業界ダイジェスト
石油資源開発株式会社 の会社詳細
石油資源開発株式会社
石油資源開発
2026年3月期 通期

石油資源開発・2026年3月期通期、純利益34%減の534億円——資源価格下落が響くも、北米大型買収で成長基盤を再構築

石油資源開発
減収減益
M&A
北米事業
事業譲渡
株式分割
エネルギー価格
配当維持
イラク情勢
構造改革
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

3,403億円

-12.5%

通期予想

3,030億円

進捗率112%

営業利益

389億円

-37.2%

通期予想

410億円

進捗率95%

純利益

534億円

-34.2%

通期予想

600億円

進捗率89%

営業利益率

11.4%

石油資源開発(JAPEX)が発表した2026年3月期通期の連結決算は、売上高が3,403億3,600万円(前年同期比12.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が534億2,700万円(同34.2%減)と大幅な減収減益となりました。世界的な原油・天然ガス価格の下落に加え、液化天然ガス(LNG)の販売数量減少が業績を下押ししました。一方で、北米での大型買収の完了や北海道のガス事業譲渡の決定など、ポートフォリオの抜本的な組み換えを加速させています。

業績のポイント

2026年3月期は、エネルギー価格の落ち着きと需要動向の変化が利益面を直撃しました。主力の原油や天然ガスの販売価格が前年度に比べて下落したほか、国内天然ガス市場でのコスト抑制意識の高まりから、LNGの販売量が減少しました。この結果、売上総利益は767億4,100万円(前年比22.6%減)となり、営業利益は389億1,500万円(同37.2%減)と大きく落ち込みました。

一方で、経常利益は615億5,600万円(前年比4.1%減)と底堅さを見せました。これは、前年度に損失だった持分法による投資損益が41億1,400万円の利益に転じたことや、為替相場の円安推移に伴う82億円の為替差益を計上したことが要因です。最終利益については、前年度に計上された大型の有価証券売却益がなくなった反動もあり、大幅な減益となりました。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績前年比
売上高3,890億円3,403億円△12.5%
営業利益620億円389億円△37.2%
経常利益642億円615億円△4.1%
当期純利益811億円534億円△34.2%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

国内事業を中心とする「日本」セグメントは、売上高が2,481億9,400万円(前年比11.3%減)、セグメント利益は308億6,900万円(同31.4%減)となりました。LNGの販売量減少に加え、年度後半にかけての円高推移や原油価格下落が、国内生産の原油・天然ガスの販売収支を悪化させました。エネルギー業界内の競争激化も継続しており、厳しい市場環境が続いています。

「北米」セグメントでは、売上高が523億7,700万円(前年比6.0%減)、セグメント利益は170億8,200万円(同19.0%減)でした。価格下落の影響を受けましたが、2026年2月に米国コロラド・ワイオミング州で資産を持つVRIH社の全持分取得を完了しました。今後はこの買収資産からの生産が寄与し、成長の柱となる見込みです。

「欧州」および「中東」セグメントは外部環境の変化に翻弄されました。欧州では英国のシーガル鉱区権益を保有する子会社を譲渡し、撤退を決定しました。中東では、イラクのガラフ油田事業が当局の不可抗力宣言により生産・出荷を停止しており、再開の目処が立っていないことが今後の懸念材料となっています。

セグメント売上高セグメント利益前年比(利益)
日本2,481億円308億円△31.4%
北米523億円170億円△19.0%
欧州80億円16億円△70.9%
中東316億円29億円△28.6%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
日本2,482億円73%309億円12.4%
北米524億円15%171億円32.6%
欧州81億円2%16億円20.1%
中東317億円9%30億円9.4%

財務状況と資本政策

当期末の総資産は、北米VRIH社の連結開始に伴い、前年末から1,808億7,100万円増加し、8,624億7,000万円となりました。特に鉱物資源や投資有価証券が増加した一方で、買収資金の支出等により現金及び預金は542億5,900万円まで減少しています。自己資本比率は72.8%(前期末比4.6ポイント低下)と、依然として高い財務健全性を維持しています。

株主還元については、連結配当性向30%を目安とする方針を維持しています。2024年10月に実施した1対5の株式分割後で換算した年間配当は65円(中間20円、期末45円)となります。次期(2027年3月期)については、中長期的な安定配当の維持を重視し、1株当たり年間45円を予定しています。

戦略トピック:事業構造の再編と次期見通し

同社は、脱炭素化と収益力強化を両立させるため、事業ポートフォリオの抜本的見直しを断行しています。2027年3月期をめどに、北海道におけるガス製造・販売・導管事業を北海道電力へ譲渡(譲渡価額310億円)することを決定しました。これにより、国内の下流事業を整理し、経営資源を上流のE&P事業や新エネルギー分野へ集中させる構えです。

2027年3月期の通期予想については、売上高は3,030億円と減収を見込むものの、北米買収資産のフル寄与により、営業利益は410億円(前期比5.4%増)、純利益は600億円(同12.3%増)と、増益に転じる見通しです。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想増減率
売上高3,403億円3,030億円△11.0%
営業利益389億円410億円+5.4%
当期純利益534億円600億円+12.3%

リスクと課題

経営陣は、今後のリスクとして以下の要因を挙げています。

  • 地政学リスクの長期化: イラク・ガラフ油田の停止継続が、中東セグメントの収益回復を妨げる要因となっています。
  • 資源価格・為替の変動: 原油価格(CIF)74.91ドル、為替152.90円を前提としていますが、これらが想定より円高・原油安に振れた場合、利益が下押しされます。
  • 脱炭素への対応: 「JAPEX 2050」に掲げるカーボンニュートラル実現に向け、既存の化石燃料事業の収益をいかに次世代投資へ振り向けられるかが課題です。
AIアナリストの視点

今回の決算は、資源価格の下落という外部要因をモロに受けた形ですが、中身を見ると非常に「動いている」印象を受けます。

特に注目すべきは「守りの構造改革」と「攻めの投資」の対比です。不採算や戦略的優先順位の低い英国や北海道のガス下流事業を切り離す(守り)一方で、北米のVRIH社買収によって収益の源泉を再確保する(攻め)という、ポートフォリオの入れ替えが明確です。

  • イラクの停止リスクを北米で補うという地域分散が奏功しつつある点
  • 営業外利益(為替や持分法)に助けられた経常利益の底堅さ
  • 株式分割と配当性向の維持による株主意識の高さ

これらは評価ポイントです。ただし、売上高の減少傾向が続いており、買収資産がどれだけ早期にキャッシュフローを創出できるかが、今後の株価と信頼回復の鍵になるでしょう。