大和証券、2027年3月期第1四半期決算、経常利益101%増の880億円、全セグメント大幅増益

大和証券(大和証券グループ本社)が発表した2027年3月期第1四半期決算は、国内外の市場環境が追い風となり、全セグメントが大幅増益を達成した。純営業収益は前年同期比42.0%増の2,203億円、経常利益は同101.5%増の880億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同80.6%増の564億円と急回復。連結子会社の大和ネクスト銀行によるオリックス銀行買収完了も発表し、安定収益基盤の拡充に向けた布石を打った。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高金融費用控除後 2,204億円+42.0% | 4,344億円 | +33.1% |
| 営業利益 | 775億円 | +114.3% |
| 純利益 | 564億円 | +80.6% |
| 営業利益率 | 35.2% |
業績のポイント
大和証券の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)は、国内外の株式市場が堅調に推移し、個人投資家の取引活発化や大型IPOの実現、機関投資家のフロー増加が収益を押し上げた。営業収益(金融費用控除前)は前年同期比33.1%増の4,343億円、金融費用等を控除した純営業収益は同42.0%増の2,203億円となり、収益力が大きく改善した。
主要な収益項目では、委託手数料が株式売買増加により同65.3%増の349億円、引受け・売出し手数料は大型案件の獲得で同91.8%増の170億円と急拡大。トレーディング損益もエクイティを中心に同48.9%増の332億円、金融収支は債券利子の増加により同23.9%増の245億円となった。一方、販売費・一般管理費は業績連動賞与の増加などで同20.0%増の1,428億円に膨らんだが、増収効果が上回り、営業利益は同114.3%増の775億円、経常利益は同101.5%増の880億円と、利益が倍増する圧倒的な回復を示した。
セグメント別動向
全4セグメントが前年同期比で増収増益となり、特にアセットマネジメントとグローバル・マーケッツが高い伸びを示した。
ウェルスマネジメント部門は、純営業収益が同40.3%増の882億円、経常利益が同88.9%増の372億円。総資産コンサルティングの深化により幅広い商品販売が拡大し、ラップ関連収益は高水準を維持、契約資産残高は過去最高の6兆7,650億円に到達した。大和ネクスト銀行の預金残高も5兆3,085億円(前年末比4.8%増)と順調に積み上がっている。
アセットマネジメント部門は、純営業収益が同45.1%増の409億円、経常利益が同105.5%増の303億円と、経常利益の倍増を達成した。証券アセットマネジメントでは、大和アセットマネジメントの運用資産残高が資金純増と株高により50.4兆円に拡大。不動産アセットマネジメントも運用残高1兆8,106億円と堅調。オルタナティブ領域では投資先売却益が寄与し、経常利益が前年同期比15.1倍の48億円と急成長した。
グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は、純営業収益が同53.6%増の765億円、経常利益が同354.0%増の227億円。グローバル・マーケッツでは、エクイティ・フィクストインカム双方で顧客フローが増加し、ポジション運営も奏功。グローバル・インベストメント・バンキングは、エクイティ・債券の主幹事案件獲得やM&Aビジネスの遂行により、引受手数料とM&A収益が急拡大した。
以下はセグメント別の純営業収益・経常利益と前年同期比の一覧である。
| セグメント | 純営業収益(億円) | 前年同期比 | 経常利益(億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| ウェルスマネジメント | 882 | +40.3% | 372 | +88.9% |
| アセットマネジメント | 409 | +45.1% | 303 | +105.5% |
| グローバル・マーケッツ&IB | 765 | +53.6% | 227 | +354.0% |
| その他・調整等 | 147 | - | △22 | - |
| セグメント | 収益(控除後) | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ウェルスマネジメント部門 | 882億円 | 40% | 373億円 | 42.2% |
| アセットマネジメント部門 | 409億円 | 19% | 304億円 | 74.2% |
| グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門 | 765億円 | 35% | 227億円 | 29.7% |
| その他・調整等 | 147億円 | 7% | -2,257百万円 | - |
※ セグメント収益は金融費用控除後ベース(収益合計のグロス値とは異なります)
財務状況と資本政策
当四半期末の総資産は前連結会計年度末比4.7%増の39兆8,672億円。現金・預金が4兆8,767億円(同28.7%増)に積み上がり、トレーディング商品も13兆5,984億円(同9.7%増)と拡大した。負債は37兆7,898億円(同4.9%増)で、預金や短期借入金が増加。純資産は2兆773億円(同1.5%増)となり、利益剰余金が親会社純利益564億円の計上と配当支払いで1兆1,293億円(同0.7%増)に。自己資本比率は4.5%と安定している。
配当については、中間・期末の年2回、連結業績に応じて配当性向50%以上を基本方針とし、2025年3月期から2027年3月期までは1株当たり年間配当の下限を44円に設定。前期(2026年3月期)は64円を実施した。自社株買いに関する特段の発表はなかったが、自己株式控除額は1,478億円と前期末比で17億円減少している。
リスクと課題
大和証券は、有価証券関連業の業績が経済情勢や相場環境に大きく左右されるため、通期業績予想の開示は行っていない。実際、今回の大幅増益も好調な市場環境に支えられた面が強く、急激な景気後退や地政学リスクの顕在化による市場混乱が起きれば、収益が急減する可能性がある。
各セグメント固有のリスクとしては、ウェルスマネジメント部門で個人投資家の投資意欲減退や商品販売低迷、アセットマネジメント部門で運用パフォーマンス悪化や資金流出、グローバル・マーケッツ部門で市場ボラティリティ低下や顧客フロー縮小、グローバル・インベストメント・バンキング部門でIPO・M&A市況の冷え込みなどが挙げられる。また、進行中のオリックス銀行統合において、のれん減損やシステム統合の遅延といったリスクにも注意が必要だ。
戦略トピック:オリックス銀行買収で銀行機能を大幅強化
大和証券は2026年8月3日、連結子会社の大和ネクスト銀行を通じてオリックス銀行の全株式を取得し、完全子会社化した。取得価額は3,700億円(最終調整後)。本買収は中期経営計画「Passion for the Best 2026」に沿った安定収益拡大の一環で、融資・信託機能の抜本的強化を狙う。大和ネクスト銀行の預金運用効率化と、オリックス銀行の不動産融資・信託ノウハウを融合し、負債を含めた総資産コンサルティングの深化を図る。将来的な両行の合併によるシナジー最大化も視野に入れ、連結業績の安定化と持続的成長を目指す。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/3)
1,812円
最新終値(2026/10/23)
1,709.5円-5.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#大和証券#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#ウェルスマネジメント#アセットマネジメント#グローバルマーケッツ#経常利益倍増#オリックス銀行買収
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コメント
今期の大和証券は、追い風の市場環境に支えられ全セグメントで大幅な増益を達成した。特にアセットマネジメント部門とグローバル・マーケッツ部門の利益急拡大が目覚ましい。
一方で、業績予想を開示しない姿勢が示す通り、収益の市場感応度は極めて高い。今回の好決算は持続的な実力というより、一時的な市場活況の反映という側面も拭えない。
注目すべきは、オリックス銀行買収によって安定収益源の強化にカジを切った点だ。融資や信託といった金利ビジネスの拡充により、長年の課題であった収益構造の平準化がどこまで進むかが焦点となる。統合後ののれん負担やコスト管理も注視したい。
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