ゼリア、2027年3月期第1四半期決算、営業益28%増も為替差損で純利益減

ゼリアの2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比10.1%増、営業利益が28.3%増と増収増益でした。主力の医療用医薬品が伸びた一方、スイスフラン高に伴う為替差損で経常利益と純利益は減少し、純利益は20.6%減。売上高と営業利益は計画通りに進み、会社は通期予想を据え置きました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 214億円 | +10.1% | 950億円 | 23% |
| 営業利益 | 20億円 | +28.3% | 130億円 | 15% |
| 純利益 | 9億円 | -20.6% | 100億円 | 9% |
| 営業利益率 | 9.1% | |||
この決算のポイント
- 1医療用医薬品事業は「アサコール」などが伸び、売上高が前年同期比13.5%増
- 2コンシューマーヘルスケア事業は「ヘパリーゼ群」がけん引し、売上高が3.6%増
- 3欧州通貨に対するスイスフラン高で為替差損が発生し、経常利益は13.8%減
- 4通期予想は売上高950億円、営業利益130億円で据え置き、年間配当予想は50円
業績のポイント
ゼリア(ゼリア新薬工業)の第1四半期は、売上高214億48百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益19億50百万円(同28.3%増)、親会社株主に帰属する純利益8億66百万円(同20.6%減)でした。売上高は前年同期から19億58百万円増、営業利益は4億30百万円増となる一方、為替差損が利益を押し下げました。
- 医療用医薬品の伸長: 海外の「アサコール」や国内の高カリウム血症治療剤「ビルタサ」が堅調で、医療用医薬品事業の売上高は前年同期比13.5%増。
- 為替差損の拡大: スイスフラン高などを背景に為替差損は6億43百万円となり、前年同期の32百万円から拡大。経常利益は14億32百万円と同13.8%減でした。
- 販売権の償却費増加: 後発品参入の可能性が高まった「ディフィクリア」の販売権について耐用年数を短縮し、営業利益などを3億88百万円押し下げました。
営業利益は増えましたが、営業外費用の為替差損が大きく、経常利益と純利益は前年を下回りました。為替の影響と販売権の会計上の見積り変更が、営業段階と最終利益の差を広げた決算です。
セグメント別動向
医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業がともに増収となり、全体の売上増を支えました。利益の伸びには差があり、医療用医薬品事業が営業利益の増加を主導しています。
医療用医薬品事業は売上高が前年同期比13.5%増、セグメント利益が27.9%増でした。海外では主力の「アサコール」が堅調で、国内では昨年3月発売の高カリウム血症治療剤「ビルタサ」の市場浸透に注力しました。製品別では「アサコール」が17.9%増、「ディフィクリア」が8.9%増となり、幅広い製品が成長を支えています。
コンシューマーヘルスケア事業は売上高が3.6%増、セグメント利益が1.9%増でした。コンビニ向けを中心に「ヘパリーゼW群」が伸びた一方、「コンドロイチン群」と「ウィズワン群」はOTC医薬品市場の成長鈍化や競合品の影響で減少しました。広告販促がヘパリーゼ群の販売を押し上げたものの、主力製品間で明暗が分かれています。
- その他事業: 保険代理業や不動産賃貸収入などで、売上高は前年同期比3.6%減。全社費用などの調整額は前年同期より増加しました。
医療用医薬品は海外販売と国内の新製品浸透が成長の柱です。コンシューマーヘルスケアでは、広告効果が出た製品を伸ばす一方、競争が激しい既存品の立て直しが課題となります。
- 医療用医薬品+27.9%
- コンシューマー+1.9%
- その他+0.3%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 医療用医薬品事業 | 144億円 | 67% | 22億円 | 15.3% |
| コンシューマーヘルスケア事業 | 70億円 | 33% | 14億円 | 19.4% |
| その他 | 37.055百万円 | 0% | 54.377百万円 | - |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は1,746億85百万円で、2026年3月末から50億12百万円減少しました。自己資本比率は61.8%となり、前期末から1.5ポイント上昇しています。
| 項目 | 2027年3月期1Q | 前期末・前期比 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,746億85百万円 | 50億12百万円減 |
| 自己資本比率 | 61.8% | 1.5ポイント上昇 |
| 中間配当予想 | 1株25円 | 前期中間から1円増 |
