日曹、2027年3月期第1四半期決算、営業利益18%増で増収増益を達成

日曹の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比4.9%増、営業利益が18.3%増、純利益が2.0%増となり、増収増益でした。アグリビジネスやトレーディング&ロジスティクスの販売増が業績を押し上げ、為替差益も経常増益に寄与しました。一方、通期予想は据え置きで、会社は中間決算時に見直す予定です。営業増益を確保し、通期予想は据え置きとなりました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 342億円 | +4.9% | 1,522億円 | 23% |
| 営業利益 | 37億円 | +18.3% | 142億円 | 26% |
| 純利益 | 33億円 | +2.0% | 158億円 | 21% |
| 営業利益率 | 10.9% | |||
この決算のポイント
- 1アグリビジネスは輸出向け殺虫剤・殺菌剤が伸び、売上高が前年同期比21.8%増の85億円。
- 2トレーディング&ロジスティクスは有機薬品や土木資材が増え、売上高は前年同期比9.5%増。
- 3経常利益は為替差益の計上などで前年同期比23.2%増の55億円、純利益の伸びは2.0%。
- 4通期予想は売上高1,522億円、営業利益142億円で変更なし。中間決算時に見直す予定。
- 5年間配当予想は前期と同額の160円。自己資本比率は前期末から0.6ポイント低下し66.0%。
業績のポイント
日曹(日本曹達)は2027年3月期第1四半期に、売上高342億48百万円(前年同期比4.9%増)、営業利益37億34百万円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益32億78百万円(同2.0%増)を計上しました。売上・営業利益・純利益がそろって前年を上回る一方、純利益の伸びは営業利益に比べて小幅でした。
- 販売の動き: ケミカルマテリアルの販売は減少しましたが、アグリビジネスとトレーディング&ロジスティクスが伸び、全体の増収につながりました。
- 営業採算: 売上総利益は前年同期から9億52百万円増えた一方、販売費及び一般管理費も3億74百万円増加し、営業利益は5億78百万円増えました。
- 経常利益: 為替差益1億95百万円を計上し、前年同期にあった為替差損1億91百万円がなくなったことなどから、経常利益は55億81百万円と23.2%増加しました。
- 純利益の伸び: 工場閉鎖損失や固定資産廃棄損などの特別損失が計上され、純利益の増加は営業利益ほど大きくなりませんでした。
営業利益率は10.9%と、前年同期の約9.7%から上昇しました。増益の土台には販売構成や粗利益の改善がある一方、利益の上積みには為替など営業外要因も含まれます。会社は中期経営計画を進めていますが、海外景気や地政学リスクで先行きは不透明としており、販売増が継続するかが次の焦点です。
セグメント別動向
増収をけん引したのはアグリビジネスとトレーディング&ロジスティクスです。ケミカルマテリアルとエンジニアリングは減収となり、事業ごとの明暗が分かれました。
ケミカルマテリアルは売上高94億18百万円。医薬品添加剤「NISSO HPC」や樹脂添加剤「NISSO-PB」は増加しましたが、医薬品原体の減少と一部製品の終売が響きました。
アグリビジネスは売上高85億82百万円。殺ダニ剤「ニッソラン」の輸出は減少したものの、殺虫剤「モスピラン」や殺菌剤「パンチョ」の輸出向け販売が伸びました。
トレーディング&ロジスティクスは売上高121億96百万円で、5セグメント中の最大規模です。有機薬品や土木資材の販売増が寄与し、営業利益も前年同期を上回りました。
- エンジニアリング: 売上高は17億92百万円。プラント建設工事の減少で前年同期比26.0%減となりました。
- エコソリューション: 売上高は22億58百万円。非鉄金属の増加を受け、前年同期比9.1%増でした。
売上高の前年比を比べると、アグリビジネスの伸びが最も大きい一方、プラント工事の減少が目立ちます。農薬は製品ごとに輸出需要が異なるため、主力商品の販売動向が今後のセグメント業績を左右します。
- ケミカル-5.5%
- アグリ+21.8%
- トレーディング+9.5%
- エンジニアリング-26.0%
- エコソリューション+9.1%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ケミカルマテリアル | 94億円 | 28% | 22億円 | 23.6% |
| アグリビジネス | 86億円 | 25% | 4億円 | 4.7% |
| トレーディング&ロジスティクス | 122億円 | 36% | 8億円 | 6.6% |
| エンジニアリング | 18億円 | 5% | 7億円 | 39.1% |
| エコソリューション | 23億円 | 7% | 1億円 | 4.9% |
通期見通し
日曹は2027年3月期の通期連結業績予想を据え置きました。第1四半期は営業増益でしたが、通期では営業利益、経常利益、純利益が前期を下回る計画で、会社は中間決算の発表時に通期予想を見直す予定です。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 152,200 | 152,200 | +0.1% |
