業界ダイジェスト
株式会社カチタス の会社詳細
株式会社カチタス
カチタス
2026年3月期 通期

カチタス・2026年3月期通期、営業利益28.5%増の182億円——新築高騰で中古再生需要が急増、次期は90円へ増配予想

増収増益
中古住宅再生
配当増額
累進配当
中期経営計画上方修正
空き家対策
ROE
リフォーム需要
不動産セクター
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1,519億円

+17.2%

通期予想

1,774億円

進捗率86%

営業利益

183億円

+28.5%

通期予想

210億円

進捗率87%

純利益

125億円

+30.6%

通期予想

140億円

進捗率89%

営業利益率

12.0%

中古住宅再生事業を展開するカチタスが発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前期比 17.2%増の 1,518億5,100万円、営業利益が同 28.5%増の 182億7,900万円 と大幅な増収増益を記録しました。資材価格や輸入物価の上昇により新築住宅の価格が高騰するなか、低価格で高品質なリフォーム済み中古戸建てへの需要がファミリー層以外にも拡大し、販売・仕入ともに過去最高水準 で推移しています。好調な業績を背景に、第4次中期経営計画の目標値を上方修正するとともに、次期の年間配当を 90円 に増額する方針を示しました。

トーク

カチタス 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

当連結会計年度の業績は、売上高から純利益まで全ての項目で前期を大きく上回りました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比 30.6%増の 124億7,000万円 となり、1株当たり当期純利益も 159.43円(前期は122.22円)へ伸長しています。

好調の背景には、新築住宅の価格高騰があります。原材料費の上昇や環境規制の強化に伴い新築戸建ての取得ハードルが上がるなか、同社の提供する「リフォーム済み中古住宅」の価格競争力が相対的に高まりました。顧客層も従来のファミリー層から単身者や高齢者世帯へと広がりを見せており、販売件数は前期比 13.7%増の 8,380件 に達しています。

また、利益面では従業員への還元も強化されました。安定成長に向けた人材投資の一環として、合計 5億1,300万円 の決算特別賞与を支給しましたが、これを吸収した上での大幅増益となっています。収益性の指標である売上高営業利益率は 12.0%(前期比1.0ポイント上昇)となり、効率的な事業運営が継続されていることが示されました。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績前年同期比
売上高1,295億円1,518億円+17.2%
営業利益142億円182億円+28.5%
経常利益138億円178億円+28.3%
当期純利益95億円124億円+30.6%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

同社は中古住宅再生事業の単一セグメントですが、事業の内容は「仕入」と「販売」の両面で力強い成長を見せました。仕入面では、第4次中期経営計画で掲げた高い成長目標を達成するため、買取りの行動量を大幅に増加させました。その結果、仕入件数は前期比 17.8%増の 9,804件 となり、将来の売上の源泉となる在庫(販売用不動産および仕掛販売用不動産)は前期末比 32.0%増と、安定成長に向けた十分な「質と量」を確保しています。

利益率の推移については、注視すべき会計上の変更がありました。過去に提起していた消費税の更正処分等に関する訴訟について、最高裁判所の上告不受理決定(2025年5月)を受け、計算方法を変更しています。具体的には、これまで販売費及び一般管理費に計上していた消費税等差額を、売上高から直接控除する処理に切り替えました。この影響により、表面上の売上総利益率は前期比0.4ポイント下落しましたが、この影響を除いた 調整後売上総利益率は24.4% と、実質的には前期比 0.7 ポイントの上昇となっており、リフォーム企画の付加価値向上が利益を押し上げています。

指標2025年3月期2026年3月期増減要因
販売件数7,370件8,380件需要拡大と供給増
仕入件数8,322件9,804件営業人員の増加・生産性向上
調整後売上総利益率23.7%24.4%リフォーム企画・コスト管理の徹底
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
中古住宅再生事業1,519億円100%183億円12.0%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比 99億1,600万円 増の 932億4,500万円 となりました。これは主に、積極的な物件取得により販売用不動産などの棚卸資産が 196億6,700万円 増加したことによるものです。一方で、棚卸資産の積み増しを優先した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは 51億9,700万円 の支出(前期は11億円の収入)となりました。

資本政策においては、株主還元をさらに強化する姿勢を打ち出しています。2026年3月期の配当金は、期初予想の70円から増額し、年間 80.00円(配当性向 50.2%)を決定しました。同社は第4次中期経営計画において 「配当性向50.0%以上かつ累進配当」 を基本方針としており、次期の2027年3月期についても年間 90.00円 への増配を予想しています。自己資本比率は 56.9%と、前期から2.0ポイント上昇しており、積極的な投資を継続しつつも健全な財務基盤を維持しています。

通期見通しと戦略トピック

2027年3月期の連結業績予想は、売上高 1,774億円(前期比16.8%増)、営業利益 210億円(同14.9%増)と、2桁の増収増益を継続する見込みです。空き家問題の深刻化を背景に、中古住宅の供給元となる物件は全国に豊富に存在しており、営業人員の増強と育成を通じて供給能力をさらに高めていく方針です。

また、今回の決算に合わせて第4次中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)の財務目標を上方修正しました。当初、営業利益の平均成長率(CAGR)を12.0%としていましたが、足元の好調な需要を踏まえ 17.4%へと引き上げています。ROEについても、従来の「20%以上」から 「25%を目指す」 とし、より高い資本効率の追求を明言しました。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想前期比
売上高1,518億円1,774億円+16.8%
営業利益182億円210億円+14.9%
純利益124億円140億円+12.3%
年間配当80円90円+12.5%

リスクと課題

今後の懸念材料として、会社側は以下のリスクに言及しています。

  • 外部環境の変化: 原材料価格の再高騰や住宅ローン金利の上昇が、消費者の購買意欲を減退させるリスク。
  • 法的リスクの進展: 消費税更正処分に関する訴訟のうち、子会社リプライスの訴訟は継続中であり、その判決結果が将来の業績に影響を与える可能性。
  • 人材確保と育成: 事業拡大の源泉である営業人員の確保が計画通りに進まない場合、供給能力の制約が生じる恐れ。

特に金利動向については、中低所得者層をターゲットとする同社にとって、借入コストの上昇が販売スピードにどう影響するかが今後の焦点となります。

AIアナリストの視点

カチタスの決算は、社会課題である「空き家問題」を追い風にしつつ、新築戸建てとの価格差という「経済的メリット」を巧みに捉えた非常に強い内容です。

特に注目すべきは、単なる業績の伸びだけでなく、中期経営計画を初年度から上方修正した点です。これは、同社が単に外部環境の恩恵を受けているだけでなく、物件仕入からリフォーム企画、販売までのオペレーションが確立され、スケールメリットが出始めていることを示唆しています。

  • 強み: 業界トップクラスの在庫確保能力と、ROE25%を目指す高い資本効率へのこだわり。
  • 注目ポイント: キャッシュフローが一時的にマイナスとなるほど積極的に在庫を積み増している点は、次期以降の売上に対する強い自信の表れと言えます。
  • 懸念点: 金利上昇局面において、一次取得者層の購入判断が鈍らないか、また建築コストの転嫁がどこまで許容されるかが、持続的成長の鍵を握るでしょう。