高島屋、2027年2月期第2四半期決算、営業利益16.4%増で通期予想を上方修正

高島屋の2027年2月期第2四半期決算は、営業収益が前年同期比3.7%増の2,441億円、営業利益が16.4%増の275億円となり、増収増益でした。インバウンド需要や国内顧客の堅調さに加え、金融・海外商業開発事業も伸び、会社は通期の営業利益予想を上方修正。一方、前年に固定資産売却益を計上した反動で、中間純利益は24.5%減となりました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,441億円 | +3.7% | 5,091億円 | 48% |
| 営業利益 | 275億円 | +16.4% | 590億円 | 47% |
| 純利益 | 160億円 | -24.5% | 380億円 | 42% |
| 営業利益率 | 11.3% | |||
業績のポイント
高島屋(髙島屋)の2027年2月期中間決算は、売上の伸びに加えて営業利益率も改善し、事業の稼ぐ力が強まりました。営業収益は2,441億円(前年同期比3.7%増)、営業利益は275億円(同16.4%増)、経常利益は281億円(同27.5%増)です。営業利益率は11.3%で、前年同期の約10.0%から上昇しました。
営業利益の増加には、国内百貨店での売上増や販売管理費の改善、海外百貨店・商業開発、金融事業の増益が寄与しました。営業利益に持分法投資利益と受取配当金を加えた独自指標の事業利益も305億円(同21.2%増)となり、本業に近い収益の伸びが営業利益を上回っています。営業利益の伸びが売上を上回る一方、親会社株主に帰属する中間純利益は160億円(同24.5%減)でした。前年同期に固定資産売却益126億円を計上していた反動が大きく、営業段階の好調さとは異なる動きです。
景気について会社は、実質賃金の改善を背景に個人消費が緩やかに回復する一方、中東などの地政学リスクが金利・為替・物価やインバウンド需要に及ぼす影響を注視するとしています。円安を背景に訪日客需要が増えたほか、国内顧客の売上も堅調でした。ただし、ラグジュアリーブランドなど利益率の低い商品の構成比が高まり、百貨店の総額売上高ベースの商品利益率は前年を下回っています。
セグメント別動向
国内百貨店業は営業収益1,491億円(前年同期比1.9%増)、営業利益125億円(同30.2%増)でした。円安によるインバウンド需要と国内顧客売上の堅調さが増収を支え、売上増で売上総利益も増加しました。利益率の低いラグジュアリー商品の構成比上昇は商品利益率を押し下げましたが、コスト削減も進み、営業利益は大きく伸びました。海外百貨店業は営業収益186億円(同15.8%増)、営業利益46億円(同21.4%増)です。シンガポールは現地通貨ベースで減収減益ながら円安により円換算では増収増益となり、上海はテナント誘致で黒字転換、ホーチミンは品ぞろえ強化とコスト抑制で増収増益でした。サイアムは増収で赤字幅が縮小しました。
国内商業開発業は営業収益212億円(同3.0%増)、営業利益35億円(同1.0%増)でした。玉川髙島屋S.C.の改装工事が進む中、施設の営業施策による入店客数や売上の増加が寄与しましたが、外部委託費など運営コストも増えました。海外商業開発業は営業収益87億円(同15.1%増)、営業利益32億円(同19.2%増)で、シンガポールの改装効果とベトナム事業の成長が利益を押し上げました。ベトナムではハノイの複合開発を2027年秋に予定し、ホーチミンのサイゴンセンター増床計画も進めています。
金融業は営業収益109億円(同8.6%増)、営業利益31億円(同17.0%増)でした。カード会員の獲得や利用促進、「スゴ積み」の利用拡大、金融相談や法人融資の伸長が増収増益につながりました。建装業は営業収益162億円(同3.6%増)ながら、営業利益は11億円(同30.6%減)です。建築費や人件費の上昇、一部受注予定案件の計画見直しが利益を圧迫しました。その他の事業は営業収益194億円(同1.6%増)、営業利益6億円(同20.3%減)で、飲食業の増益や卸売業の黒字転換を、人材派遣業の減収減益が上回りました。
| セグメント | 営業収益 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 国内百貨店業 | 1,491億円 | +1.9% | 125億円 | +30.2% |
| 海外百貨店業 | 186億円 | +15.8% | 46億円 | +21.4% |
| 国内商業開発業 | 212億円 | +3.0% | 35億円 | +1.0% |
| 海外商業開発業 | 87億円 | +15.1% | 32億円 | +19.2% |
| 金融業 | 109億円 | +8.6% | 31億円 | +17.0% |
| 建装業 | 162億円 | +3.6% | 11億円 | -30.6% |
| その他 | 194億円 | +1.6% | 6億円 | -20.3% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内百貨店業 | 1,491億円 | 61% | 125億円 | 8.4% |
| 海外百貨店業 | 186億円 | 8% | 46億円 | 24.7% |
| 国内商業開発業 | 212億円 | 9% | 35億円 | 16.3% |
| 海外商業開発業 | 87億円 | 4% | 32億円 | 36.8% |
| 金融業 | 109億円 | 5% | 31億円 | 28.8% |
| 建装業 | 162億円 | 7% | 11億円 | 6.6% |
| その他 | 194億円 | 8% | 6億円 | 3.3% |
財務状況と資本政策
