淺沼組、2027年3月期第1四半期決算、売上減も営業利益52%増
淺沼組の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比12.5%減の373億円となった一方、営業利益は51.7%増の16億円、純利益は59.8%増の11億円と大幅な増益でした。完成工事高の減少で減収となりましたが、売上総利益の増加と販管費の減少が利益を押し上げました。受注高も18.0%増え、通期予想は据え置いています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 374億円 | -12.5% | 1,755億円 | 21% |
| 営業利益 | 17億円 | +51.7% | 78億円 | 22% |
| 純利益 | 11億円 | +59.8% | 52億円 | 22% |
| 営業利益率 | 4.5% | |||
この決算のポイント
- 1売上高は前年同期比12.5%減の373億円、完成工事高の減少が響いた。
- 2営業利益は51.7%増の16億円、売上総利益の増加と販管費減少が寄与。
- 3受注高は18.0%増の662億円、建築の民間受注が伸びた。
- 4自己資本比率は前期末の42.1%から44.6%へ上昇、総資産は8.1%減。
- 5シンガポールの塗装会社を子会社化、ASEANの改修事業を強化する。
業績のポイント
淺沼組(正式社名:株式会社淺沼組)の第1四半期は、売上高が前年同期比12.5%減の373億69百万円となる一方、営業利益は51.7%増の16億87百万円、親会社株主に帰属する純利益は59.8%増の11億38百万円でした。減収でも利益は大幅増となり、経常利益も56.9%増の17億3百万円です。
利益を押し上げた主な要因は次の通りです。
- 売上総利益: 44億21百万円と前年同期比10.4%増加。完成工事総利益は11.5%増えました。
- 販売費及び一般管理費: 27億34百万円と前年同期から1億59百万円減少し、営業利益の増加に寄与しました。
- 完成工事高: 364億88百万円と前年同期から減少し、全体の売上高を押し下げました。
- 受注高: 662億41百万円と前年同期比18.0%増加し、売上高とは対照的に受注は伸びました。
売上高の減少について、会社は完成工事高の減少を示していますが、工事の採算改善や販管費減少の具体的な背景は短信で特定していません。建設業では受注から売上計上まで時間差があるため、受注の伸びが今後の売上に結び付くか、あわせて利益率を維持できるかが焦点です。
セグメント別動向
建築は売上高が前年同期比15.4%減の299億99百万円、セグメント利益は12.1%増の34億39百万円でした。土木は売上高が0.1%減の64億89百万円、利益は8.8%増の7億58百万円です。売上の動きには差があるものの、両部門ともセグメント利益は増加しました。
その他事業の売上高は14.2%増の8億80百万円、セグメント利益は会社発表で125.3%増の1億55百万円でした。セグメント利益の前年同期比は次の通りです。
受注面では、建築の受注高が前年同期比23.4%増の631億1百万円と伸びました。個別受注の内訳でも建築の民間受注が36.9%増えた一方、建築の官庁受注は72.8%減、土木受注は官庁・民間ともに減少しています。公共投資が底堅い環境でも、今回の受注増は民間建築への依存が強まった形です。
- 建築+12.1%
- 土木+8.8%
- その他+125.3%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建築 | 300億円 | 80% | 34億円 | 11.5% |
| 土木 | 65億円 | 17% | 8億円 | 11.7% |
| その他 | 9億円 | 2% | 2億円 | 17.6% |
通期見通し
淺沼組は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。通期売上高は前期比0.1%増の1,755億円、営業利益は7.9%増の77億80百万円、純利益は前期比横ばいの51億80百万円を見込みます。
| 項目 | 2027年3月期前回予想 | 2027年3月期今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 175,500 | 175,500 | 本短信に記載なし |
| 営業利益(百万円) | 7,780 | 7,780 | 本短信に記載なし |
| 純利益(百万円) | 5,180 | 5,180 | 本短信に記載なし |
予想に対する進捗率は、売上高が約21.3%、営業利益が約21.7%、純利益が約22.0%です。第1四半期の営業利益は前年同期を上回りましたが、会社は足元の状況を踏まえて予想を変更していません。年間受注高の個別予想は1,560億円で、前期実績の2,081億97百万円を下回る計画であり、受注の積み上がりと工事の進捗が通期達成のポイントになります。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比8.1%減の1,086億41百万円、自己資本比率は前期末の42.1%から44.6%へ上昇しました。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュフローの金額は開示されていません。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末・2027年3月期予想 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 118,176 | 108,641 |
