複合機・プリンタ・オフィス機器5社、2026年中間期・2027年Q1決算で勝者と苦戦企業の明暗を読む
エプソンは売上高が前年比14.4%増。営業利益も45.7%増と伸びた。対して富士フイルムは売上高が10.3%増でも、営業利益は32.0%減。円安が売上を押し上げる一方、固定費や一時益で利益の質に差が出た。キヤノンは中間期、他4社は第1四半期だ。期間差を踏まえた比較が欠かせない。
今期の総括
増収でも利益の質に差
業界全体の動き
- 円安が増収を後押し。リコーは売上高が前年比8.4%増、エプソンは14.4%増。円安が海外売上の円換算額を押し上げた。ただし、為替を除くリコーの売上高は1.2%増にとどまる。
- 増収がそのまま増益とは限らない。5社中、売上高と営業利益がともに伸びたのはキヤノン、リコー、エプソン。富士フイルムは売上高が10.3%増でも、営業利益は32.0%減だった。
- 事業の組み合わせが明暗を分けた。キヤノンはカメラなどのイメージングが伸長。富士フイルムは半導体材料が好調な一方、バイオCDMOの固定費が利益を圧迫した。
- 株主還元の強化も目立つ。エプソンは300億円規模の自社株買いを発表。リコーも増配と自社株買いを打ち出した。
売上高ランキング
営業利益ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
成長の勢いではエプソンが好調だ。売上高は前年比14.4%増で、富士フイルムの10.3%増を上回った。営業利益もエプソンは45.7%増。対する富士フイルムは32.0%減となった。エプソンはインクジェット関連や水晶デバイスが伸び、通期予想も上方修正した。
一方、富士フイルムはバイオCDMOの設備稼働に伴う固定費や、ビジネスイノベーションの一時費用が重荷となった。売上の伸びが利益に結びつかない点が課題だ。
ただし、純利益の伸び率トップはリコーの284.1%増。営業利益も277.8%増だが、約180億円の子会社持分譲渡益が含まれる。エプソンの純利益も96.4%増で、リコーとは利益増加の背景が異なる。増益率より利益の中身に注目したい。
- 好調
- エプソン
- 苦戦
- 富士フイルム

注目の動き・戦略比較
- キヤノンはイメージング事業の伸びで、半導体露光装置などの減速を補った。売上総利益率は前年同期の47.1%から49.4%へ改善。通期予想は売上高4兆8,000億円、営業利益4,650億円。
- リコーは子会社の持分譲渡で約180億円の利益を得た。為替を除く売上高の伸びは1.2%と、前年比8.4%増の見出しほど本業の成長は大きくない。資産の見直しと株主還元を進める。
- エプソンはインクジェット関連や水晶デバイスが好調。営業利益は前年比45.7%増で、通期予想を上方修正した。自社株買いも発表し、成長投資と還元を並行する。
- コニカミノルタは構造改善費用が出て、営業利益は前年比4.4%減。一方、事業貢献利益は25.8%増の115億円となり、本業の改善が見える。
- 富士フイルムは半導体材料やイメージングが売上を支えた。売上高予想を3兆5,600億円に引き上げた一方、営業利益は前年比32.0%減。大型設備の稼働率向上が焦点となる。
順位変化と構造トレンド
売上高と営業利益の金額ではキヤノンが首位だ。営業利益率も10.1%で、リコーの7.6%を上回る。ただし、キヤノンは中間期、他社は第1四半期の数字だ。金額の順位をそのまま同じ期間の規模差とは見なせない。
売上高の伸び率ではエプソンが14.4%増で首位。営業利益率ではコニカミノルタが3.7%と5社中で最も低く、キヤノンとの差は大きい。各社の事業構成や一時要因も異なり、単一の順位だけでは稼ぐ力を測りにくい。
営業利益率ランキング
業界共通のリスク
- 円安は売上を押し上げる一方、反転すれば海外売上の円換算額や採算を押し下げる。
- 原材料費、人件費、半導体メモリ価格の上昇が利益を圧迫する。エプソンでも一部事業の利益率低下が課題となる。
- 地政学リスクや中国市場の停滞は、製品需要や供給網を揺らす。キヤノンの医療機器も中国市場の弱さや価格競争に直面する。
- オフィスのペーパーレス化で、複合機やプリンタの需要が伸びにくい。各社にはサービスや周辺事業の収益拡大が求められる。
- 設備投資の回収遅れにも注意が必要だ。富士フイルムのバイオCDMOのように、稼働率が上がるまで固定費が利益を押し下げる場合がある。
就活生・転職希望者へ
印刷機器だけでなく、医療、半導体材料、ITサービスなどへ事業を広げる会社が多い。配属先によって市場の成長性や利益の動きは大きく違う。企業研究では、社名や製品だけでなく、どの事業が伸び、どこに投資しているかを確かめたい。
円安や一時的な売却益で業績が動く局面では、現場の仕事も変わりやすい。海外営業、ソフトウェア、サービス運用、製造設備の立ち上げなど、製品を売った後まで支える職種にも目を向けたい。
タグ#複合機#プリンタ#オフィス機器#電気機器#キヤノン#リコー#エプソン#富士フイルム#コニカミノルタ#円安#業績比較
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