ゼリア新薬、スイス子会社が独HPWの全持分取得、2027年1月以降に製造内製化へ
ゼリア新薬工業のスイス子会社Tillotts Pharmaは、ドイツの医薬品製造会社Haupt Pharma Wülfling(HPW)の全持分を取得する契約を結んだ。実行は2027年1月以降を予定し、関係当局の承認などが条件となる。HPWは炎症性腸疾患治療剤「アサコール」の製造を長年担ってきた拠点で、取得後は製造を内製化する。医薬品の安定供給基盤を強化する狙いだ。

開示の要点
- 取得持分
- 100%
- 実行時期
- 2027年1月以降(予定)
- 譲渡元
- Aenova Holding GmbH
- 契約締結日
- 2026年10月23日(スイス時間)
HPWを完全子会社化し、製造を内製化
Tillottsは譲渡契約に基づき、HPWの持分をすべて取得する。取得前は持分を保有しておらず、取得後は議決権を含めて全持分を持つことになる。
HPWはドイツで医薬品を製造する会社で、ゼリア新薬と資本・人的・取引関係はなかった。取得価額は資料に記載されていない。
HPWはTillottsの主力製品「アサコール」の製造の大部分を担ってきた。ゼリア新薬は、グループ内に製造拠点を取り込むことで、製造能力や生産計画、品質管理をより直接的に運営できる体制を目指す。
製造技術と人材を取り込み、供給体制を強化
ゼリア新薬は、HPWの取得をTillottsの長期戦略に沿った施策と位置づける。製造機能を確保するだけでなく、固形製剤の開発・製造・包装や治験薬の取り扱いに関する知見もグループに取り込む。
- 既存の役割: HPWは「アサコール」の製造の大部分を担う戦略的拠点。
- 技術領域: 固形製剤の開発・製造・包装、治験薬の取り扱いに専門性を持つ。
- 人材: 経験を積んだ従業員をグループに迎え入れ、自社製造能力の維持・発展につなげる。
- 今後の投資: 製造能力の強化に加え、品質と生産効率の向上を図る。
Tillottsは消化器系疾患に特化した医薬品事業を展開し、「アサコール」などを世界約65カ国で販売している。今回の取得は、販売地域の拡大だけでなく、製品を安定して供給するための製造基盤をグループ内で強化する動きといえる。
HPWの売上高は3期連続で減少
HPWの売上高は直近3期で減少した。純利益など営業利益関連の数値は公表されておらず、ゼリア新薬は業績への影響を精査している。
| 決算期 | 純資産(千ユーロ) | 総資産(千ユーロ) | 売上高(千ユーロ) |
|---|---|---|---|
| 2023年12月期 | 8,857 | 57,288 | 51,007 |
| 2024年12月期 | 12,513 | 54,520 | 47,828 |
| 2025年12月期 | 12,420 | 55,666 | 41,062 |
売上高は2023年12月期の5万1007千ユーロから、2025年12月期には4万1062千ユーロとなった。取得後の収益性や投資負担を判断するには、今後の業績への影響や製造拠点への投資内容を確認する必要がある。
実行は当局承認などが条件、業績影響は精査中
持分譲渡の実行は2027年1月以降の予定で、関係当局の承認取得を含む一般的なクロージング条件を満たす必要がある。ゼリア新薬は、当期および来期以降の連結業績への影響を現在精査しており、開示すべき事項が生じた場合は速やかに知らせるとしている。
取得の実行時期や連結業績への寄与額は、現時点で確定していない。投資家にとっては、買収後の製造能力の拡充が供給安定化や生産効率の向上にどの程度結びつくかに加え、業績への影響と今後の投資計画が注目点となる。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/10/26)
2,030円
最新終値(2026/10/26)
2,030円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/26更新
製薬業界の今
掲載24社ゼリアは製薬業界の掲載24社中、売上高で20位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +8.7%全業界 +13.3%
- 今期計画 営業利益
- +9.3%全業界 +10.7%
- 予想の上方修正
- 3社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 13.9%
- ゼリア−0.2%
- 製薬(業界平均)+8.7%
- 全業界+13.3%
- 足元の業績今期第1四半期累計は16社合計で売上高+13.6%・営業利益+34.7%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は9社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは3社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのは大塚HD(営業利益+30.3%)。






タグ#ゼリア新薬工業#持分取得#M&A#医薬品#製造内製化#Tillotts Pharma#アサコール
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本件は販売会社の買収というより、主力薬の製造を担う拠点と技術、人材をグループ内に取り込む垂直統合の色合いが強い。供給の安定や品質管理の機動性向上が期待される一方、HPWの売上高は直近3期で減少しており、取得後の稼働率や収益改善が重要になる。製造基盤の強化が収益に結びつくか、業績影響と追加投資の具体化を見極めたい。
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