住友化学、2027年3月期第1四半期決算、コア営業利益125%増で親会社株主帰属利益が黒字転換
住友化学の2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が 5,782億円(前年同期比 9.9% 増)、コア営業利益が 623億円(同 125.2% 増)と 大幅増益 を達成した。エッセンシャル&グリーンマテリアルズの交易条件改善や住友ファーマの主力品拡販が寄与し、前年同期の親会社株主帰属損失から一転して 408億円 の黒字に転換した。為替円安や原材料高の影響を一部で受けつつも、全社で収益構造の回復が鮮明になっている。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,782億円 | +9.9% | 2.4兆円 | 24% |
| 営業利益 | 610億円 | +139.8% | 1,770億円 | 34% |
| 純利益 | 408億円 | — | 700億円 | 58% |
| 営業利益率 | 10.6% | |||
業績のポイント
住友化学(住友化学株式会社)の2027年3月期第1四半期連結業績は、売上収益が前年同期比 9.9% 増の 5,782億円、コア営業利益が同 125.2% 増の 623億円、営業利益が同 139.8% 増の 610億円 と、各段階利益で大幅な伸びを示した。親会社の所有者に帰属する四半期利益は 408億円(前年同期は 45億円 の損失)となり、黒字転換を果たした。持分法による投資損益が前年同期の △98億円 から 122億円 へ改善したことや、エッセンシャル&グリーンマテリアルズがコア営業利益で 327億円もの改善を見せたことが全体を牽引した。平均為替レートは 159.57円 と前年同期の144.59円から大きく円安に振れ、輸出採算の改善にも寄与したが、ナフサ価格が 118,500円/KL と前年の66,300円から急騰しており、原料高がコスト面の逆風となった。ROEは 3.9% と前期通期の6.4%には及ばないものの、黒字基調への回帰を印象づける結果である。
セグメント別動向
住友化学の5つの報告セグメントはまちまちの動きながら、全社の利益回復を支えた。
アグロ&ライフソリューション は売上収益が 1,090億円(前年同期比 12.5% 増)、コア営業利益が 96億円(同 334% 増)と好調。国内農薬の堅調な販売に加え、円安による輸出手取り増が奏功し、飼料添加物メチオニンの交易条件改善も利益を押し上げた。
ICT&モビリティソリューション は売上収益が 1,486億円(前年同期比 8.2% 増)と伸長したが、コア営業利益は 130億円(同 29.3% 減)と減益。大型液晶ディスプレイ用偏光フィルム事業の構造改革に伴う譲渡益の剥落が響いた。半導体プロセス材料は高純度ケミカルやフォトレジストの需要拡大で増収となったが、固定費の増加が利益を圧迫した。
アドバンストメディカルソリューション は売上収益 104億円(同 14.9% 増)ながら、製品構成差によりコア営業損失 19億円(前年同期は 10億円 の損失)と赤字幅が拡大。高度化低分子医薬CDMOの受託時期ずれが影響した。
エッセンシャル&グリーンマテリアルズ は、収益改善の最大の原動力となった。売上収益は 1,702億円(前年同期比 2.9% 増)にとどまったが、コア営業利益は 272億円 と、前年同期の 55億円 の損失から 327億円 の改善を達成した。持分法適用会社ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニーの交易条件改善や、合成樹脂等の市況回復に伴う在庫評価差益が寄与した。
住友ファーマ は売上収益が 1,290億円(同 20.2% 増)と拡大したが、コア営業利益は 188億円(同 10.5% 減)と減益。米国で前立腺がん治療剤「オルゴビクス」や過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」が伸びたものの、がん領域の臨床試験加速や精神神経領域への研究開発費増が利益を押し下げた。
| セグメント | 売上収益(億円) | コア営業利益(億円) | 前年同期比増減率(売上) | 前年同期比増減率(利益) |
|---|---|---|---|---|
| アグロ&ライフ | 1,090 | 96 | +12.5% | +334% |
| ICT&モビリティ | 1,486 | 130 | +8.2% | -29.3% |
| アドバンストメディカル | 104 | -19 | +14.9% | 赤字拡大 |
| エッセンシャル&グリーン | 1,702 | 272 | +2.9% | 黒字転換 |
| 住友ファーマ | 1,290 | 188 | +20.2% | -10.5% |
| その他 | 110 | 31 | +10.3% | +247% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| アグロ&ライフソリューション | 1,090億円 | 19% | 96億円 | 8.8% |
| ICT&モビリティソリューション | 1,486億円 | 26% | 130億円 | 8.8% |