| 営業利益(百万円) | 14,200 | 14,200 | -5.1% |
| 経常利益(百万円) | 19,000 | 19,000 | -17.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 15,800 | 15,800 | -13.5% |
今回の決算短信では、前回公表した予想からの変更はありません。第1四半期の進捗だけで通期計画の達成度を判断するのではなく、季節性のある農薬販売やプラント工事の受注状況を含め、中間期の実績と会社の見直し内容を確認する必要があります。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は3,202億33百万円で、前期末から129億28百万円増加しました。自己資本比率は前期末の66.6%から66.0%へ低下しましたが、引き続き高い水準を保っています。
| 項目 | 2027年3月期第1四半期末・予想 | 前期末・実績 | 前期末比など |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 320,233 | 307,305 | +12,928 |
| 自己資本比率 | 66.0% | 66.6% | -0.6ポイント |
| 営業キャッシュフロー | 未開示 | — | 四半期CF計算書は未作成 |
| 中間配当(円) | 80 | 70 | +10 |
| 期末配当(円) | 80(予想) | 90 | -10 |
| 年間配当(円) | 160(予想) | 160 | 同額 |
資産増加には、持分法による投資利益の計上などを背景とした投資有価証券の増加や、棚卸資産の積み上がりが影響しました。短期借入金も増えていますが、配当予想は年間160円を維持し、前期と同水準です。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、現金の増減や投資資金の流れは中間期以降の開示で確認する必要があります。
リスクと課題
会社は海外景気の下振れ懸念や地政学リスクの高まりを挙げ、先行き不透明な状況が続くとしています。各事業の需要変動に加え、為替やコストの変化が利益に与える影響にも注意が必要です。
- 海外景気・地政学リスク: 海外需要や物流環境が悪化した場合、輸出向け農薬や化学品の販売が計画を下回る可能性があります。
- 農薬の製品別需要: 「ニッソラン」の輸出が減少した一方、「モスピラン」や「パンチョ」は伸長しました。製品ごとの需要差が続けば、アグリビジネスの売上や利益が変動します。
- 製品終売と事業構成: ケミカルマテリアルでは一部製品の終売が減収要因となりました。添加剤などの販売拡大で補えるかが課題です。
- 工事案件の変動: エンジニアリングはプラント建設工事の減少で減収でした。案件の時期や規模が偏ると、四半期ごとの業績が振れやすくなります。
- 為替・投資損益: 為替差益が経常増益を支えましたが、為替の反転や持分法投資利益の変化は営業外損益を通じて業績に影響します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
3,855円
最新終値(2026/10/23)
3,585円-7.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#日曹#決算#決算分析#四半期決算#化学メーカー#農薬#営業利益増#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
日曹は、農薬の輸出拡大や商社機能を持つ事業の販売増が、化学品の一部減収を補う形となりました。営業利益率も改善しており、単なる売上増にとどまらず、営業段階で利益を伸ばした点は評価できます。
一方、純利益の伸びは小さく、通期予想も減益計画のままです。為替差益など営業外要因が経常利益を押し上げているため、今後は中間決算での農薬販売の持続性と、通期予想の見直しが重要な判断材料になります。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/nippon-soda/report/2027-Q1
関連記事
農薬・農業化学の最新記事
- 決算解説石原産2026年3月期 通期決算短信の訂正石原産、2026年3月期通期決算の訂正、27年3月期中間EPSを2.61円に修正

- 決算解説日産化学2027年3月期 第1四半期日産化学、2027年3月期第1四半期決算、売上高12.8%増で計画上回る大幅増益

- 決算解説住友化学2027年3月期 第1四半期住友化学、2027年3月期第1四半期決算、コア営業利益125%増で親会社株主帰属利益が黒字転換
- 決算解説日本化薬2027年3月期 第1四半期日本化薬、2027年3月期第1四半期決算、全事業増収で営業利益54%増

- 子会社異動届出日産化学10月9日日産化学、インド農薬子会社と国内硫酸製造子会社の特定子会社化開示及び過去の開示遅れを公表

- 外部レポートへの見解住友化学8月12日住友ファーマ、空売り投資会社の批判レポートを全面否定
掲載企業

日本曹達株式会社
東証 4041
これが最新の決算解説です





