スギホールディングス・2026年2月期、売上高初の1兆円突破——純利益75%増、積極M&Aと株式分割で成長加速へ

スギホールディングスが発表した2026年2月期連結決算は、売上高が前期比15.1%増の1兆103億円に達し、悲願の「1兆円企業」入りを果たしました。積極的な新規出店に加え、M&Aによる店舗網拡大や調剤領域の強化が収益を押し上げ、親会社株主に帰属する当期純利益は449億円(同75.1%増)と大幅な伸びを記録しました。同社は併せて、投資家層の拡大を目的とした1対2の株式分割の実施も発表しています。
決算の数字通期
1年間の確定値(前年比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 今期予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.0兆円 | +15.1% | 1.1兆円 |
| 営業利益 | 486億円 | +14.1% | 540億円 |
| 純利益 | 450億円 | +75.1% | 328億円 |
| 営業利益率 | 4.8% | ||
業績のポイント
2026年2月期の業績は、主力事業の拡大と戦略的な買収が結実し、全ての重要指標で過去最高を更新しました。売上高は1兆103億3,600万円(前期比15.1%増)となり、ドラッグストア業界でも数少ない1兆円超えを達成しました。営業利益は485億6,800万円(同14.1%増)、経常利益は500億6,200万円(同19.2%増)と、競争激化の中でも二桁の利益成長を維持しています。
利益面で特筆すべきは、親会社株主に帰属する当期純利益が449億8,200万円(同75.1%増)と急増した点です。これは、事業譲渡に伴う利益や負ののれん発生益の計上、さらには税金費用の調整がプラスに働いたことが要因です。1株当たり当期純利益も前期の141.96円から248.56円へと大幅に上昇し、株主への還元余力が大きく高まる結果となりました。
| 項目 | 2025年2月期(前期) | 2026年2月期(当期) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,780億円 | 1兆103億円 | +15.1% |
| 営業利益 | 425億円 | 485億円 | +14.1% |
| 経常利益 | 419億円 | 500億円 | +19.2% |
| 当期純利益 | 256億円 | 449億円 | +75.1% |
| 営業利益率 | 4.8% | 4.8% | ±0.0pt |
セグメント別動向(ドラッグストア・調剤事業)
同社はドラッグストア・調剤事業の単一セグメントですが、領域ごとに異なる成長要因が見られます。ドラッグストア領域では、関東・中部・関西エリアへのドミナント出店を加速させ、期中に110店舗を新規出店しました。物価高による節約志向が続く中、アプリを活用した個客別販促によりヘルス&ビューティケア商品や日用雑貨が堅調に推移したことが、増収の主因となりました。
調剤領域においては、高齢化に伴う処方せん応需枚数の増加を背景に、極めて堅調な推移を見せました。薬剤師の専門教育を強化し、高度な専門性を要する処方せんや訪問調剤の体制を整えたことで、処方せん獲得能力が向上しています。また、調剤DX(処方せん送信アプリなど)の普及により、現場の事務負担を軽減し、人的生産性の向上を実現した点も利益確保に寄与しました。
期末の店舗数は、新規出店110店に対し退店を46店に抑え、さらに旧I&H株式会社の店舗取得(72店舗)などを含め、合計2,321店舗まで拡大しました。既存店に対しても217店舗の大規模改装を実施し、鮮度を保ちながら地域シェアを確実に奪う戦略が功を奏しています。
財務状況と資本政策
総資産は、店舗網拡大やM&A、さらには金融機関休業日の影響による現預金の積み上がりなどから、前期末比1,193億円増の6,144億円となりました。買収に伴う負債増もありましたが、純資産も2,904億円(同397億円増)に増加し、自己資本比率は47.3%を維持。攻めの投資を継続できる健全な財務基盤を保持しています。
配当については、前期と同額の年間35円(中間15円・期末20円)を決定しました。注目すべきは資本政策の変更です。同社は2026年9月1日付で1株につき2株の株式分割を実施することを発表しました。これにより最低投資金額を引き下げ、個人投資家や若年層の株主を呼び込む狙いがあります。次期(2027年2月期)の配当も、分割を考慮しないベースでは35円を維持する方針であり、安定した還元姿勢を打ち出しています。
リスクと課題
業績は絶好調ですが、経営陣は外部環境の変化に対し警戒を緩めていません。主なリスクとして、以下の要因を挙げています。
- 物価上昇と消費行動の変化: 賃金改善は見られるものの、エネルギーや物流コストの上昇が商品の安定供給や運営コストを圧迫するリスクがあります。
- 競争のボーダレス化: 業界内の競合に加え、異業種からの参入による価格競争の激化が収益性を左右する懸念があります。
- 調剤報酬改定: 医療政策の変化により、対人業務への評価転換が求められており、DX化を含めた業務プロセスの不断の改革が必須となります。
- 地政学リスク: 中東情勢等の緊迫化が、原材料コストやエネルギー価格を通じて間接的に業績を揺さぶる可能性があります。
通期見通しと戦略トピック
2027年2月期の通期予想は、売上高1兆920億円(前期比8.1%増)、営業利益540億円(同11.2%増)と、増収増益の継続を見込んでいます。さらに特筆すべき戦略的動きとして、持分法適用会社であった「株式会社セキ薬品」の連結子会社化を2026年9月に前倒しで実施することを決定しました。
当初2030年の子会社化を予定していましたが、半年間の連携で企業文化の親和性が確認されたことから、大幅な時期繰り上げに踏み切りました。これにより、セキ薬品が強みを持つエリアでのシェアを早期に統合し、商品調達や物流面でのシナジーを最大化する構えです。
| 指標 | 2026年2月期 実績 | 2027年2月期 予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆103億円 | 1兆920億円 | +8.1% |
| EBITDA | 686億円 | 774億円 | +12.7% |
| 営業利益 | 485億円 | 540億円 | +11.2% |
| 純利益 | 449億円 | 328億円 | △27.1% |
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/4/9)
1,796.5円
最新終値(2026/10/23)
1,256円-30.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#スギホールディングス#7649#決算発表#売上高1兆円#増収増益#ドラッグストア#株式分割#M&A#セキ薬品#中期経営計画
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コメント
スギホールディングスにとって、今回の決算は「規模の拡大」と「質の向上」を同時に達成した象徴的なものとなりました。特に売上高1兆円突破は、仕入れ交渉力やブランド認知の観点から大きな節目となります。
注目すべきは「セキ薬品」の子会社化を4年も前倒しした点です。これは、同社が国内市場の飽和を見据え、自前成長(オーガニック成長)から「M&Aによる再編主導」へギアを一段上げたことを意味します。調剤領域でのDX化も他社に先駆けており、処方せん枚数の伸長が営業利益率の維持(4.8%)に大きく貢献しています。
懸念点としては、次期純利益が前期の特殊要因(負ののれん等)の反動で減益予想となっている点ですが、本業の稼ぐ力を示す営業利益ベースでは二桁増を見込んでおり、「成長シナリオ」に揺らぎはないと判断できます。株式分割も、流動性を高めて市場からの評価をよりダイレクトに引き出す施策として、投資家には好材料でしょう。
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