ジャフコ、2027年3月期第1四半期決算、キャピタルゲインが前期水準を下回る

ジャフコの2027年3月期第1四半期決算は、売上高が30億73百万円、営業利益が6億27百万円、純利益が5億64百万円となりました。前年同期は非連結決算への移行に伴い比較できませんが、会社の参考比較では国内投資分のキャピタルゲインが前期水準を下回りました。新規IPOは1社、M&Aによる株式譲渡も1社あり、投資回収の実績はある一方、利益の振れやすさが表れた決算です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | — |
| 営業利益 | 6億円 | — |
| 純利益 | 6億円 | — |
| 営業利益率 | 20.4% |
この決算のポイント
- 1前年同期の比較数値はなし。国内投資分のキャピタルゲインは年換算で前期比51.6%
- 2ファンド管理収入は9億58百万円、国内投資分を年換算すると前期比108.1%
- 3ベンチャー投資は8社、36億84百万円。当四半期にバイアウト投資の実行はなし
- 4投資先のIPOは1社で、初値評価額は投資額の2.3倍。M&Aによる株式譲渡も1社
- 5年間配当予想は133円を最低額として維持。通期業績予想は市場変動が大きく未公表
業績のポイント
ジャフコ(ジャフコ グループ)の第1四半期は、売上高30億73百万円、営業利益6億27百万円、経常利益7億86百万円、純利益5億64百万円でした。前年同期は連結決算から非連結決算への移行により比較数値がなく、前年比は算出できません。
- 売上の柱: 営業投資有価証券の売上高は21億15百万円、ファンド管理収入は9億58百万円でした。
- 投資回収: 投資先のIPOがベンチャー投資で1社あり、バイアウト投資でもM&Aによる株式譲渡を1社実施しました。
- 利益の背景: 国内投資分のキャピタルゲインは12億21百万円で、会社が示す前期との参考比較では年換算で51.6%の水準でした。
- 費用面: 投資損失引当金の純繰入額は5億16百万円となり、営業利益を押し下げる要因になりました。
会社によると、キャピタルゲインは前事業年度の水準を下回って推移しました。一方、前年同期との単純比較はできず、年換算の参考値も投資先の売却時期などで大きく変わり得ます。投資回収の有無とタイミングが四半期利益を左右する事業特性が、今回も確認できる内容です。
セグメント別動向
ジャフコはファンド運用事業の単一セグメントで、セグメント別の業績比較は開示していません。事業の中身では、ファンド管理収入が堅調な一方、投資先の売却益に関わるキャピタルゲインは前期水準を下回りました。
| 項目 | 第1四半期実績 | 前期との参考比較 |
|---|---|---|
| 国内投資分キャピタルゲイン | 12億21百万円 | 年換算で51.6% |
| 投資事業組合管理収入 | 9億58百万円 | 年換算で108.1% |
| うち管理報酬 | 8億82百万円 | 年換算で113.3% |
| うち成功報酬 | 75百万円 | 年換算で70.2% |
管理報酬はSV8シリーズの運用開始を受け、前事業年度の水準を上回りました。一方、成功報酬はEXITが低水準だったことなどから前期水準を下回っています。会社が示す参考比較は国内投資分を年換算した数値であり、前年同期比ではない点に注意が必要です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ファンド運用事業 | 31億円 | 100% | 6億円 | 20.4% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は1,580億1百万円で、前期末から小幅に増加しました。自己資本比率は84.7%と高水準を保つ一方、配当支払などを受け純資産は前期末を下回りました。
| 項目 | 2026年6月末など | 前期末・前期実績との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,580億1百万円 | 前期末比0.1%増 |
| 純資産 | 1,338億81百万円 | 前期末比0.2%減 |
| 自己資本比率 | 84.7% | 前期末の85.0%から低下 |
| 現金及び預金 | 604億35百万円 | 前期末比1.2%減 |
| 年間配当予想 | 133円 | 前期実績と同額、最低額 |
中間配当は66.5円、期末配当も66.5円を最低額とする予想で、配当予想の修正はありません。2026年3月期から、年間配当はDOE6%と配当性向50%のいずれか大きい金額を基準とし、中間配当はDOE3%を基準にする方針です。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成しておらず、自社株買いの実施に関する記載もありません。