| 自己資本比率(%) | 42.1 | 44.6 |
| 現金及び預金(百万円) | 23,890 | 27,550 |
| 中間配当(円) | 16 | 17 |
| 期末配当(円) | 29 | 28 |
| 年間配当(円) | 45 | 45 |
資産減少の主因は、債権回収が進み、受取手形・完成工事未収入金などが132億5百万円減ったことです。年間配当予想は前期と同額の45円で、中間を1円増やす一方、期末を1円減らす計画です。短信に自社株買いの記載はありません。
戦略トピック
淺沼組は2026年6月、シンガポールで建物の外壁・内壁塗装を手掛けるT3 International Pte. Ltd.の株式80%を取得し、子会社化しました。取得対価は800万シンガポールドルで、取得関連費用は概算82百万円、暫定的に計上したのれんは119百万円です。
- 狙い: 中期3カ年計画の重点テーマである「リニューアル事業の強化」の一環として、ASEAN地域での改修事業を拡大します。
- 業績への反映: みなし取得日は2026年4月1日ですが、当四半期は貸借対照表のみを連結しており、T3社の損益は第1四半期決算に含まれていません。
- 国内の効率化: 建設現場の複数システムや紙の業務を共通プラットフォームに集約し、2026年度中の全現場導入を目指します。
海外の改修事業を取り込むM&Aと、国内現場のDXを並行して進める方針です。買収効果は今後の損益への寄与を確認する必要がありますが、国内建設事業に偏らない成長基盤づくりを目指す動きといえます。
リスクと課題
建設投資は堅調な一方、資材・エネルギー価格や国際情勢の影響を受けやすい環境が続いています。受注の増加だけでなく、工事採算の確保と計画通りの施工が重要です。
- 資材・エネルギー価格: 原油高などで工事費が上昇すれば、採算が悪化する可能性があります。
- サプライチェーン: 不安定な国際情勢に伴う供給網の混乱が、資材調達や工事の進行に影響するおそれがあります。
- 設備投資の抑制: 工事費上昇を背景に企業が投資を抑えれば、民間建築の受注環境に逆風となり得ます。
- 受注構成の偏り: 今回は民間建築の受注が増えた一方、官庁建築や土木の受注は減少しており、特定分野の動向に左右されるリスクがあります。
会社は資源・エネルギー価格の不安定化や地政学リスクを挙げ、先行きに注意が必要との見方を示しています。利益が伸びた第1四半期の実績を、通期を通じた採算確保につなげられるかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/27)
886円
最新終値(2026/10/23)
870円-1.8%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#淺沼組#決算#決算分析#四半期決算#建設業#受注高#営業利益増#ASEAN展開#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
売上高の減少と利益の増加が同時に起きた決算で、見どころは売上規模よりも工事採算の改善と販管費の抑制です。ただし、短信では採算改善の具体的な要因が詳しく説明されていないため、次の四半期でも利益率の上昇が続くかを確認したいところです。
受注は民間建築が伸び、土木や官庁建築は弱含みました。シンガポール企業の子会社化や現場DXは中長期の成長・効率化策として注目されますが、買収先の損益寄与は今回の決算にまだ反映されておらず、今後の成果を見極める必要があります。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/asanuma/report/2027-Q1
関連記事
土木・インフラ整備の最新記事
- 決算解説安藤ハザマ2027年3月期 第1四半期安藤ハザマ、2027年3月期第1四半期決算、増収増益、経常利益41%増

- 決算解説インフロニア2027年3月期 第1四半期インフロニア、2027年3月期第1四半期決算、売上高3,084億円で前年比61%増の大幅成長も通期予想を上方修正

- 決算解説ショーボンド2026年6月期 通期ショーボンド、2026年6月期通期決算、減収増益で14期連続増益

- 決算解説西松2027年3月期 第1四半期西松、2027年3月期第1四半期決算、受注倍増で営業利益2.3倍、純利益も急伸

- 新株式発行のお知らせインフロニア10月2日インフルーリア、1,472億円増資でM&A返済と脱請負投資。配当下限を90円に上方修正へ

掲載企業
株式会社淺沼組
東証 1852
これが最新の決算解説です





