ツルハHD・2026年2月期通期、売上高1.4兆円で過去最高——ウエルシア統合で店舗数5,600超、次期は2.5兆円へ

ツルハホールディングスが発表した2026年2月期決算は、売上高が 1兆4,505億円、営業利益が 630億円 となりました。2025年12月に実施した ウエルシアホールディングスおよびイオン株式会社との経営統合 により、グループ店舗数は5,676店舗へと急拡大し、国内ドラッグストア業界で圧倒的な規模を確保しました。変則決算だった前期との単純比較は困難ですが、統合シナジーの創出と調剤併設の推進により、収益基盤は大幅に強化されています。
決算の数字通期
1年間の確定値(前年比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 今期予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.5兆円 | — | 2.6兆円 |
| 営業利益 | 630億円 | — | 994億円 |
| 純利益 | 427億円 | — | 415億円 |
| 営業利益率 | 4.3% | ||
業績のポイント
当連結会計年度の業績は、売上高 1兆4,505億円、営業利益 630億円、親会社株主に帰属する当期純利益は 426億円 となりました。前期(2025年2月期)が決算期変更に伴う9.5ヶ月の変則決算であったため対前期増減率は非表示ですが、実質的に過去最高の事業規模に到達しています。利益面では、調剤併設の推進やプライベートブランド(PB)の拡販が寄与し、営業利益率は 4.3% を確保しました。
今回の決算における最大の変化は、2025年12月に実施された ウエルシアホールディングスの連結子会社化 です。これにより、組織体制の整備や商品政策の統一、データ活用の基盤整備といったシナジー創出に向けた動きが本格化しています。業界内での競争が激化する中、巨大な店舗網を背景とした購買力の強化や販管費の抑制を通じて、中長期的な収益性の向上を目指す構えです。
セグメント別動向
当社グループはドラッグストアおよび調剤薬局を運営する「物販事業」の単一セグメントですが、販売実績を品目別に見ると多角的な商品構成が鮮明になっています。特に 食品部門 が売上全体の 27.1%(3,936億円)を占め、集客の柱となっている一方で、高利益率な 調剤部門 も 16.4%(2,375億円)まで成長し、収益を支える構造へと進化しています。
店舗展開においては、既存エリアのドミナント強化を基本方針とし、当期は新規出店117店舗、閉店90店舗を実施しました。これに経営統合に伴う子会社化の影響を加えた結果、期末の国内店舗数は前期末の2,658店舗から 5,676店舗 へと倍増しました。調剤併設店舗数も 3,319店舗 となり、高齢化社会における地域インフラとしての機能を一段と強めています。
| 品目 | 販売実績(百万円) | 構成比 | 主な動き |
|---|---|---|---|
| 医薬品 | 144,457 | 10.0% | PB薬品の拡販に注力 |
| 化粧品 | 186,248 | 12.8% | カウンセリング販売を強化 |
| 雑貨 | 347,894 | 24.0% | 日用品の競争力維持 |
| 食品 | 393,616 | 27.1% | 圧倒的な集客力を発揮 |
| 調剤 | 237,570 | 16.4% | 調剤併設店舗の拡大が寄与 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 物販事業(単一セグメント) | 1.5兆円 | 100% | 630億円 | 4.3% |
財務状況と資本政策
総資産は、ウエルシアとの統合による資産の受け入れに伴い、前期末比で約1兆円増加し 1兆6,479億円 となりました。現金及び預金が 2,021億円(前年末比+1,093億円)と積み上がったほか、統合による「のれん」も 4,545億円 計上されています。自己資本比率は 53.1% を維持しており、大型統合後も安定した財務基盤を保っています。
株主還元については、2025年9月1日付で実施した 1株につき5株の株式分割 を考慮した新たな配当方針を掲げています。配当性向は連結ベースで 35%以上 を目標としており、2027年2月期の年間配当は1株当たり 48円(中間24円・期末24円)を予定しています。自社株買いについても当期中に 784億円 を実施しており、資本効率の向上と株主への利益還元を両立させる姿勢を鮮明にしています。
通期見通し
