松屋、2027年2月期第2四半期決算、百貨店好調で営業増益も通期予想は据え置き

松屋の2027年2月期第2四半期決算を分析すると、売上高は227億85百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益は10億47百万円(同4.1%増)と増収増益でした。百貨店事業では富裕層や訪日客の買い物が堅調で、親会社株主に帰属する中間純利益も4億2百万円と黒字転換。一方、飲食業の不振や支払利息の増加があり、通期予想は据え置きました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 228億円 | +1.3% | 440億円 | 52% |
| 営業利益 | 10億円 | +4.1% | 18億円 | 58% |
| 純利益 | 4億円 | — | 5億円 | 80% |
| 営業利益率 | 4.6% | |||
この決算のポイント
- 1百貨店業の売上高は3.4%増、営業利益は22.0%増と好調。
- 2飲食業は婚礼宴会事業の縮小が響き、売上高19.6%減。
- 3経常利益は支払利息の増加などで14.4%減の9億14百万円。
- 4通期予想は据え置き、営業利益18億円、純利益5億円を見込む。
- 5中間配当は6円、年間配当予想は前期と同額の12円。
業績のポイント
松屋(株式会社松屋)の2027年2月期中間期は、売上高227億85百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益10億47百万円(同4.1%増)と増収増益でした。親会社株主に帰属する中間純利益は4億2百万円となり、前年同期の2億9百万円の赤字から黒字に転じました。
- 売上高: 百貨店業の増収が飲食業などの減収を補い、3億3百万円増。
- 営業利益: 販売費及び一般管理費が前年同期より減る一方、売上原価は増加し、利益の伸びは売上高を上回る程度にとどまりました。
- 経常利益: 9億14百万円と14.4%減。支払利息が前年同期より増えたことなどが響きました。
- 中間純利益: 前年同期に計上した10億3百万円の減損損失が今期は9百万円に縮小し、黒字転換を後押ししました。
百貨店の増益で営業利益は前年超えとなった一方、経常利益は減少しており、営業外の費用増が課題です。前年同期は減損損失など特別損失が大きかったため、純利益の改善幅は営業利益の伸びだけでは説明できません。売上高は小幅な増加にとどまっており、今後は百貨店の好調を他事業の立て直しにつなげられるかが焦点です。
セグメント別動向
百貨店業が全体をけん引しましたが、飲食業とビル総合サービス及び広告業は前年を下回りました。セグメント別の営業利益の前年同期比では、百貨店と「その他」が増益となる一方、飲食業の落ち込みが目立ちます。
百貨店業は売上高189億85百万円(前年同期比3.4%増)。ロイヤル顧客の堅調な消費に加え、円安を背景とした訪日観光客の買い上げが寄与し、営業利益も22.0%増となりました。銀座店では牛めし「松屋」の百貨店初の常設店「松屋 PREMIUM」が開業し、話題づくりと顧客満足度向上を目指しました。
飲食業は売上高15億34百万円(同19.6%減)。施設管理部門などは堅調でしたが、婚礼宴会事業の縮小が響き、営業利益は93.0%減の6百万円にとどまりました。
ビル総合サービス及び広告業は売上高27億49百万円(同3.5%減)、営業利益は20.5%減。クリエイティブ部門と建装部門の受注が前年を下回りました。その他は不動産賃貸や商品販売などを含み、売上高は前年同期を上回りました。
百貨店ではCRM(顧客関係管理)の強化や、地域の伝統文化を商品化する「松屋の地域共創」に取り組んでいます。訪日客と富裕層の需要を取り込むだけでなく、地域産品の価値を高める施策を継続できるかが、百貨店の成長力を左右します。
- 百貨店業+22.0%
- 飲食業-93.0%
- ビル・広告-20.5%
- その他+32.1%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 百貨店業 | 190億円 | 76% | 9億円 | 4.5% |
| 飲食業 | 15億円 | 6% | 6百万円 | 0.4% |
| ビル総合サービス及び広告業 | 27億円 | 11% | 93百万円 | 3.4% |
| その他 | 17億円 | 7% | 2億円 | 12.7% |
通期見通し
2027年2月期の通期連結業績予想は、2026年4月に公表した内容から修正していません。売上高440億円(前期比3.7%減)、営業利益18億円(同31.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5億円(同77.2%減)を見込みます。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 440億円 | 440億円 | -3.7% |
| 営業利益 | 18億円 | 18億円 | -31.7% |
| 経常利益 | 13億円 | 13億円 | -50.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5億円 | 5億円 | -77.2% |
