フルヤ、2026年6月期通期決算、営業利益2.6倍で次期も増益計画
フルヤの2026年6月期決算を分析すると、生成AI関連のデータセンター投資や半導体需要を追い風に、売上高は前年比74.5%増、営業利益は160.0%増、純利益は147.9%増となりました。貴金属価格の上昇や円安も売上を押し上げ、利益が大幅に伸びる好決算です。2027年6月期も営業増益を見込む一方、会社は貴金属相場や為替の変動を前提に置いています。

決算の数字通期
1年間の確定値(前年比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 今期予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,001億円 | +74.5% | 1,010億円 |
| 営業利益 | 248億円 | +160.0% | 265億円 |
| 純利益 | 160億円 | +147.9% | 177億円 |
| 営業利益率 | 24.8% | ||
この決算のポイント
- 1薄膜事業はHDD向けと半導体向けが伸び、売上高は前年比60.0%増
- 2貴金属原材料の販売が拡大し、サプライチェーン支援の売上高は前年比148.8%増
- 3海外売上高は726億円、連結売上高に占める割合は72.5%
- 4年間配当は前期の96円から165円に増額、次期予想は180円
- 52027年6月期は営業利益265億円を予想、前期比6.9%増
業績のポイント
フルヤ(フルヤ金属)の2026年6月期は、売上高が前年比74.5%増、営業利益が160.0%増、親会社株主に帰属する純利益が147.9%増となりました。営業利益率も前期の16.6%から24.8%へ上昇し、売上の拡大に加えて利益率も改善しました。
- 売上高の増加額: 前期から427億6,000万円増加。貴金属価格の上昇に伴う販売額の増加や、データセンター・半導体向け製品の受注拡大が寄与しました。
- 営業利益の増加額: 前期から152億5,600万円増加。売上総利益の拡大が、販管費の増加を上回りました。
- 純利益の増加額: 前期から95億6,600万円増加。営業利益の伸びが大きく、経常利益も前年比162.7%増となりました。
生成AIの普及によるデータセンター投資が、光通信関連部品やHDD向け製品、半導体向け製品の需要を支えました。円安は輸出採算と海外売上高の円換算にプラスとなった一方、貴金属相場の上昇は売上を押し上げると同時に、調達コスト管理の重要性も高めています。利益の伸びは顕著ですが、価格上昇だけでなく製品需要の広がりが続くかが、今後の業績を見るうえで重要です。
セグメント別動向
報告対象の5事業すべてで売上高が前年を上回りました。伸び率は事業ごとに異なり、データセンターや半導体関連の需要増に加え、貴金属価格上昇を背景とする原材料販売も全体を押し上げています。
電子は、売上高が前年比83.0%増、売上総利益が94.4%増でした。医療用シンチレーター製造装置向けのイリジウムルツボが底堅く、光通信用アイソレーター向けルツボは新規販路の開拓もあり受注が好調でした。スマートフォン向けSAWフィルター用機材の需要回復も寄与しました。
薄膜は、売上高が前年比60.0%増、売上総利益が120.5%増でした。データセンター投資を受けたHDD向けスパッタリングターゲットに加え、半導体向けターゲットの受注も伸び、利益の伸びが売上を上回りました。
サーマルは、売上高が前年比37.6%増、売上総利益が50.3%増でした。半導体製造装置の交換需要に加え、装置メーカーや海外半導体メーカーの投資再開、在庫調整の一巡で受注が回復しました。
- ファインケミカル・リサイクル: 売上高は前年比5.2%増、売上総利益は41.8%増。電極向け貴金属化合物や有機EL向け化合物の需要が回復し、回収精製体制の見直しに伴う一時費用をこなしました。
- サプライチェーン支援: 貴金属価格の上昇を背景に、製品受注に直接関係しない原材料の販売需要が拡大しました。さらに、在庫を超える引き合いに応じたイリジウム・ルテニウムの販売が「その他」に計上され、売上高の大幅な伸びにつながりました。
なお、短信のセグメント利益は営業利益ではなく売上総利益ベースです。原材料販売は売上高を大きく押し上げますが、製品事業の受注拡大や利益率の改善と分けて、利益の持続性を見極める必要があります。
- 電子+83.0%
- 薄膜+60.0%
- サーマル+37.6%
- ファインケミカル+5.2%
- サプライチェーン+148.8%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 電子 | 108億円 | 11% | - | - |
| 薄膜 | 180億円 | 18% | - | - |
| サーマル | 67億円 | 7% | - | - |
| ファインケミカル・リサイクル | 277億円 | 28% | - | - |
| サプライチェーン支援 | 190億円 | 19% | - | - |
通期見通し
2027年6月期は、売上高が前期比0.9%増、営業利益が6.9%増、純利益が10.4%増となる計画です。会社予想は売上の伸びを小幅に見込む一方、営業利益と純利益は増益を想定しています。
| 項目 | 前回予想 | 2027年6月期予想 | 2026年6月期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 記載なし | 101,000 | 100,139 |
| 営業利益(百万円) | 記載なし | 26,500 | 24,794 |
| 純利益(百万円) | 記載なし | 17,700 | 16,034 |
