レゾナック、2026年12月期第2四半期決算、コア営業利益156%増で上方修正

レゾナックが2026年12月期第2四半期決算を発表し、売上収益が前年同期比 5.4%増 の 6,768億円、コア営業利益が同 156.5%増 の 887億円 と大幅増益を達成した。半導体・電子材料セグメントがAI向け先端半導体需要を背景に好調で、業績を牽引。通期予想も上方修正され、コア営業利益は期初計画から40%増の1,960億円に引き上げられた。
決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,769億円 | +5.4% | 1.2兆円 | 58% |
| 営業利益 | 733億円 | +124.8% | 1,600億円 | 46% |
| 純利益 | 485億円 | +146.5% | 1,125億円 | 43% |
| 営業利益率 | 10.8% | |||
業績のポイント
レゾナック(レゾナック・ホールディングス)は2026年12月期第2四半期(中間期)決算で、全セグメントがコア営業利益で増益または赤字縮小を達成し、過去最高クラスのコア営業利益を記録した。売上収益は 6,768億52百万円(前年同期比 5.4%増)、コア営業利益は 887億53百万円(同 156.5%増)、営業利益は 733億10百万円(同 124.8%増)、親会社株主に帰属する中間利益は 484億51百万円(同 146.5%増)と、各段階で大幅な増益となった。
主力の半導体・電子材料セグメントがAI関連需要の拡大により 29.6%増収、コア営業利益 91.8%増 と業績を強く押し上げた。モビリティセグメントは減収ながら構造改革効果で増益、イノベーション材料は堅調な需要で増収増益、ケミカルセグメントは黒鉛電極の回復と価格改定で赤字幅が縮小した。石油化学子会社クラサスケミカルは定修影響で減収だが在庫評価益で増益となった。
これらの好調を受け、通期業績予想を上方修正。売上収益は期初予想の1.3兆円から 1兆1,650億円 に引き下げたものの、コア営業利益は 1,960億円 と期初比 40.0%増 の大幅増額となった。半導体材料を中心としたポートフォリオ変革が収益構造の改善に寄与している。
セグメント別動向
半導体・電子材料セグメントは、売上収益が前年同期比 29.6%増 の 2,989億62百万円、コア営業利益は 91.8%増 の 814億85百万円 と、全社の成長を牽引した。半導体前工程材料ではメモリ市況の回復に加え、CMPスラリーなどの高機能材料が伸長。後工程材料ではAIサーバー向けエポキシ封止材や高熱伝導材料(TIM)の販売数量が急増した。デバイスソリューション分野では、HDメディアのデータセンター向け需要が堅調で、SiCエピタキシャルウェハーも一部顧客の需要増により増収となった。
モビリティセグメントは、売上収益 5.6%減 の 846億21百万円 と縮小したが、コア営業利益は 227.4%増 の 42億82百万円 と大幅増益。自動車成形部材事業の譲渡により減収となったものの、粉末冶金製品や摩擦材で需要増とコストダウンが進み、利益率が急改善した。事業ポートフォリオの選択と集中が奏功している。
イノベーション材料セグメントは、樹脂材料や機能性化学品が堅調で、売上収益 11.3%増 の 499億99百万円、コア営業利益 27.5%増 の 63億4百万円 と安定成長。コーティング材料やセラミックスも好調だった。
ケミカルセグメントは、売上収益 17.0%増 の 917億89百万円 ながら、コア営業損益は 6億12百万円の赤字(前年同期は81億51百万円の赤字)で、赤字幅が大幅に縮小した。化学品ではアクリロニトリルや苛性ソーダの価格改定が進み、グラファイト事業は黒鉛電極の数量回復と構造改革効果で収益が改善した。電極市況の本格回復には至っていないが、下げ止まりの兆しが見える。
クラサスケミカルセグメントは、4年に1度の大型定修により売上収益は 13.2%減 の 1,300億57百万円。一方、ナフサ価格上昇による在庫評価差益が利益を押し上げ、コア営業利益は 38億38百万円 の黒字(前年同期は8億6百万円の赤字)に転換した。なお、同セグメントは2026年10月のスピンオフに伴い非継続事業に分類される予定である。
| セグメント | 売上収益 (億円) | 前年同期比 | コア営業利益 (億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 半導体・電子材料 | 2,989 | +29.6% | 815 | +91.8% |
| モビリティ | 846 | -5.6% | 43 | +227.4% |
| イノベーション材料 | 500 | +11.3% | 63 | +27.5% |
| ケミカル | 918 | +17.0% | -6 | 赤字縮小 |
| クラサスケミカル | 1,301 | -13.2% | 38 | 黒字転換 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 半導体・電子材料 | 2,990億円 | 44% | 815億円 | 27.3% |
| モビリティ | 846億円 | 13% | 43億円 | 5.1% |
| イノベーション材料 | 500億円 | 7% | 63億円 | 12.6% |
| ケミカル | 918億円 | 14% | -612百万円 | -0.7% |
| クラサスケミカル | 1,301億円 | 19% | 38億円 | 3.0% |
通期見通し
レゾナックは2026年8月6日、通期連結業績予想の修正を発表。スピンオフに伴いクラサスケミカルが非継続事業となるため、売上収益は継続事業ベースで 1兆1,650億円(前期比 11.3%増)に下方修正されたが、コア営業利益は 1,960億円(前期比 87.7%増)へと40.0% の大幅上方修正。営業利益は 1,600億円(同 278.5%増)、親会社株主帰属当期利益は 1,125億円(同 287.5%増)と、全利益項目で急拡大を見込む。
