大手証券3社・2027年3月期第1四半期比較、SBIが利益首位、大和が成長率で猛追
大手証券3社はそろって増収増益となった。売上高の伸びは大和が33.1%で首位、利益の伸びはSBIが149.9%で突出した。背景には市場の活況に加え、各社で異なる稼ぎ頭がある。増収共通、利益の源泉に差。投資家は利益の持続性、就活生は事業ごとの働き方に注目したい。
今期の総括
増収共通、利益の源泉に差
業界全体の動き
市場の活況が3社共通の追い風となった。株式売買や引き受け、機関投資家の取引が広がり、いずれも増収増益だった。
- 売上高の伸びは大和証券が33.1%で首位。SBIは28.8%、野村HDは18.6%だった。
- 利益の伸びはSBIが149.9%、大和証券が114.3%。野村HDも32.0%増えた。
- 野村HDはホールセールが伸長。市場取引の活発化が収益を押し上げた。
- 大和証券は個人取引や大型IPOが寄与。委託手数料は65.3%増、引受手数料は91.8%増だった。
- SBIはPE投資事業が大きく伸び、税引前利益は328.0%増となった。
利益欄は提示資料の比較値を使った。各社の開示項目や会計上の定義は異なるため、単純比較には注意したい。野村HDの営業利益率は不明で、大和証券の35.2%、SBIの39.5%と横並びにはできない。
売上高ランキング
営業利益ランキング
営業利益率ランキング
勝者と敗者
利益の勢いで先頭に立ったのはSBIだ。利益欄の金額は2,258億円で、野村HDの2,115億円、大和証券の775億円を上回った。前年比も149.9%増と、野村HDの32.0%増を大きく上回る。
差を生んだのはPE投資事業だ。同事業の税引前利益は1,199億円で、前年同期比328.0%増。連結税引前利益の過半を占めた。中間配当も従来予想の10円から30円へ引き上げている。
相対的に伸びが緩やかだったのは野村HDだ。売上高は1兆3,717億円で3社最大だが、前年比の伸びは18.6%。大和証券の33.1%、SBIの28.8%を下回った。純利益は1,456億円で、前年比39.2%増。大和証券の80.6%増、SBIの75.0%増より低い。
ただし、野村HDは減益ではない。純利益は3社でSBIの1,481億円に次ぐ規模だ。ここでの「敗者」は、あくまで成長率の比較での位置づけとなる。
- 好調
- SBI
- 苦戦
- 野村HD

売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
注目の動き・戦略比較
野村HDは市場取引を軸にしつつ、ウェルス・マネジメントや運用事業も堅調だった。ROEは15.4%となり、前年同期の12.0%から改善。収益力の高さが見える一方、費用の増加にも目配りが要る。
大和証券は取引と引き受けの伸びが目立った。委託手数料は65.3%増、大型案件を含む引受手数料は91.8%増。さらに大和ネクスト銀行によるオリックス銀行の買収を完了し、銀行収益の拡充を狙う。
SBIはPE投資の利益拡大が最大の特徴だ。金融サービス事業も収益を支え、複数の収益源を持つ。一方、PE投資の利益は投資先の売却や市場環境に左右されやすい。増配の発表は株主還元を重視する姿勢を示した。
業界共通のリスク
好決算でも、市場の追い風が弱まれば収益は揺れる。特に取引や投資収益の比重が高い会社ほど、相場変動の影響を受けやすい。
- 株価や金利、為替の変動で、顧客の売買や投資収益が細るリスク。
- 市場が落ち着けば、手数料やトレーディング収益が縮む可能性。
- PE投資は利益確定の時期に左右される。SBIの高成長が続くとは限らない。
- 野村HDでは費用の増加が続く場合、市況悪化時の利益の落ち込みが大きくなる恐れ。
- 大和証券は銀行買収後の統合や、安定収益につなげる運営が課題。
- 顧客資産を扱う業界として、規制変更や情報管理の不備も事業リスクとなる。
足元の増益率だけでなく、収益源の分散や費用の調整力も見極めたい。
順位変化と構造トレンド
売上高では野村HDが首位を保つ一方、利益欄ではSBIが首位となった。規模の大きさと利益成長の速さは、必ずしも一致しない。
大和証券は売上高の伸びで3社をリードした。SBIはPE投資で利益を押し上げ、野村HDはホールセールを中心に幅広い部門が寄与した。証券各社の競争は、取引量だけでなく、投資・運用や銀行との連携にも広がっている。
就活生・転職希望者へ
同じ証券業界でも、仕事の軸は会社ごとに違う。野村HDは機関投資家や企業を支えるホールセールに加え、資産運用やウェルス分野も持つ。大和証券は個人向け取引やIPO、銀行連携の広がりが見どころだ。SBIは金融サービスに加え、投資事業やデジタル分野にも接点がある。
市場が活況な期は、営業やトレーディングの成果が数字に表れやすい。一方で、相場に左右されにくい収益づくりも各社の課題だ。応募先を選ぶ際は、成長率だけでなく、配属領域や顧客、評価制度も確認したい。
タグ#大手証券#証券業界#2027年3月期#第1四半期決算#野村HD#大和証券#SBI#PE投資#市場活況#株主還元
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