短信には前回予想の数値が記載されていないため、今回予想との修正幅は比較できません。会社は中期経営計画「KFKビジョン2030」の初年度を終え、コア技術を生かした既存事業の強化と新たな成長分野への進出を進める方針です。予想には現在の貴金属価格水準と、1ドル155円の為替レートを織り込んでおり、相場が前提から動けば実績に影響する可能性があります。
財務状況と資本政策
期末の総資産は1,429億6,000万円で、前期末から190億9,600万円増えました。自己資本比率は前期末の52.0%から54.8%へ上昇し、利益の積み上がりを背景に財務基盤が厚くなっています。
| 項目 | 2026年6月期 | 前期または前期比 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー(億円) | 157.6 | 前期は9.2 |
| 投資キャッシュ・フロー(億円) | -39.5 | 前期は-49.4 |
| 財務キャッシュ・フロー(億円) | -172.9 | 前期は47.9 |
| 現金同等物期末残高(億円) | 76.0 | 前期末は130.4 |
| 年間配当(円) | 165 | 前期の96円から増配 |
営業キャッシュ・フローは税引前利益の増加などを受けて拡大しましたが、棚卸資産の増加が資金を押し下げました。財務キャッシュ・フローがマイナスとなった主因は短期借入金の返済で、前期末にあった短期借入金を解消しています。年間配当は前期比69円増となり、2027年6月期の配当予想も180円へ引き上げています。短信上、自社株買いの実施は確認できず、株主還元の中心は増配です。
戦略トピック
フルヤは中期経営計画「KFKビジョン2030」のもと、既存の5事業を強化しながら、新たな成長分野への進出を目指します。半導体やグリーン関連市場で、貴金属加工や回収・精製などの技術を生かす方針です。
- 電子: イリジウムやプラチナの加工技術を核に、半導体分野で高付加価値製品の創出を目指します。
- 薄膜: HDD向けターゲットで培った技術を生かし、MEMSなど半導体分野への新製品展開を進めます。
- サーマル: 主力製品の生産能力を拡張し、新製品の開発にも力を入れます。
- ファインケミカル・リサイクル: ナノ合金技術の確立を進め、グリーン関連市場向け製品の上市を目指します。
データセンター投資や半導体設備投資の回復を、単なる受注増で終わらせず、能力増強や新製品につなげられるかが焦点です。研究開発や設備投資の成果が売上と利益に結び付くまでには時間差があるため、次期以降は新製品の進捗や生産能力の活用状況も確認したいところです。
リスクと課題
業績はデータセンター・半導体の需要や貴金属相場、為替の動きに左右されます。会社も原材料費や地政学リスク、金融市場の変動などを挙げており、需要拡大が続くかだけでなく、価格変動を吸収できるかが課題です。
- 貴金属価格と調達コスト: 相場上昇は販売額を押し上げる一方、原材料の調達コストも増やします。価格転嫁や在庫管理が不十分なら利益を圧迫する可能性があります。
- 為替変動: 円安は輸出採算や海外売上の円換算にプラスとなりましたが、円高への反転や変動幅の拡大は業績の前提を崩す要因になります。
- データセンター・半導体投資: 関連製品の需要は堅調でしたが、投資計画の先送りや在庫調整が再び起きれば、薄膜や電子、サーマルの受注に影響します。
- 海外市場と地政学リスク: 売上の多くを海外が占め、中国経済の回復も緩やかと会社は説明しています。中東情勢などの長期化や地域別需要の変化にも注意が必要です。
- 運転資金の増加: 棚卸資産の増加は営業キャッシュ・フローを抑える要因となりました。売上成長と並行して在庫を適切に管理できるかが、資金繰りの焦点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
7,300円
最新終値(2026/10/23)
9,120円+24.9%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#フルヤ#決算#決算分析#通期決算#増収増益#半導体材料#データセンター#貴金属#増配
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
利益の急伸は、データセンターや半導体向け製品の需要拡大に、貴金属価格上昇と円安が重なった結果です。とくに薄膜など製品事業の利益成長が見られる点は、単純な価格要因だけではない強さを示しています。
一方、サプライチェーン支援や原材料在庫からの販売は、相場や在庫状況によって振れやすい面があります。次期は大幅増益の反動をこなし、製品需要と利益率を維持できるかが投資家の確認点です。配当の増額と短期借入金の返済は前向きな材料ですが、棚卸資産の増加や現金残高の減少にも目配りが必要です。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/furuya-metal/report/2026-FY
関連記事
非鉄金属・資源の最新記事
- 決算解説住友鉱2027年3月期 第1四半期住友鉱、2027年3月期第1四半期決算、純利益220%増で通期予想を上方修正

- 決算解説三菱マテリアル2027年3月期 第1四半期三菱マテリアル、2027年3月期第1四半期決算、営業利益329億円の黒字転換で通期上方修正

- 決算解説三井金属2027年3月期 第1四半期三井金属、2027年3月期第1四半期決算、営業利益84%増で通期予想を上方修正

- 決算解説DOWA2026年3月期 通期DOWAホールディングス・2026年3月期通期、純利益130%増の624億円——資産売却益が寄与、配当は大幅増の368円へ

- 会社分割等三菱マテリアル10月7日三菱マテリアル、超硬製品販売事業を新設会社へ集約。営業効率化と顧客提案力強化を目指す組織再編を実施

掲載企業
株式会社フルヤ金属
東証 7826
これが最新の決算解説です