| 期末配当予想 | 1株25円 | 前期末と同額 |
| 年間配当予想 | 1株50円 | 前期比1円増 |
売掛金が50億72百万円減少したほか、短期借入金は25億55百万円減少しました。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、営業キャッシュ・フローなどの数値は開示されていません。自社株買いの発表はなく、自己株式数も前期末から変わっていません。
年間配当予想は前期の49円から50円へ増配する計画で、今回の短信では変更していません。負債の減少と自己資本比率の上昇が確認できる一方、現金創出力を評価するには次回以降のキャッシュ・フロー開示も見たいところです。
通期見通し
会社は2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。第1四半期は売上高と営業利益が概ね計画通りに進んだ一方、為替差損の影響で経常利益と純利益は計画を下回る進捗と説明しています。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 変更前の予想額は短信に記載なし | 950億円 | +6.6% |
| 営業利益 | 変更前の予想額は短信に記載なし | 130億円 | +5.1% |
| 経常利益 | 変更前の予想額は短信に記載なし | 130億円 | +17.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 変更前の予想額は短信に記載なし | 100億円 | +18.3% |
前回予想は2026年5月8日公表分から変更していませんが、短信にはその予想額が再掲されていないため、表では「変更なし」としています。為替差損益は先行きが不透明として予想に織り込んでおらず、今後の為替動向が利益の振れにつながる可能性があります。
リスクと課題
増収と営業増益を確保した一方で、為替や競争環境、後発品の参入可能性が利益に影響しています。会社も為替差損益を通期予想に織り込んでおらず、利益の変動要因として注視が必要です。
- 為替変動: スイスフラン高などにより為替差損が発生しました。為替差損益は通期予想に含まれていないため、為替相場の変化が経常利益や純利益を押し下げる可能性があります。
- 後発品の参入: 「ディフィクリア」は後発品参入の可能性が高まったとして販売権の耐用年数を短縮しました。今後の参入状況によって販売や償却負担が変わるリスクがあります。
- OTC市場の競争: OTC医薬品市場の成長鈍化や競合品の影響で、コンドロイチン群とウィズワン群の売上が減少しました。ヘパリーゼ群の伸びを他の主力製品に広げられるかが課題です。
- 業績予想の不確実性: 会社は一定の前提に基づいて予想を作成しており、実際の業績はさまざまな要因で変動する可能性があるとしています。
研究開発・成長投資
新薬パイプラインでは、機能性ディスペプシア治療剤「アコチアミド」の小児適応が国内フェーズ3、低活動膀胱の適応がフェーズ2にあります。海外でも同剤の開発が進み、欧州・米国・カナダでフェーズ3、複数国で申請や承認の段階にあります。
- 国内開発: アコチアミドは小児機能性ディスペプシアでフェーズ3、低活動膀胱でフェーズ2。
- 海外展開: 欧州・米国・カナダで機能性ディスペプシアを対象にフェーズ3。ニカラグアとコスタリカでは承認済み、ベトナムなどでは申請中です。
- その他の開発: 自社品「Z-100」は非小細胞肺癌を対象に特定臨床研究が進められています。
既存薬の販売拡大に加え、自社創製品の適応拡大や海外導出が将来の成長機会となります。ただし、この短信では研究開発費や投資額の内訳は示されていないため、パイプラインの進展と費用負担を今後の開示で確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
2,042円
最新終値(2026/10/23)
2,024円-0.9%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ゼリア#決算#決算分析#四半期決算#医療用医薬品#ヘパリーゼ#為替差損#配当
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コメント
医療用医薬品の販売が伸び、営業利益も増えた点は底堅い内容です。とくに主力品の海外販売と「ビルタサ」の国内浸透が、売上成長を支えています。
一方、為替差損で純利益が減り、後発品参入の可能性を受けた販売権の償却負担も増えました。本業の伸びを為替と製品寿命リスクが削る決算であり、今後は為替の影響に加え、医療用医薬品の成長を利益としてどこまで残せるかが焦点です。
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ゼリア新薬工業株式会社
東証 4559
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