株式会社髙島屋 の会社詳細
株式会社髙島屋
髙島屋
2027年2月期 第1四半期
2026年6月30日

髙島屋・2027年2月期Q1、営業利益26.4%増の159億円、インバウンド需要と海外百貨店の好調が牽引し大幅な増益を達成

増収増益
百貨店業界
インバウンド
免税売上
海外進出
富裕層ビジネス
社債発行
金融事業
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1,197億円

+6.4%

通期予想

5,030億円

進捗率24%

営業利益

160億円

+26.4%

通期予想

575億円

進捗率28%

純利益

111億円

+58.4%

通期予想

380億円

進捗率29%

営業利益率

13.3%

髙島屋が発表した2027年2月期第1四半期(2026年3月〜5月)の連結決算は、本業の儲けを示す営業利益が前年同期比 26.4%増15,971百万円 と大幅な増益を記録しました。歴史的な円安を背景とした訪日外国人によるインバウンド需要の爆発的な増加に加え、国内の富裕層を中心とした堅調な購買意欲が業績を大きく押し上げました。海外主要都市に展開する店舗も改装効果や現地通貨高の恩恵を受け、国内外で百貨店業が力強い回復と成長を見せています。

業績のポイント

当第1四半期の売上高にあたる営業収益は、前年同期比 6.4%増119,687百万円 となりました。従来基準の総額営業収益でも同 8.4%増261,388百万円 と高い成長率を維持しています。これに伴い、経常利益は前年同期比 43.3%増16,489百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同 58.4%増11,082百万円 と、各段階の利益で劇的な回復を遂げました。

利益急増の主因は、百貨店事業における利益率の高い高額商品の販売好調と、各拠点でのコスト抑制の徹底です。ベースアップをはじめとする人的資本投資により販売管理費は増加傾向にあるものの、光熱費などのコスト削減の取り組みが功を奏し、売上増による利益を効率的に残す体制が構築されました。国内のみならず、海外百貨店の黒字化・増益もグループ全体の成長を支える大きな要因となっています。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主要セグメントである国内百貨店業は、営業収益が前年同期比 3.2%増71,159百万円、セグメント営業利益が同 44.2%増7,461百万円 と極めて高い伸びを示しました。円安を背景にしたインバウンド(訪日観光客)の旺盛な免税売上高に加え、国内のロイヤルカスタマー向けの時計や宝飾品などの高級ブランド(ラグジュアリー)販売が好調でした。高額商品は商品利益率が低い傾向にありますが、売上全体の規模が拡大したことで、セグメント全体で大幅な増益を確保しています。

海外百貨店業の営業収益は、前年同期比 13.6%増9,488百万円、セグメント営業利益は同 17.0%増2,552百万円 でした。シンガポールでは店舗の改装効果と円安による為替影響が追い風となり、上海では新規テナントの誘致が成功し黒字転換を達成しました。また、ベトナムのホーチミン店も子供用品や化粧品の品揃え強化に加え、不要な支出を最小限に抑えたことで増収増益となっています。

国内および海外の商業開発業も増収増益のトレンドを維持しました。東神開発を軸とする国内商業開発業は、「玉川髙島屋S.C.」の大型改装工事が進むなかでも他施設での顧客誘致を強化し、増収を確保しました。海外商業開発業では、シンガポールでの改装効果が貢献したほか、ベトナムでの複合開発事業が順調に利益を伸ばしています。

カード・決済事業を手がける金融業は、営業収益が前年同期比 7.9%増5,437百万円、セグメント営業利益が同 17.4%増1,644百万円 となりました。新規会員の獲得推進や「あとから分割」の利用拡大、さらにネオバンクサービス「スゴ積み」の順調な推移により、手数料収入や年会費収入が増加しています。

セグメント名営業収益(百万円)前年同期比セグメント利益(百万円)前年同期比
国内百貨店業71,159+3.2%7,461+44.2%
海外百貨店業9,488+13.6%2,552+17.0%
国内商業開発業10,614+4.1%2,158+4.8%
海外商業開発業4,377+16.3%1,672+23.3%
金融業5,437+7.9%1,644+17.4%
建装業8,860+31.8%595-3.0%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内百貨店業712億円60%75億円10.5%
海外百貨店業95億円8%26億円26.9%
国内商業開発業106億円9%22億円20.3%
海外商業開発業44億円4%17億円38.2%
金融業54億円5%16億円30.2%

