前年同期比32.4%増となりました。メンズの「アヴィレックス」「ショット」「ステューシー」は定番品や話題性のある商品の販売が好調で、「フリークス ストア」も40周年企画商品やメンズ商品が堅調でした。ウィメンズでは「ジル バイ ジル スチュアート」のアクセサリーが伸び、「ヒューマンウーマン」「ナチュラルビューティーベーシック」も商品構成の見直しが回復につながりました。
その他の事業は、売上高が前年同期比74.6%増となりました。傘を扱うウォーターフロントの連結が増収に寄与したほか、求人サービスのREADY TO FASHION、人材関連のエス・グルーヴ、化粧品・香水などを扱うLaline JAPANなども展開しています。
自社ECサイト「mix.tokyo」は前年同期比20%を超える増収となり、ブランド横断で顧客との接点を広げています。アパレル市場では円安や物価高による節約志向が続く一方、インバウンド消費の高単価化やメンズ商品の好調が追い風です。ブランドごとの商品企画とECの成長を、今後どこまで利益率向上につなげられるかが焦点です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| アパレル関連事業 | 843億円 | 95% | 13億円 | 1.6% |
| その他 | 46億円 | 5% | 4億円 | 8.1% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比1.2%減の1776億800万円、自己資本比率は前期末の55.3%から51.6%へ低下しました。営業活動によるキャッシュフローは前年同期の支出から収入に転じ、投資活動では新規連結会社の取得に伴う支出が膨らみました。
| 指標 | 2027年2月期中間期末・累計 | 比較 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 1776億800万円 | 前期末比-1.2% | 負債は859億4000万円 |
| 自己資本比率 | 51.6% | 前期末比-3.7ポイント | 借入金の増加などが影響 |
| 営業CF | 77億8100万円 | 前年同期は-70億1700万円 | 法人税等の支払額も前年同期より減少 |
| 投資CF | -75億8600万円 | 前年同期は7800万円の収入 | 子会社取得支出は43億4200万円 |
| 年間配当予想 | 70円 | 前期実績40円 | 期末配当70円、中間配当なし |
| 自己株式取得支出 | 29億9900万円 | 前年同期は128億7400万円 | 財務CFは20億6600万円の収入 |
配当予想は前期から30円増え、株主還元を強める計画です。一方、自己株式取得に伴う支出や借入金の増加もあり、自己資本比率は低下しました。新規事業の取り込みと株主還元を進めながら、買収後の収益力を高め、財務余力を維持できるかが重要です。
通期見通し
2027年2月期の連結業績予想は、2026年4月に公表した内容から変更していません。売上高2000億円、営業利益75億円、親会社株主に帰属する当期純利益77億円を見込み、いずれも前期実績を上回る計画です。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2000億円 | 2000億円 | +19.7% |
| 営業利益 | 75億円 | 75億円 | +73.7% |
| 経常利益 | 72億円 | 72億円 | +32.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 77億円 | 77億円 | +96.6% |
中間期の営業利益は通期計画に対して13.3%の進捗にとどまり、売上高の進捗は44.5%です。会社は予想を据え置いており、下期に向けて利益を積み上げる必要があります。暖春や夏場の天候不順が商品需要に影響したと説明しており、季節商品の販売動向と、買収した事業を含む利益率の改善が計画達成の鍵です。
戦略トピック
TSIは2026年8月、東洋エンタープライズと販売会社のレイラニトレーディングを取得しました。取得対価は現金79億900万円で、議決権比率は100%。両社の業績は中間期の損益計算書には含まれず、今回の売上高には取得効果がまだ表れていません。
- ブランドの相乗効果: 東洋エンタープライズの「復刻・文化継承」の強みと、TSIの多様なブランド群を組み合わせ、限定商品の展開を目指します。
- 販路の活用: 自社EC「mix.tokyo」などを生かして新たな顧客層を開拓し、海外でも「ジャパン・クオリティ」を発信する方針です。
- アメカジの拡大: 「アヴィレックス」「アルファ・インダストリーズ」など既存ブランドとの連携を通じ、アメリカンカジュアル市場でのシェア拡大を狙います。
今回の買収は、ブランド資産と販売網を掛け合わせる成長戦略の一環です。取得会社の売上寄与が次の決算以降にどう表れるかに加え、取得費用やのれんを上回る利益を生み出せるかが投資家の確認点となります。
リスクと課題
売上高は大きく伸びましたが、消費環境や天候、為替など外部要因の影響を受けやすい事業構造は続いています。買収による売上拡大を利益成長に結びつけられるかも課題です。
- 円安・物価高: 輸入ブランドの仕入れコストを押し上げる一方、生活防衛意識が強まれば衣料品の消費が鈍る可能性があります。
- 天候と季節商品の需要: 春先の暖かさで春物が早く動いた一方、6月以降の不安定な天候が夏物需要に影響しました。季節商品の販売時期がずれると、在庫や値引きの負担につながり得ます。
- 買収後の利益率: 新規連結会社の利益率水準が全体の売上総利益率を押し下げました。ブランド間の連携や販売効率の改善が進まなければ、増収が営業利益の伸びに結びつきにくくなります。
- 借入金と財務余力: 子会社取得などを背景に金融機関からの借入金が増え、自己資本比率も前期末から低下しました。投資と株主還元を続けながら財務の健全性を保てるかが注目されます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/1)
1,207円
最新終値(2026/10/23)
1,169円-3.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#TSI#決算#決算分析#四半期決算#アパレル#増収増益#M&A#mix.tokyo#配当
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コメント
買収で売上規模を広げる一方、売上総利益率の低下を販管費率の改善で補う構図です。増収の勢いだけで評価するのではなく、買収したブランドや既存ブランドの収益性が次の四半期以降にどう変わるかを見たい決算です。
営業利益の通期計画に対する中間期の進捗は低く、会社は予想を据え置きました。下期の販売が計画を押し上げるのか、あるいは天候や為替の逆風が残るのかが、目先の焦点です。
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掲載企業
株式会社TSIホールディングス
東証 3608
これが最新の決算解説です





