戸田建設、2027年3月期第1四半期決算、営業利益83%増も通期予想は据え置き

戸田建設の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比18.3%増、営業利益が82.9%増、純利益が233.0%増となり、大幅な増収増益でした。大型工事の進捗で建築・土木の売上が伸び、建築の採算改善も利益を押し上げました。一方、純利益には投資有価証券売却益の増加が寄与し、通期予想は据え置き。本業の改善と売却益が純利益を押し上げた決算です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,554億円 | +18.3% | 7,530億円 | 21% |
| 営業利益 | 74億円 | +82.9% | 390億円 | 19% |
| 純利益 | 118億円 | +233.0% | 350億円 | 34% |
| 営業利益率 | 4.8% | |||
この決算のポイント
- 1建築・土木の大型工事が進み、連結売上高は前年同期比18.3%増の1,553億円。
- 2建築事業の売上総利益増加と販管費の減少で、営業利益は前年同期比82.9%増。
- 3投資有価証券売却益が77億円となり、親会社株主に帰属する純利益は233.0%増。
- 4海外グループ会社は減収となり、営業損益も前年同期の黒字から赤字に転じた。
- 5年間配当予想は60円で前期比2円増。通期の連結業績予想は変更なし。
業績のポイント
戸田建設(戸田建設株式会社)の2027年3月期第1四半期は、売上高が1,553億円(前年同期比18.3%増)、営業利益が74億円(同82.9%増)、親会社株主に帰属する純利益が117億円(同233.0%増)でした。大型工事の進捗で建築・土木の売上が伸び、建築事業の利益率改善が営業増益につながりました。
- 売上の伸び: 手持ちの大型工事が進み、建築事業と土木事業の売上が増加しました。
- 営業利益の改善: 売上総利益は前年同期比20.4%増え、販売費及び一般管理費は同0.5%減少しました。
- 純利益の押し上げ: 投資有価証券売却益は前年同期の4億円から77億円に増加しました。
- 経常利益も増加: 受取配当金や為替差益などを含む営業外収益が増え、経常利益は同74.5%増でした。
工事採算の改善に、株式売却益が上乗せとなった構図です。営業利益の伸びは建築事業の売上総利益増加が主因で、純利益の大幅増には有価証券売却益も大きく影響しました。したがって、純利益の伸びがそのまま毎期続くとみるのではなく、本業の採算改善が持続するかを分けて確認する必要があります。
セグメント別動向
建築と土木は大型工事の進捗を受けて増収となり、なかでも建築の利益改善が目立ちました。一方、海外グループ会社は減収・営業赤字となり、事業ごとの明暗が分かれています。
| セグメント | 売上高の前年同期比 |
|---|---|
| 建築 | +26.1% |
| 土木 | +24.7% |
| 国内投資開発 | +28.4% |
| 国内グループ会社 | +5.3% |
| 海外グループ会社 | -23.2% |
| 環境・エネルギー | +247.7% |
建築は売上高が前年同期比26.8%増、営業利益は同100.4%増でした。個別受注では国内民間工事が伸び、売上の増加に加えて完成工事の採算改善が利益を押し上げました。
土木は売上高が同18.3%増、営業利益は同75.5%増でした。売上は増えたものの個別受注高は同23.0%減で、国内民間工事の受注減が響いており、今後の受注動向が焦点です。
- 国内投資開発: 売上高は前年同期比22.2%増でしたが、営業損失は前年同期の損失から拡大しました。
- 国内グループ会社: 売上高は同16.3%増、営業利益は同138.1%増となりました。
- 海外グループ会社: 売上高は同23.2%減り、営業損益は前年同期の黒字から赤字に転じました。
- 環境・エネルギー: 売上高は同247.7%増えた一方、営業損失が続きました。
国内建設の伸びが全体を支える一方、環境・エネルギーは売上拡大が利益に結びつく段階には至っていません。戸田建設は同事業や海外事業を重点管理事業に掲げており、成長投資と収益化の両立が課題です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建築 | 947億円 | 61% | 83億円 | 8.7% |
| 土木 | 316億円 | 20% | 6億円 | 1.9% |
| 国内投資開発 | 25億円 | 2% | -595百万円 | -23.6% |
| 国内グループ会社 | 125億円 | 8% | 5億円 | 3.9% |
| 海外グループ会社 | 129億円 | 8% | -329百万円 | -2.6% |
| 環境・エネルギー | 12億円 | 1% | -405百万円 | -33.5% |
通期見通し
戸田建設は2027年3月期の連結業績予想を、2026年5月15日に公表した内容から変更しませんでした。売上高は前期比16.6%増を見込む一方、営業利益の伸びは2.1%にとどまり、経常利益と親会社株主に帰属する純利益は前期を下回る計画です。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 5月公表予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 6,457 | 7,530 | 7,530 | +16.6% |
