ハウス食品、2027年3月期第1四半期決算、営業増益も通期予想を下方修正
ハウス食品の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比0.7%減る一方、営業利益は17.1%増え、増収減益ではなく減収増益となりました。価格改定後の販売回復や海外食品事業が利益を押し上げましたが、中東情勢を背景とする原材料コスト上昇を見込み、通期の営業利益予想は下方修正しました。投資有価証券の売却益もあり、純利益は大幅に増えています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 751億円 | -0.7% | 3,225億円 | 23% |
| 営業利益 | 40億円 | +17.1% | 175億円 | 23% |
| 純利益 | 51億円 | +185.3% | 170億円 | 30% |
| 営業利益率 | 5.3% | |||
この決算のポイント
- 1香辛・調味加工食品事業はルウカレーなどの販売回復で、売上高が前年同期比5.3%増
- 2健康食品事業はC1000が伸長し、営業利益は前年同期比52.1%増の5億41百万円
- 3壱番屋を含む外食事業は売上高が7.8%増えた一方、営業利益は19.3%減
- 4通期営業利益予想を前回から10億円引き下げ、配当予想は年間100円を維持
- 5自己株式を約122万株取得し、約640万株を消却。自己資本比率は67.9%
業績のポイント
ハウス食品(ハウス食品グループ本社)は、2027年3月期第1四半期に減収ながら営業増益を確保しました。本業の利益は回復、純利益には売却益が寄与しています。
- 売上高: 751億39百万円、前年同期比0.7%減。前期に総菜事業を譲渡した影響がありました。
- 営業利益: 40億1百万円、前年同期比17.1%増。香辛・調味加工食品事業と海外食品事業がけん引しました。
- 経常利益: 44億94百万円、前年同期比22.6%増。為替差益の増加なども押し上げ要因です。
- 親会社株主に帰属する四半期純利益: 51億36百万円、前年同期比185.3%増。投資有価証券売却益35億4百万円を特別利益に計上しました。
主力の香辛・調味加工食品事業では、前年度の価格改定後に販売数量が回復し、価格改定の効果も表れました。連結売上高は総菜事業の譲渡で前年を下回りましたが、譲渡の影響を除いた既存事業は各セグメントで増収です。純利益の伸びには有価証券売却益が大きく含まれるため、本業の回復度合いは営業利益と各事業の動きを中心に見る必要があります。
セグメント別動向
主力の香辛・調味加工食品事業と海外食品事業が営業増益を支えた一方、外食事業はコスト上昇で減益でした。営業利益の前年同期比は、セグメントごとに明暗が分かれています。
香辛・調味加工食品事業は売上高313億27百万円、営業利益16億30百万円。ルウカレーやルウハヤシ、スパイスの販売数量が回復し、価格改定効果やマーケティング費用の運用も利益を押し上げました。ルウカレーの金額シェアは61.8%でした。
健康食品事業は売上高42億44百万円、営業利益5億41百万円。価格改定後の「ウコンの力」は販売数量が一時的に減ったものの、「C1000」の製品バラエティ拡充が販売増につながりました。
海外食品事業は売上高166億18百万円、営業利益15億55百万円。中国では家庭用・業務用とも販売が伸び、タイではゼロシュガー品などが寄与しました。一方、米国大豆事業は減収の影響で減益です。
外食事業は売上高169億72百万円、営業利益7億52百万円。壱番屋の販促や期間限定メニュー、国内外子会社の事業拡大で増収でしたが、米などの仕入価格や物流費の上昇が利益を圧迫しました。その他食品関連事業は総菜事業の譲渡で減収となった一方、譲渡による収益改善などで増益でした。
セグメント別の営業利益増減率を見ると、健康食品事業の伸びが目立ち、外食事業は唯一の減益でした。ハウス食品はスパイス系の成長を軸に据えていますが、外食では価格上昇を販売価格や客数にどう反映できるかが課題です。
- 香辛調味+39.7%
- 健康食品+52.1%
- 海外食品+17.1%
- 外食-19.3%
- その他食品+10.7%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 香辛・調味加工食品事業 | 313億円 | 40% | 16億円 | 5.2% |
| 健康食品事業 | 42億円 | 5% | 5億円 | 12.7% |
| 海外食品事業 | 166億円 | 21% | 16億円 | 9.4% |
| 外食事業 | 170億円 | 22% | 8億円 | 4.4% |
| その他食品関連事業 | 89億円 | 11% | 2億円 | 2.5% |
通期見通し
ハウス食品は中東情勢を背景に原材料などのコスト上昇を見込み、2027年3月期の営業利益予想を前回から10億円引き下げました。売上高と純利益の予想は据え置いています。
| 項目(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 322,500 | 322,500 | 316,977 |
| 営業利益 | 18,500 | 17,500 | 18,246 |
| 経常利益 | 19,700 | 18,700 | 19,526 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 17,000 | 17,000 | 7,360 |
修正後の予想は、売上高が前期比1.7%増、営業利益が4.1%減、経常利益が4.2%減です。純利益は前期に減損損失などがあった反動もあり、前期比131.0%増を見込みます。
営業利益の下方修正は、香辛・調味加工食品事業の予想を10億円引き下げたことによるものです。同事業では事業コストの上昇を想定し、ほかのセグメントの予想は据え置きました。売上高予想を維持しながら利益を減額した点は、増収だけでなくコスト吸収力が通期業績の焦点であることを示しています。