2027年2月期の通期連結業績予想は、ウエルシアの通期連結が寄与することから、売上高 2兆5,550億円(前期比+76.1%)、営業利益 994億円(同+57.7%)と大幅な増収増益を見込んでいます。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は 415億円(同2.7%減)と微減を予想しています。これは前期に計上された 段階取得に係る差益(105億円) などの特殊要因が剥落するためであり、実質的な本業の稼ぐ力は拡大する見通しです。
| 項目 | 2026年2月期実績 | 2027年2月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆4,505億円 | 2兆5,550億円 | +76.1% |
| 営業利益 | 630億円 | 994億円 | +57.7% |
| 親会社純利益 | 426億円 | 415億円 | △2.7% |
リスクと課題
今後の経営課題として、会社側は以下のリスク要因を挙げています。
- 統合シナジーの早期実現: ウエルシアとの商品調達の共通化や物流網の最適化によるコスト削減効果が計画通りに進むかが焦点となります。
- 競争環境の激化: 業界再編が進む中、ドラッグストア他社のみならずコンビニやスーパーとの境界線が曖昧になっており、商圏の奪い合いが激化しています。
- コスト上昇の圧力: 人手不足に伴う人件費の上昇や、エネルギー価格の高騰による物流コスト増が利益を圧迫する懸念があります。
- 店舗網の再編: 統合に伴う不採算店舗の整理や、同一エリア内での自社店舗同士の競合(カニバリゼーション)の解消が求められます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/4/8)
2,489.5円
最新終値(2026/10/23)
2,226.5円-10.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ツルハホールディングス#ウエルシア#経営統合#ドラッグストア#最高益#株式分割#増配#イオン#M&A#小売業界
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
今回の決算は、日本のドラッグストア業界の歴史における「巨大な転換点」を象徴する内容です。ツルハとウエルシアという業界トップクラスの2社がイオンを軸に結集したことで、売上高2.5兆円、5,600店舗超という圧倒的な「規模の経済」を享受できる体制が整いました。
注目すべきは、単なる店舗数の拡大だけでなく、調剤と食品の両輪 で顧客を囲い込む戦略が着実に進んでいる点です。調剤利益率は高いため、高齢化社会においては安定したキャッシュフローを生みます。一方で、純利益予想が微減となっている点は、統合に伴うシステム刷新やブランド再編、のれん償却費などのコストが先行していることを示唆しています。
今後の焦点は、日本最大級のドラッグストア連合が、圧倒的な購買力を使ってPB(プライベートブランド)をどこまで浸透させられるか、そしてイオンの経済圏とどうシナジーを生むかにあります。投資家や就活生にとっては、この巨大組織が「巨大すぎて動けない」状態にならず、機動的な経営を維持できるかが、今後の真の価値を見極めるポイントになるでしょう。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/tsuruha-hd/report/2026-FY
関連記事
同社の関連記事
ドラッグストア大手の最新記事
- 決算解説マツキヨココカラ2027年3月期 第1四半期マツキヨココカラ、2027年3月期第1四半期決算、増収増益で営業利益8.5%増

- 決算解説スギHD2027年2月期 第2四半期(中間期)スギHD、2027年2月期第2四半期決算、売上高8.1%増も純利益大幅減の要因とセキ薬品子会社化の impact

- 決算解説サンドラッグ2027年3月期 第1四半期サンドラッグ、2027年3月期第1四半期決算、売上高3.7%増も営業利益1.5%減
- 決算解説コスモス薬品2027年5月期 第1四半期(累計)コスモス薬品、2027年5月期第1四半期決算、売上高過去最高を記録も増益率は鈍化

- 自己株式の消却完了マツキヨココカラ5月29日マツキヨココカラ&カンパニー:461万7700株の自己株式消却を完了、発行済株式総数の1.16%相当

- 業績予想修正スギHD10月8日スギHD、2027年2月期通期純利益を16.5%下方修正。セキ薬品統合で売上は拡大も天候不順で利益圧迫