| 営業利益(億円) | 382 | 390 | 390 | +2.1% |
| 経常利益(億円) | 440 | 400 | 400 | -9.1% |
| 親会社株主帰属純利益(億円) | 370 | 350 | 350 | -5.4% |
第1四半期は営業増益でしたが、通期では営業利益の伸びを小幅に見込み、経常利益と純利益は減益予想です。今回の四半期純利益には投資有価証券売却益が寄与しており、会社予想との比較では工事の進捗や採算に加え、特別損益の計上状況も確認したいところです。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比10.6%増の1兆1,044億円、自己資本比率は前期末の39.1%から43.6%へ上昇しました。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、当四半期の営業・投資・財務キャッシュ・フローは短信から確認できません。
| 項目 | 2026年3月末・前期実績 | 2026年6月末・今回予想 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 総資産(億円) | 9,984 | 11,044 | +10.6% |
| 自己資本比率 | 39.1% | 43.6% | +4.5ポイント |
| 中間配当(円/株) | 20 | 30 | +10円 |
| 期末配当(円/株) | 38 | 30 | -8円 |
| 年間配当(円/株) | 58 | 60 | +2円、+3.4% |
総資産の増加には、投資有価証券の時価上昇が影響しました。その他有価証券評価差額金の増加などで純資産も増え、自己資本比率が改善しています。年間配当予想は前期から2円増やす計画で、短信には新たな自社株買いの発表はありません。
戦略トピック
戸田建設は中期経営計画2027で、現場や営業の提供価値を高める「タテ展開」と、建設事業と戦略事業の連携を深める「ヨコ展開」を掲げ、高収益化を目指しています。重点管理事業として、スマート・エネルギー・コンプレックスシティ(SECC)事業、洋上風力発電を含む環境・エネルギー事業、海外事業を挙げました。
- 成長投資の重点: SECC、環境・エネルギー、海外の各事業に投資し、事業基盤を強化する方針です。
- 投資規律: 中長期でROE10%以上を確保するため、投下資本利益率(ROIC)5%以上を目標に設定しています。
- 業績との接点: 今四半期は環境・エネルギーの売上高が大きく伸びた一方で営業赤字が続き、売上拡大を利益につなげることが課題です。
成長分野への投資を進めながら、資本効率の基準を設けて投資判断を強化する考えです。建設受注の変動や資材・労務費の上昇が続く環境では、売上規模だけでなく、各投資案件がどの程度の利益と資本効率を生むかが中期計画の進捗を測るポイントになります。
リスクと課題
国内景気は緩やかな回復基調にあるものの、建設業界では受注やコストをめぐる不確実性が残ります。会社が挙げる外部環境の変化に加え、今回のセグメント実績からは海外事業の採算にも注意が必要です。
- 資材価格・物流: 中東情勢を背景に原材料価格が高騰し、物流の先行きも不透明です。建設原価の上昇が続けば、工事採算を圧迫する可能性があります。
- 労務費の上昇: 建設資材価格と労務費の上昇が続いています。工事価格への転嫁や施工の進捗が想定を下回れば、利益率の低下につながりかねません。
- 民間工事の受注動向: 業界全体では官公庁工事が堅調な一方、民間工事の受注は前年同期を下回りました。戸田建設でも土木の個別受注高が減っており、将来の売上を支える受注残の積み上がりが課題です。
- 海外事業の採算: 海外グループ会社は減収となり、営業損益も赤字でした。海外事業を重点分野として投資する方針だけに、案件の収益性やリスク管理が重要です。
通期予想は据え置かれていますが、第1四半期の利益増加には有価証券売却益も含まれます。工事採算の改善が続くか、コスト上昇を吸収できる受注を確保できるかが、今後の業績を左右します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
1,495円
最新終値(2026/10/23)
1,434.5円-4.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#戸田建設#決算#決算分析#四半期決算#建設業#営業利益増加#配当#中期経営計画#洋上風力
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コメント
建築事業の利益改善は、売上の増加だけでなく工事採算がよくなった点で評価できます。一方、純利益の伸びには投資有価証券売却益が大きく寄与しており、本業の稼ぐ力を判断する際は営業利益の推移を軸に見るのが妥当です。
成長投資ではSECCや洋上風力、海外事業を重視する一方、現時点では環境・エネルギーが赤字で、海外グループ会社も赤字に転じています。成長分野を売上から利益へつなげられるかが、戸田建設の中期的な評価を分ける注目点です。
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