修正の主因は半導体・電子材料セグメントの一段の需要拡大と、全社にわたる構造改革効果の顕在化。コア営業利益率は 16.8% と、前期の 10.3% から大幅改善する見通し。配当は前期と同額の 65円 を予定。スピンオフに伴うクラサスケミカル株式の現物配当は、これに追加される形となる。
| 項目 | 期初予想 (2/13) | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 (億円) | 13,100 | 11,650 | 10,468 |
| コア営業利益 (億円) | 1,400 | 1,960 | 1,044 |
| 営業利益 (億円) | 1,050 | 1,600 | 423 |
| 親会社株主帰属当期利益 (億円) | 770 | 1,125 | 290 |
戦略トピック:クラサスケミカルのスピンオフ
レゾナックは2026年7月6日、完全子会社クラサスケミカル(石油化学事業)のパーシャル・スピンオフを同年8月下旬の取締役会に付議する方針を決定。保有株式の80%超を現物配当としてレゾナック株主に分配し、2026年10月1日にスピンオフ実行の予定。スピンオフ後、レゾナックの持ち分比率は20%未満となり、クラサスケミカルは連結対象外、持分法適用外となる。
今回の決算では、クラサスケミカルセグメントを非継続事業に分類し、継続事業の業績を示すことで、スピンオフ後の事業構造を踏まえた投資判断を可能にした。石油化学事業は市況変動が大きく、分離によってレゾナックの収益は半導体・電子材料を中心とした高付加価値分野へ集中し、ポートフォリオ変革が大きく前進する。スピンオフによる連結除外損益は精査中で、今後の開示が注目される。
財務状況と資本政策
当中間期末の総資産は前年度末比 1,092億円増 の 2兆2,159億円。現預金の増加(+6,509億円の3,270億円)や棚卸資産の積み上がりが主因。有利子負債は 1,295億円減少 の 9,567億円 と財務体質が改善した。資本合計は利益剰余金の積み上がりや転換社債の株式転換で 8,050億円 に拡大し、親会社所有者帰属持分比率は 35.6% に上昇。
キャッシュ・フローでは、営業CFが前年同期比497億円増の 844億円 と大幅に改善。投資CFは有形固定資産の取得が続くも、フリーCFは 274億円 のプラスに転じた。配当は年間 65円 を維持しつつ、スピンオフに伴う現物配当も予定されており、株主還元姿勢は積極的と評価できる。
| 財務指標 | 2025年12月末 | 2026年6月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産 (億円) | 21,067 | 22,160 | +1,093 |
| 有利子負債 (億円) | 9,695 | 9,567 | -128 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 33.2% | 35.6% | +2.4pt |
| 営業CF (億円) | 346 | 844 | +498 |
| フリーCF (億円) | -133 | 274 | +407 |
リスクと課題
- 半導体市況の変動: AI需要は強いが、メモリ市況の急変や在庫調整が収益を押し下げるリスクが残る。
- 原油・ナフサ価格: ケミカルセグメントの原料コストに直結し、価格転嫁が遅れると利益を圧迫。
- 為替変動: 円高が進行すれば輸出競争力や海外子会社の円換算利益にマイナス影響。
- スピンオフ実行リスク: クラサスケミカルの分離に伴う連結除外損益や、残存株式の価値変動。
- 地政学リスク: 中東情勢や米中貿易摩擦がサプライチェーンや需要動向に与える不透明感。
- 構造改革の進捗: モビリティ・ケミカルの事業再編が計画通り収益化するかがカギ。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
15,155円
最新終値(2026/10/23)
12,820円-15.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#レゾナック#決算#決算分析#四半期決算#半導体材料#上方修正#増収増益#スピンオフ#構造改革#AI半導体
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コメント
レゾナックの今期決算は、半導体・電子材料セグメントへの集中が鮮明に表れた。コア営業利益の急拡大(前年比+156%)は、AIデータセンター向け先端半導体材料の需要が想定以上に伸びたことと、構造改革の成果が重なった結果だ。
特筆すべきは、半導体・電子材料のコア営業利益率が27.3%と極めて高く、事業ポートフォリオの変革が収益性を大きく引き上げている点だ。一方、ケミカルセグメントは赤字が残り、グラファイト事業の黒転には黒鉛電極市況の本格回復が必要だろう。
クラサスケミカルのスピンオフは、レゾナックが高付加価値の機能性材料企業へと脱皮する明確なメッセージ。残る課題は、モビリティやケミカルの収益力強化と、スピンオフ後の成長戦略の具体化。半導体材料の好調が一段落した後の次の柱をどう育てるかが、中長期的な投資家の焦点となる。
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掲載企業

株式会社レゾナック・ホールディングス
東証 4004
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