| アドバンストメディカルソリューション | 104億円 | 2% | -1,938百万円 | -18.6% |
| エッセンシャル&グリーンマテリアルズ | 1,702億円 | 29% | 272億円 | 16.0% |
| 住友ファーマ | 1,290億円 | 22% | 188億円 | 14.6% |
| その他 | 110億円 | 2% | 31億円 | 27.8% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の資産合計は前連結会計年度末比 2,085億円 増の 3兆6,135億円。原材料価格高騰などで営業債権や棚卸資産が膨らんだことで流動資産が増加した。負債合計は同 327億円 増の 2兆2,011億円 だが、有利子負債は 193億円 減少し 1兆1,322億円 となり、財務体質の改善が進んでいる。
資本合計は、子会社の住友ファーマが実施した公募増資により非支配持分や資本剰余金が増加し、同 1,758億円 増の 1兆4,124億円 に拡大。親会社所有者帰属持分比率は 30.5% へ 0.9ポイント 上昇し、D/Eレシオも 0.80倍 へ改善した。キャッシュ・フローは営業CFが 50億円、投資CFが △492億円、財務CFが 556億円 と、設備投資を上回る資金調達を実施。住友ファーマの増資収入 969億円 が財務CFを押し上げ、現金及び現金同等物の期末残高は 2,232億円 となった。
配当は年間 16円 を予定(中間 8円、期末 8円)で、前期の 13.5円 から 2.5円 の 増配 となる。自社株買いに関する言及はない。
リスクと課題
決算短信では、業績変動リスクとして以下が列挙されている。
- 国内外の経済情勢の不透明さ
- 製品市場における需要動向の急変
- 競争激化による販売価格下落
- 原料価格のさらなる上昇(ナフサ価格は前年比79%高)
- 為替相場の変動(円高方向への振れは輸出採算悪化要因)
加えて、住友ファーマにおける研究開発費の増加やアドバンストメディカルの受託遅延など、事業固有の不確実性も存在する。エッセンシャル&グリーンマテリアルズの改善は市況と在庫評価に依存しており、持続性の見極めが必要だ。通期予想達成には、下半期も同水準の交易条件が維持できるかどうかが鍵となる。
通期見通し
2027年3月期第2四半期累計の連結業績予想が初めて公表され、売上収益 1兆1,700億円(前年同期比 6.8% 増)、コア営業利益 1,250億円(同 15.0% 増)、営業利益 1,220億円(同 17.7% 増)、親会社株主帰属中間利益 700億円(同 76.3% 増)を見込む。セグメント別では、エッセンシャル&グリーンマテリアルズのコア営業利益が 420億円(前年同期は186億円の損失)と大幅改善が続く前提だ。
通期予想は、2026年5月公表の売上収益 2兆3,600億円、コア営業利益 2,150億円、営業利益 1,770億円、純利益 700億円 を据え置いているが、現在精査中であり、第2四半期決算発表時に再説明するとしている。前提為替レートは 157.00円、ナフサは 104,000円/KL と、第1四半期実績よりも円高・原料安の想定であり、保守的な前提と言える。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績(通期) |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,360,000 | 未変更(精査中) | 2,328,463 |
| コア営業利益 | 215,000 | 未変更 | 208,441 |
| 営業利益 | 177,000 | 未変更 | 151,667 |
| 純利益(親会社株主) | 70,000 | 未変更 | 60,857 |
(単位:百万円)
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/4)
482.2円
最新終値(2026/10/23)
570円+18.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#住友化学#決算#四半期決算#決算分析#増収増益#コア営業利益倍増#黒字転換#エッセンシャル&グリーン#住友ファーマ#増配
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コメント
今期の第一四半期は、エッセンシャル&グリーンマテリアルズの急改善が際立つ。前年同期の55億円の損失から272億円の黒字へ振れた背景には、ラービグの持分法損益改善と合成樹脂の在庫評価差益があるが、これらは市況依存度が高く、持続性を見極める必要がある。住友ファーマはトップライン成長が続く一方、研究開発費の増加が利益を圧迫しており、パイプラインの進捗が将来の業績を左右する。全社では前年に損失を出したエッセンシャル&グリーンの黒字化により、全セグメントが黒字となった。通期予想は保守的な前提だが、第2四半期以降も構造改革効果と円安効果がどの程度続くかが焦点だ。
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