株式会社村田製作所 の会社詳細
株式会社村田製作所
村田製作所
2026年3月期 第3四半期

村田製作所・2026年3月期Q3、売上高2.9%増の1兆3,702億円——AIサーバー需要で増収も、フィルタ事業の減損で利益は減少

村田製作所
増収減益
AIサーバー
減損損失
上方修正
増配
自社株買い
電子部品
コンデンサ
円安影響
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.4兆円

+2.9%

通期予想

1.8兆円

進捗率76%

営業利益

2,030億円

-13.3%

通期予想

2,700億円

進捗率75%

純利益

1,573億円

-21.8%

通期予想

2,200億円

進捗率72%

営業利益率

14.8%

売上高はAIサーバー向けコンデンサの需要拡大により、前年同期比 2.9%増1兆3,702億円 を達成しました。しかし、通信向けフィルタ事業で 約438億円の減損損失 を出したため、純利益は前年比 21.8%減 と苦戦しています。

業績のポイント

売上高は前年同期を上回る 1兆3,702億円 (前年比 2.9%増 )でした。
AIサーバーや自動車向けの電子部品が、全体の成長をけん引しました。

営業利益は 203,012百万円 (前年比 13.3%減 )と落ち込みました。
原因は、スマートフォン向け部品の価格下落と 巨額の減損損失 です。
生産コストの削減は進みましたが、事業の収益低下を補えませんでした。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

  • コンデンサ: 売上高 6,940億円 (前年比 10.1%増 )。AIサーバー向けの需要が好調で、大幅な増収となりました。
  • インダクタ・EMIフィルタ: 売上高 1,671億円 (前年比 9.6%増 )。自動車やサーバー向けに部品搭載数が増え、順調に伸びました。
  • 高周波・通信: 売上高 3,049億円 (前年比 12.0%減 )。スマートフォンやPC市場の低迷により、主要基板の販売が減りました。
  • エナジー・パワー: 売上高 1,138億円 (前年比 3.8%減 )。サーバー用は伸びましたが、ゲーム機用の電池が落ち込みました。
  • 機能デバイス: 売上高 792億円 (前年比 7.5%増 )。自動車向けのセンサが堅調に推移し、増収を確保しました。
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
コンポーネント(コンデンサ・インダクタ等)8,611億円63%2,340億円27.2%
デバイス・モジュール(高周波・電池等)4,980億円36%-26,113百万円

財務状況と資本政策

総資産は 3兆915億円 となり、前期末から 633億円 増えました。
設備投資を継続しており、有形固定資産が大きく増加しています。

株主還元では、年間配当を前期の57円から 60円へと増配 する方針です。
また、当期中に 1,000億円自社株買い を実施し、資本効率を高めています。
自己資本比率は 84.6% と、極めて高い財務の健全性を維持しています。

通期見通し

通期の売上高予想を 1兆8,000億円 (前回比 600億円上方修正 )に引き上げました。
AI市場の拡大と、想定以上の円安進行(1ドル150円へ変更)が主な理由です。

一方で、営業利益は 270,000百万円 (前回比 100億円下方修正 )に下げました。
通信向けフィルタ事業での のれんの減損損失 を織り込んだためです。
税引前利益は、為替差益の発生を見込み、前回予想を上回る見通しです。

リスクと課題

  • 製品価格の下落: スマートフォン向けなどの汎用品で、厳しい価格競争が続いています。
  • 事業構造の改革: 収益性が悪化したフィルタ事業の立て直しが、今後の大きな課題です。
  • 地政学リスク: 主要国による通産政策の変化が、電子部品の供給網に影響する恐れがあります。
AIアナリストの視点

今回の決算は、AIサーバーという「新たな成長エンジン」と、スマートフォン向けフィルタという「過去の負債」が対照的に現れた内容です。

売上高の上方修正からは、AI関連需要の力強さが感じられます。特にコンデンサの伸長は他社を圧倒する強みです。

注目すべきは、第3四半期に 約438億円の減損 を一括計上した経営判断です。不振事業の負の遺産を早期に処理し、次期以降の利益体質を改善させる狙いが見えます。

短期的な利益減少は避けられませんが、増配と自社株買いを継続しており、株主視点を重視する姿勢は評価できるでしょう。今後は、価格競争が激しいモバイル向けへの依存を減らし、いかに車載やデータセンター向けで利益率を高められるかが焦点となります。