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前期末から129億12百万円減りましたが、自己資本比率は67.9%と前期末から0.9ポイント上昇しました。現金及び預金の減少や自己株式の取得があり、四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていません。
| 項目 | 2027年3月期1Q末 | 前期末・前期実績 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 424,363 | 437,275 | -12,912 |
| 自己資本比率 | 67.9% | 67.0% | +0.9ポイント |
| 現金及び預金(百万円) | 87,930 | 100,843 | -12,913 |
| 年間配当予想(円) | 100 | 70 | +30 |
- 自己株式の取得: 取締役会決議に基づき約122万株を取得し、取得額は約41億74百万円でした。
- 自己株式の消却: 5月29日に640万株を消却しました。自己株式取得と消却を組み合わせ、資本効率の向上を図っています。
- 配当: 年間予想は100円で、前期実績の70円から30円増。中間・期末はそれぞれ50円の予想で、今回の修正はありません。
現金及び預金は減少した一方、総資産に占める自己資本の割合は上がり、財務基盤は高い水準を保っています。配当増額と自己株式の取得・消却は株主還元と資本効率を意識した動きですが、原材料高への対応や成長領域への投資と両立できるかが今後の確認点です。
戦略トピック
ハウス食品は2026年4月に従来の経営計画を見直し、「成長領域への集中」「組織改革の実行」「財務戦略の強化」を柱とする構造改革に着手しました。売上・利益の成長や資本効率の改善が当初計画に対して遅れていることを踏まえた対応です。
- 成長領域への集中: スパイス系バリューチェーンを中心に、グローバルでの成長を加速する方針です。
- 組織改革の実行: 変化する顧客ニーズに対応し、各事業の運営や組織を見直します。
- 財務戦略の強化: 資本効率の改善を進め、企業価値の向上を目指します。
- 収益構造の再構築: サプライチェーンの最適化とコスト管理を強化し、事業コスト上昇に備えます。
会社は2027年3月期を収益構造再構築の年と位置づけています。今回の通期予想修正は、成長投資だけでなく、原材料高を吸収できる体制づくりが急務であることを映しています。
リスクと課題
会社は地政学リスクや為替・金利の変動、原材料を中心としたコスト上昇などを、先行きの不透明要因として挙げています。事業ごとの販売回復が続くかに加え、コスト増を利益率の改善につなげられるかが焦点です。
- 原材料・物流コストの上昇: 中東情勢などを背景にコスト増を見込み、香辛・調味加工食品事業の通期営業利益予想を引き下げました。
- 外食事業の採算悪化: 壱番屋などは増収でしたが、米などの食材価格や物流費の上昇で営業減益となりました。
- 海外事業の地域差: 中国やタイは増収増益となった一方、米国大豆事業は減収の影響を受け、利益回復が課題です。
- 消費行動・為替の変化: 各国の経済状況や流通環境の変化、為替変動が販売や円換算の業績に影響する可能性があります。
価格改定後の販売数量回復は明るい材料ですが、値上げが続けば消費者の購買行動が変わる可能性もあります。通期の利益計画を達成できるかは、値上げ効果だけでなく、調達・物流を含むコスト管理の成果に左右されそうです。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/4)
3,601円
最新終値(2026/10/23)
4,450円+23.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ハウス食品#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#営業増益#通期予想下方修正#株主還元#海外食品事業
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
営業利益の回復は、価格改定後の販売数量回復やマーケティング費用の運用が成果を上げた点で前向きに評価できます。一方、純利益の大幅増には投資有価証券売却益が含まれ、本業の勢いと一時的な利益を分けて見る必要があります。
注目したいのは、成長領域への集中を掲げながら、原材料高を受けて主力事業の利益予想を下げたことです。今後はルウカレーなどの販売回復を持続させるとともに、コスト上昇を価格や生産・物流の改善でどこまで吸収できるかが、構造改革の実効性を測るポイントになります。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/house-foods-group/report/2027-Q1
関連記事
調味料・ソースの最新記事
- 決算解説キユーピー2026年11月期 第3四半期キユーピー、2026年11月期第3四半期決算、営業利益17%増も純利益は減少

- 決算解説カゴメ2026年12月期 第2四半期(中間期)カゴメ、2026年12月期第2四半期決算、営業利益14.5%減で通期予想を下方修正

- 決算解説味の素2027年3月期 第1四半期味の素、2027年3月期第1四半期決算、事業利益27%増で通期予想を上方修正

- 決算解説キッコーマン2027年3月期 第1四半期キッコーマン、2027年3月期第1四半期決算、増収増益で営業利益29%増

- M&A・グループ再編味の素6月22日味の素、マレーシア子会社AMBを約242億円で完全子会社化へ――成長市場深耕と経営効率化を加速

掲載企業
ハウス食品グループ本社株式会社
東証 2810
これが最新の決算解説です





