安藤ハザマ、2027年3月期第1四半期決算、増収増益、経常利益41%増

安藤ハザマが2026年8月5日に発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高1,050億円(前年同期比12.4%増)、営業利益64億円(同22.3%増)、経常利益63億円(同41.7%増)、純利益42億円(同34.9%増)と全利益段階で大幅プラスを達成した。建築事業の工事収入拡大と営業外損失の縮小が寄与し、第1四半期の過去最高益を更新。通期配当は84円への増配を計画し、株主還元にも積極的だ。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,050億円 | +12.4% | 4,900億円 | 21% |
| 営業利益 | 65億円 | +22.3% | 340億円 | 19% |
| 純利益 | 42億円 | +34.9% | 222億円 | 19% |
| 営業利益率 | 6.2% | |||
業績のポイント
当第1四半期(2026年4~6月)の連結業績は、売上高1,050億4百万円、営業利益64億84百万円、経常利益63億36百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益42億37百万円と、前年同期からいずれも顕著な伸びを示した。売上高営業利益率は6.2%と0.5ポイント改善し、収益性が向上。特に経常利益の増加率が突出しており、前年同期に発生した為替差損や持分法投資損失などの営業外費用が大幅に縮小したことが収益を押し上げた要因だ。
受注面では、個別ベースの建設事業受注高が前年同期比188.3%増の1,339億円と急拡大。建築事業を中心に大型案件の獲得が進んでおり、今期以降の業績拡大への期待が高まる。一方、通期業績予想は据え置かれ、売上高4,900億円(前期比11.5%増)に対し、純利益は222億円(同25.4%減)を見込む。前期の投資有価証券売却益の反動を考慮した保守的な予想だが、本業の受注環境は堅調だ。
セグメント別動向
安藤ハザマの事業は、土木事業、建築事業、グループ事業、その他で構成される。今第1四半期は建築事業が全体を牽引し、土木事業は減収減益となったものの、受注高は大幅に拡大した。
| セグメント | 売上高(百万円) | 前年同期比 | 営業利益(百万円) | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 28,710 | △10.5% | 1,910 | △47.7% | 6.7% |
| 建築事業 | 68,032 | +24.6% | 6,467 | +73.3% | 9.5% |
| グループ事業 | 6,788 | +27.2% | 286 | +112.0% | 4.2% |
| その他 | 1,513 | +1.9% | 178 | +43.7% | 11.8% |
土木事業は、完成工事高が前年同期比10.5%減の287億1百万円となり、営業利益は47.7%減の19億10百万円にとどまった。工事の進捗タイミングが前年と異なったことが主因だが、受注高は同135.1%増の236億円と急増しており、官公庁向け案件の獲得が顕著。手持ち工事の消化が進めば、下期以降の収益寄与が期待される。
建築事業は、完成工事高が24.6%増の680億32百万円、営業利益は73.3%増の64億67百万円と好調。民間需要の旺盛さを背景に、受注高は同203.0%増の1,103億円と爆発的な伸びを記録。とりわけ大口の民間国内工事の成約が続いており、収益基盤の拡大が鮮明だ。
グループ事業は、子会社群の案件増加により売上高27.2%増、営業利益は2.1倍に拡大。その他の調査・研究受託なども堅調に推移した。全体として、建築事業の突出した業績が全社利益をけん引する構図となっている。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 287億円 | 27% | 19億円 | 6.7% |
| 建築事業 | 680億円 | 65% | 65億円 | 9.5% |
| グループ事業 | 68億円 | 7% | 3億円 | 4.2% |
| その他 | 15億円 | 1% | 2億円 | 11.8% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は前年度末から4億円増加し4,119億76百万円、純資産は74億円増の2,168億43百万円となった。その他有価証券評価差額金が+93億円と膨らんだことが純資産の拡大に寄与し、自己資本比率は52.4%(前期末比+1.8ポイント)に上昇。負債は70億円減少し1,951億33百万円と、財務体質は着実に強化されている。
キャッシュ・フロー計算書は未作成だが、現預金は前年度末比17億円減の644億63百万円。有利子負債(短期・長期借入金合計)はほぼ横ばいの274億77百万円と、実質無借金に近い水準だ。
配当については、2027年3月期の予想を前期比4円増配の年84円(中間42円、期末42円)に引き上げ。前期比5.0%の増配となり、堅調な業績と財務基盤を背景とした継続的な株主還元を打ち出している。自社株買いの発表はなかったが、配当性向は連結業績予想ベースで37.6%と妥当な水準だ。
リスクと課題
決算短信では、景気の下押しリスクとして主に以下の点が挙げられている。
- 中東情勢などの地政学的リスク
- 金融資本市場の変動による受注や資産への影響
- 資材価格や労務費の高止まり懸念
また、通期純利益が前期比25.4%減と予想される最大の要因は、前期に計上した投資有価証券売却益などの特別利益の剥落だが、本業ベースでも利益率の維持が求められる。受注高は大幅増だが、工事採算の悪化が懸念される資材・労務コストの動向は引き続き注視が必要だ。
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、2026年5月14日公表から変更なく据え置かれた。建築事業を中心とした旺盛な需要を背景に増収を確保する一方、前期の特別利益剥落により減益となる見込みだ。
| 項目 | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 439,615百万円 | 490,000百万円 | +11.5% |
| 営業利益 | 33,618百万円 | 34,000百万円 | +1.1% |
| 経常利益 | 33,257百万円 | 33,600百万円 | +1.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 29,746百万円 | 22,200百万円 | △25.4% |
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
1,825.5円
最新終値(2026/10/23)
1,760.5円-3.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#安藤ハザマ#決算#四半期決算#決算分析#増収増益#建築事業#土木事業#増配#建設#2027年3月期
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コメント
第1四半期として過去最高の経常利益を達成し、特に建築事業の受注急増が目覚ましい。官民投資の底堅さと大型案件の成約が続き、手持ち工事残高も過去最高水準の7240億円に達しており、少なくとも向こう1~2年の業績の可視性は極めて高い。
一方で、通期純利益予想の保守性には注意が必要だ。前期の一過性利益が剥落する影響で減益予想だが、本業の収益力自体は改善している。土木事業の採算性悪化が一時的な工事進捗の谷に過ぎないのか、構造的な要因なのかを見極める必要がある。資材・労務費高騰の影響が軽微に抑えられている点は評価できるが、為替や地政学リスクへの感応度も無視できない。
株主還元では4円の増配を決め、安定的な累進配当政策が好感される。自己資本比率52%と財務基盤は盤石で、今後のM&Aや事業拡大の余力も十分だ。短期的な株価カタリストとしては、次回の中間決算での通期上方修正の有無が焦点となる。
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