リスクと課題
ベンチャー投資やバイアウト投資の収益は、投資先の上場・売却や株式市場の動向に左右されます。今回の短信からは、EXITの実績だけでなく評価損や将来の投資負担にも目配りする必要があります。
- EXIT時期の変動: IPOやM&Aによる売却の時期・規模でキャピタルゲインや成功報酬が変わり、四半期ごとの利益が振れやすくなります。
- 未上場投資先の損失: 投資損失引当金残高は94億57百万円となり、前期末の89億40百万円から増加しました。未上場営業投資有価証券に対する引当率も20.5%へ上昇しています。
- 株式市場の評価変動: 上場営業投資有価証券の時価変動は資産や評価差額に影響します。上場投資先の株価が下落すれば、保有資産の評価や売却益に影響する可能性があります。
- 投資資金の負担: ファンドへの出資約束額は239億3百万円で、前期末の136億3百万円から増加しました。SV8シリーズ分を含むため、今後の資金拠出と投資回収の進捗が注目点です。
さらに、連結から個別決算への移行で前年同期との業績比較ができず、過去との連続性を読み取りにくい状況です。会社は株式市場や新規上場市場の影響が大きく合理的な業績予想が困難として、通期予想を公表していません。
通期見通し
ジャフコは2027年3月期の通期業績予想を公表していません。株式市場や新規上場市場の影響を強く受け、収益の振れ幅が大きいため、合理的な予想が難しいと説明しています。
会社は通期予想に代えて、四半期決算と中間決算を迅速に開示する方針です。投資先の上場・売却が進めばキャピタルゲインや成功報酬の上振れ要因になりますが、EXITが少ない場合は利益が伸びにくくなる可能性があります。次回以降は、ファンドの投資実行に加え、IPOやM&Aによる回収実績、管理報酬の拡大が続くかを確認したいところです。
戦略トピック
ジャフコは国内ファンドの投資活動を続け、SV8シリーズの募集を進めています。第1四半期のベンチャー投資は8社、36億84百万円で、前年同期の8社、31億74百万円を金額で上回りました。一方、バイアウト投資の実行はありませんでした。
- IPO実績: ベンチャー投資先のIPOは1社。ファンド全体の投資額2億38百万円に対し、初値評価額は5億52百万円、倍率は2.3倍でした。
- SV8シリーズ: 2025年12月に設立したファンドの総額は第1四半期末で650億円。前回SV7シリーズの978億円を上回る規模を目標に募集を続けています。
- ファンド運営の再編: JAFCO Investment (Asia Pacific) Ltd.とIcon Venturesの譲渡を完了し、前第3四半期から非連結決算へ移行しました。
SV8の募集が進めば、将来の管理報酬の基盤拡大につながる可能性があります。ただし、ファンド規模の目標達成と、実際の投資先育成・EXITによる収益化は別の段階です。募集の進捗と投資回収の両方を追う必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/23)
2,320円
最新終値(2026/10/23)
2,236.5円-3.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ジャフコ#決算#決算分析#四半期決算#ベンチャーキャピタル#キャピタルゲイン#IPO#SV8シリーズ#配当
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コメント
ジャフコの決算は、投資先の売却益で大きく伸びる局面と、EXITが少なく利益が落ち着く局面の差が大きく、四半期の数字だけで基調を判断しにくい会社です。今回は管理報酬がSV8シリーズの運用開始で支えになった一方、キャピタルゲインは会社の参考比較で前期水準を下回りました。
注目したいのは、SV8シリーズが650億円まで積み上がり、前回ファンドを上回る目標に向けて募集を続けている点です。資金調達の進展が将来の管理報酬を支える可能性がある反面、最終的な収益化には投資先の成長とIPO・M&AによるEXITが欠かせません。ファンド募集の拡大が投資回収につながるかが、中長期の評価を左右しそうです。
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ジャフコ グループ株式会社
東証 8595
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