前回予想と今回予想は同額で、会社は修正を見送っています。前期実績の金額は短信に記載がないため、表では前期比を示しました。中間期は営業増益でしたが、通期では減益を見込む計画であり、会社予想の達成には下期の業績が重要になります。百貨店の需要が続くかに加え、婚礼宴会事業の縮小や受注減の影響をどこまで抑えられるかを確認したいところです。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は756億32百万円で、2026年2月末から5億6百万円減少しました。自己資本比率は35.3%と、前期末の35.0%から上昇しています。
| 項目 | 2027年2月期中間期 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 総資産 | 756億32百万円 | 前期末比5億6百万円減 |
| 純資産 | 276億10百万円 | 前期末比1億32百万円増 |
| 自己資本比率 | 35.3% | 前期末35.0% |
| 営業活動によるCF | 15億75百万円 | 前年同期31億30百万円 |
| 投資活動によるCF | -16億70百万円 | 前年同期-12億41百万円 |
| 財務活動によるCF | -3億22百万円 | 前年同期-7億28百万円 |
| 年間配当予想 | 12円 | 前期実績12円 |
営業活動によるキャッシュフローは前年同期を下回り、投資活動による支出は前年同期より増えました。財務活動では短期借入金の返済が進む一方、長期借入れによる収入もあり、長期借入金は前期末より増加しています。配当は中間6円、期末予想6円で、年間予想を維持しました。短信に自社株買いの発表はなく、現時点では配当を軸とした株主還元が続いています。
リスクと課題
会社は世界情勢の不安定さや物価上昇による個人消費への影響を挙げています。百貨店での追い風がある一方、事業ごとの業績差や金利負担にも注意が必要です。
- 個人消費の弱含み: 物価上昇が続けば、消費者の購買意欲や百貨店での買い物に影響する可能性があります。
- 訪日客需要への依存: 円安を背景とした訪日観光客の旺盛な買い上げが百貨店業を支えています。為替や観光客の動向が変化すれば、売上の下押し要因になり得ます。
- 飲食業の縮小: 婚礼宴会事業の縮小で売上高と営業利益が大きく減少しました。施設管理部門などの堅調さだけで補えるかが課題です。
- 受注環境の悪化: ビル総合サービス及び広告業では、クリエイティブ部門と建装部門の受注が前年を下回り、減収減益となりました。
- 金利負担の増加: 支払利息の増加が経常利益を押し下げました。借入金や金利の動きによっては、営業利益が伸びても最終的な利益が伸びにくくなるおそれがあります。
通期予想は減収減益を見込んだまま据え置かれており、会社計画の達成度を判断するうえでは、百貨店の売上動向だけでなく、飲食業の縮小影響と受注回復の兆しをあわせて見る必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表直前の終値(2026/10/9)
2,177円
最新終値(2026/10/23)
2,639円+21.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#松屋#決算#決算分析#四半期決算#百貨店#訪日観光客#営業増益#通期業績予想#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
百貨店の増益が全社の営業利益を押し上げた一方、飲食業の落ち込みは小さくありません。好調な銀座店の集客を、地域共創やCRMの取り組みを通じて継続的な顧客基盤につなげられるかが、松屋の成長を測るポイントです。
中間純利益の黒字転換は目を引きますが、前年同期の大きな減損損失がなくなった影響も含みます。営業利益の伸びと、支払利息増加による経常利益の減少を分けて評価したい決算です。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/matsuya/report/2027-Q2
関連記事
百貨店の最新記事
- 決算解説三越伊勢丹2027年3月期 第1四半期三越伊勢丹、2027年3月期第1四半期決算、営業利益21%増で通期予想を上方修正

- 決算解説高島屋2027年2月期 第2四半期(中間期)高島屋、2027年2月期第2四半期決算、営業利益16.4%増で通期予想を上方修正

- 決算解説J.フロント2027年2月期 第2四半期(中間期)J.フロント、2027年2月期第2四半期決算、営業利益10.5%減も通期予想は維持し金融事業が貢献

- 決算解説丸井2027年3月期 第1四半期丸井、2027年3月期第1四半期決算、営業利益10.5%増の増収増益で過去最高

- 組織再編成関係開示高島屋10月15日髙島屋、金融事業を統括する新中間持株会社「髙島屋ファイナンシャル・ホールディングス」を2027年3月に設立へ

- 主要株主異動J.フロント9月7日Jフロントリテイリング、シンガポールの3Dインベストメントが議決権11.18%へ増資し大株主順位変わらず

掲載企業

株式会社松屋
東証 8237
これが最新の決算解説です