財務状況と資本政策

当第1四半期末の総資産は、前連結会計年度末に比べて 14,491百万円 増加し、 1,360,721百万円 となりました。これは退職給付に係る資産が 7,441百万円 増加したことなどが主な要因です。一方、負債は短期借入金が 11,844百万円 増加した影響などにより、 877,664百万円 (前期末比 9,184百万円 増)となりました。純資産は 483,056百万円 となり、利益剰余金が 6,112百万円 増加したことで自己資本比率は前期末と同じ 33.4% を維持しています。

キャッシュ・フローの動向では、営業活動によるキャッシュ・フローが 33,498百万円 の収入となり、前年同期の 7,528百万円 の収入から劇的に拡大しました。売上債権の回収が進んだことに加え、税金等調整前利益が増加したことがキャッシュインの大幅増に貢献しています。一方で、今後の資本政策として、経営陣は2026年6月30日の取締役会において、上限 500億円国内無担保社債の発行に関する包括決議を行いました。これにより、手元資金の流動性を高めつつ、既存借入金の返済を通じた財務構成の最適化と金利上昇リスクへの備えを進めていく方針です。

リスクと課題

足元の業績はインバウンド需要と高額商品の牽引により極めて堅調ですが、髙島屋は今後の持続的な成長に向けていくつかの重要課題とリスクに直面しています。

  • 商品利益率の低下リスク:富裕層向けのラグジュアリーブランドは売上貢献度が高いものの、衣料品やその他オリジナル商品と比較して利益率が低く、全体の収益構造を圧迫する要因となります。今後は利益率の高い独自企画商品(自主編集売場やアイテム平場など)の再強化が必須です。
  • 物価高・人件費の負担上昇:物価上昇に伴う店舗運営費(光熱費等)の上昇や、人材確保のためのベースアップ継続は、中長期的に販売管理費を押し上げる懸念材料です。一層のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進による店舗の少人数・効率運営体制への移行が求められます。
  • インバウンド依存と為替変動リスク:インバウンド売上は好調ですが、日本の為替相場や世界経済の動向、特にアジア圏の政治・地政学的リスクによる激しい変動に影響されやすい特徴を持ちます。観光客の新規獲得に偏らず、国内の既存ロイヤルカスタマーである「外商顧客」とのエンゲージメント強化が重要となります。

通期見通し

2027年2月期の通期業績予想については、現時点で2026年4月14日公表の数値からの修正を行っておらず、据え置いています。インバウンドを中心とする第1四半期の急激な売上拡大を考慮すれば堅実な姿勢と言えますが、これは地政学的リスクの長期化や金融市場(金利や為替)の不透明さを慎重に見極めているためと考えられます。年間配当予想についても、前期の34円から増額となる 40円 (中間20円、期末20円)の計画を維持しており、株主還元への積極的な姿勢はブレていません。

項目当期公表予想前期実績対前期増減率
営業収益503,000百万円492,087百万円+2.2%
営業利益57,500百万円53,522百万円+7.4%
経常利益57,000百万円56,914 shadow+0.2%
当期純利益38,000百万円31,586百万円+20.3%

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AIアナリストAI·2026年7月4日

髙島屋の第1四半期決算は、円安によるインバウンド消費の恩恵をフルに享受し、百貨店ビジネスの強さを改めて証明した形となりました。営業利益率が前年同期の 11.2% から 13.3% へと上昇している点も、売上増加に伴うレバレッジ(固定費負担の軽減効果)が非常に強く効いていることを示しています。

注目すべきは、単なる「インバウンド特需」に依存しない、海外百貨店(特に中国・ベトナム・シンガポール)における構造改革と金融業の堅実な成長です。上海高島屋の黒字化や、マイルサービス「スゴ積み」をはじめとした金融事業の好調は、国内人口減少という構造的な課題に直面する同社において、極めて重要な利益の「多角化」として機能しています。

今後の焦点は、足元の堅調な需要をどうやって通期の業績目標達成につなげていくかです。第1四半期だけで通期営業利益予想(575億円)の約28%を稼ぎ出しており、進捗率は良好です。今後は為替相場の変動や国内消費者の節約志向への警戒を怠らず、外商組織の強化やDXをどれだけスピーディに推進できるかが評価を左右することになるでしょう。

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