日産化学、2027年3月期第1四半期決算、売上高12.8%増で計画上回る大幅増益

日産化学が発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比12.8%増の787億92百万円、営業利益が21.1%増の219億07百万円と、全利益項目で会社計画を上回る好業績を達成した。半導体材料を軸とした機能性材料がけん引し、農業化学品は横ばいながら、化学品・ヘルスケアも増収増益。通期予想据え置きながら、第1四半期の進捗率の高さから上振れ期待が高まる。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 788億円 | +12.8% | 2,897億円 | 27% |
| 営業利益 | 219億円 | +21.1% | 668億円 | 33% |
| 純利益 | 168億円 | +21.2% | 515億円 | 33% |
| 営業利益率 | 27.8% | |||
業績のポイント
日産化学が発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.8%増の787億92百万円、営業利益が21.1%増の219億07百万円、経常利益が30.3%増の236億44百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が21.2%増の168億44百万円となった。すべての利益段階で二桁増収増益を達成し、5月15日に公表された会社計画(売上高691億円、営業利益168億円)に対しても、売上高で+96億92百万円、営業利益で+51億07百万円と大幅に上回った。
好業績の中核は、半導体需要の拡大を背景にした機能性材料セグメントで、同セグメント営業利益は前年同期比30.3%増の106億88百万円と全体の約半分を稼ぎ出した。農業化学品セグメントは国内農薬の好調により前年並みを確保。化学品・ヘルスケアも増収増益と全セグメントが堅調に推移した。卸売事業も大幅な増収増益となり、第1四半期として過去最高の利益水準を更新した。
セグメント別動向
各セグメントの外部顧客向け売上高と営業利益の前年同期比較は以下の通り。
| セグメント | 売上高 (百万円) | 前年同期比 | 営業利益 (百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 機能性材料 | 20,654 | +9.6% | 10,688 | +30.3% |
| 農業化学品 | 23,629 | +1.0% | 8,841 | +2.2% |
| 化学品 | 7,049 | +16.1% | 871 | +22.7% |
| ヘルスケア | 1,858 | +19.0% | 742 | +50.2% |
| 卸売 | 28,742 | +28.2% | 1,399 | +28.7% |
| その他 | 3,752 | -2.3% | 542 | +11.3% |
機能性材料は、半導体用反射防止コーティング材(ARC®)や多層材料(OptiStack®)が顧客の稼働好調により大幅増収。無機コロイド「スノーテックス」も電子材料用途で伸長した。ディスプレイ材料「サンエバー」は減収だったが、全体を押し上げ、セグメント営業利益は100億円の大台を突破した。
農業化学品は、国内向け農薬が「ラウンドアップ」や「グレーシア」の好調で増収となった一方、動物用医薬品原薬のフルララネルや海外向け殺菌剤「ライメイ」の減収が相殺し、ほぼ前年並み。営業利益は88億41百万円と微増にとどまった。
化学品は、基礎化学品で高純度硫酸や尿素・アドブルー®が増収。ファインケミカルでは「テピック」や環境化学品が伸び、増収増益。
ヘルスケアは、高コレステロール血症治療薬「リバロ」原薬が国内外で増収し、受託事業「ファインテック」も堅調で、営業利益は前年比50%増と急拡大した。
卸売は、取扱商材の拡大により売上高287億42百万円(+28.2%)、営業利益13億99百万円(+28.7%)と大きく伸びた。その他セグメントは、外部売上高こそ微減だが、内部取引の増加によりセグメント全体売上高は89億42百万円(前年同期比10億38百万円増)と増収、営業利益も増益。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 機能性材料 | 207億円 | 26% | 107億円 | 51.7% |
| 農業化学品 | 236億円 | 30% | 88億円 | 37.4% |
| 化学品 | 70億円 | 9% | 9億円 | 12.4% |
| ヘルスケア | 19億円 | 2% | 7億円 | 39.9% |
| 卸売 | 287億円 | 37% | 14億円 | 4.9% |
| その他 | 38億円 | 5% | 5億円 | 14.4% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は前年度末比48億70百万円増の3,599億48百万円。売上債権や投資有価証券の増加が主因だ。負債は社債発行(100億円)により87億53百万円増の1,047億80百万円、純資産は自己株取得や配当支払いにより38億83百万円減の2,551億68百万円となり、自己資本比率は69.8%(前年度末比-2.1pt)へ低下した。
キャッシュ・フローでは、営業CFが212億20百万円の収入(前年同期163億35百万円)と大幅増。投資CFは設備投資等で61億45百万円の支出。財務CFは配当金支払い(177億19百万円)と自己株取得(47億07百万円)により167億25百万円の支出となった。
株主還元では、2027年3月期の年間配当予想を前期比10円増配の212円(中間70円、期末142円)と発表。中期経営計画「Vista2027」StageⅡで掲げる配当性向55%以上、総還元性向75%以上の目標に沿った積極還元だ。また、同四半期中に625,000株の自己株式を取得(取得総額47億07百万円)し、資本効率の向上を図った。
リスクと課題
会社が認識する主なリスクは以下の通り。
- 地政学リスク: 中東情勢の不確実性やサプライチェーン混乱が依然として事業の下振れ要因
- 為替変動: 海外売上高比率の高まりに伴い、急激な円高が業績を押し下げる可能性
- 市況変動: 半導体材料需要はAIサイクルに依存しており、景気減速で急減するリスク
- 競争激化: 機能性材料分野での技術競争が激しく、継続的な研究開発投資が必要
- 気候変動: 農業化学品事業は天候不順や規制動向に業績が左右されやすい
通期見通し
通期連結業績予想は、2026年5月15日公表値から変更なし。売上高2,897億円(前期比3.6%増)、営業利益668億円(同5.1%増)、経常利益688億円(同4.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益515億円(同3.6%増)を見込む。
第1四半期の通期予想に対する進捗率は、売上高27.2%、営業利益32.8%と高く、上振れ余地は大きい。特に機能性材料の需要が想定を上回っており、会社計画は保守的との見方が強い。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
7,495円
最新終値(2026/10/23)
8,122円+8.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#日産化学#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#半導体材料#上方修正期待#配当増額#自社株買い#機能性材料
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コメント
第1四半期としては非常に好調な滑り出し。特に半導体材料の利益寄与が大きく、通期予想の上振れを織り込む動きが加速しそう。
【注目ポイント】
- 機能性材料の営業利益率は約51.7%と高収益。半導体の微細化需要が続く限り、高い利益成長が期待できる。
- 農業化学品は為替や市況に左右されやすいが、国内向け農薬の安定感は評価できる。
- 自己株買いと増配で株主還元姿勢が鮮明。2025年度からの還元目標を前倒しで達成する可能性もある。
- 懸念点は、半導体市況の変調と急激な円高リスク。業績の下方修正要因となりうるため、為替動向を注視したい。
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