8月末の総資産は1兆3,592億円で、2月末から130億円増加しました。現金及び預金の増加や関連会社株式の追加取得などが主因です。純資産は4,904億円、自己資本比率は34.0%となり、前期末から0.6ポイント上昇しました。短期借入金を減らす一方、社債や長期借入金を増やしており、負債の構成も変化しています。
営業キャッシュ・フローは486億円の収入で、前年同期の146億円の収入から増えました。売上債権の増減などが押し上げ要因です。投資キャッシュ・フローは283億円の支出、財務キャッシュ・フローは81億円の支出で、期末の現金及び現金同等物は914億円と期首から140億円増加しました。設備投資の支出は前年より減った一方、固定資産売却による収入も減少しています。
株主還元では累進配当を基本方針とし、中間配当を従来予想から1株2円増額して22円に決定しました。期末配当予想も22円に引き上げ、年間配当予想は44円と前回予想から4円増配、前期の34円からも増える見込みです。当中間期のキャッシュ・フロー計算書では自己株式取得による支出はほぼなく、今回の短信に新たな自社株買いの発表はありません。
通期見通し
高島屋は国内百貨店の売上高や販売管理費の動向、金融業と海外商業開発業の上期実績などを踏まえ、2027年2月期の通期予想を修正しました。営業収益は従来予想から61億円増の5,091億円、営業利益は15億円増の590億円、事業利益は17億円増の660億円です。経常利益も30億円増の600億円に引き上げました。親会社株主に帰属する当期純利益予想は380億円で据え置いています。通期の営業利益予想を上方修正し、営業利益は前期比10.2%増を見込みます。
| 項目 | 4月14日発表予想 | 10月15日修正予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 総額営業収益 | 1兆550億円 | 1兆800億円 | 1兆323億円 |
| 営業収益 | 5,030億円 | 5,091億円 | 4,924億円 |
| 営業利益 | 575億円 | 590億円 | 535億円 |
| 事業利益 | 643億円 | 660億円 | 596億円 |
| 経常利益 | 570億円 | 600億円 | 569億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 380億円 | 380億円 | -82億円 |
総額営業収益は、収益認識に関する会計基準の適用前の従来基準による数値です。前期の純利益は固定資産売却益などを含む前年同期の比較とは異なり、通期では82億円の損失でした。
戦略トピック
高島屋は、金融事業を統括する中間持株会社「髙島屋ファイナンシャル・ホールディングス」を設立する方針を決めました。2027年3月1日の設立を予定し、髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ、ヴァスト・キュルチュール、髙島屋クレイキャピタル、ほがらか信託などの株式を承継させます。金融事業の戦略立案や経営管理を集約し、ガバナンスとリスク管理を強化するとともに、意思決定を速める狙いです。
グループ全体では、百貨店や商業施設、EC、金融サービスをつなぐ「グループのシームレス化」を進めています。タカシマヤアプリではデジタルポイントなどの機能を拡充し、店舗とオンラインの顧客接点を強化する方針です。創業200周年を迎える2031年を見据え、国内外の商業施設と幅広い顧客基盤を組み合わせ、事業領域の拡大と新たな価値づくりを目指しています。
リスクと課題
会社は、中東をはじめとする地政学リスクが世界経済や国内の金利・為替・株価、物価、個人消費、インバウンド需要に及ぼす影響を注視しています。百貨店では円安が訪日客の購買を後押しする一方、為替や旅行需要の変化が売上を左右する可能性があります。また、ラグジュアリー商品の売上構成が高まると売上が伸びても商品利益率が低下するため、衣料品や雑貨を含むファッション領域の強化が課題です。
建装業では建築費や人件費の上昇が利益を圧迫し、一部案件の計画見直しにもつながりました。国内商業施設でも外部委託費などの運営コストが増えており、改装投資の効果と費用管理の両立が必要です。金融事業では金融市場の変動や法改正、デジタル化に加え、ガバナンスとリスク管理の高度化が求められます。通期予想は上方修正されたものの、会社自身も業績がさまざまな要因で予想と異なる可能性を示しており、為替、消費、コストの動向が下期の焦点となります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/15)
2,191.5円
最新終値(2026/10/23)
2,080円-5.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#高島屋#決算#決算分析#四半期決算#2027年2月期#増収増益#通期上方修正#配当増額#インバウンド需要
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コメント
営業利益の伸びが売上の伸びを大きく上回り、国内百貨店に加えて海外商業開発や金融も利益を伸ばした点は、百貨店単体に依存しない収益構造の広がりを示しています。通期予想の上方修正と増配も、上期の実績を踏まえた前向きな判断といえます。
ただし、中間純利益は前年の固定資産売却益の反動で減少しており、営業利益の好調さと最終利益の動きを分けて見る必要があります。下期は建築費や人件費の上昇、円安・インバウンド需要の変化が続く中、利益率の高い商品・サービスを伸ばし、上方修正後の通期計画を達成できるかが注目点です。
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