特殊・機能化学6社・2026年3月期比較、半導体材料が勝者を押し上げ基礎化学は苦戦
6社の決算は、半導体材料の追い風をつかんだ企業と、基礎化学や低迷事業を抱える企業で明暗が分かれた。日産化学は売上高が11.2%増、営業利益が11.8%増となり、営業利益率も22.7%を確保。一方、信越化学は営業利益額で首位ながら14.4%減、クラレは減損で純利益が76.5%減った。成長分野が利益格差を広げた期だ。
今期の総括
高付加価値品が利益格差を生む
業界全体の動き
今回の比較では、売上高の平均伸び率は0.5%。純利益の平均は21.1%減でした。純利益の平均は、前年比が不明なデンカを除く5社の値です。クラレのみ2025年12月期で、他社と決算期が異なります。
- 半導体材料が成長をけん引
AIサーバーや半導体の需要を受け、日産化学やトクヤマが増収増益。信越化学も電子材料が増益を確保しました。
- 基礎化学は市況の弱さが重荷
信越化学の塩ビや、東ソーの石油化学・クロル・アルカリは需要や製品市況の低迷が響きました。中国の需要低迷も価格競争を強めています。
- 構造改革が利益を押し上げる例も
デンカは米国工場の製造停止で営業利益が82.0%増。対照的に、クラレや東ソーは減損損失が純利益を押し下げました。
- 原燃料価格の変化が売上と利益に別々に作用
価格下落で減収となる企業がある一方、コスト改善や高付加価値品への移行が利益を支えました。
売上高ランキング
営業利益ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
成長力で最も目立ったのは日産化学です。売上高は2,796億円、前年比11.2%増。営業利益は636億円、11.8%増、純利益は15.5%増でした。営業利益率は22.7%で、信越化学に次ぐ高さです。半導体材料に加え、農業化学品も好調でした。
最も苦戦したのはクラレです。売上高は8,084億円、2.2%減。営業利益は589億円、30.8%減で、純利益は76.5%減の75億円に落ち込みました。欧米需要の弱さに加え、イソプレン関連事業などで約296億円の減損損失が出ました。
ただし、規模で首位の信越化学は営業利益6,352億円を稼ぎました。前年比では14.4%減でも、他社を大きく上回る収益力です。成長率と稼ぐ規模は別の勝負となりました。
- 好調
- 日産化学
- 苦戦
- クラレ


営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社は、成長分野への集中や不採算事業の見直しを進めています。
- 信越化学は半導体材料が堅調でした。一方、塩ビ市況の悪化で営業減益です。自社株買いは5,000億円規模で、次期予想は未定としました。
- クラレは約296億円の減損を出しました。2026年12月期は売上高8,500億円、営業利益700億円を見込み、回復を目指します。
- 東ソーは半導体向け水処理装置などのエンジニアリングが好調でした。一方、米国子会社で約196億円の減損損失が出ました。
- トクヤマは半導体材料の販売とコスト改善で営業利益が23.5%増。セメント事業の譲渡を含む事業構造の見直しも進めています。
- デンカは米国子会社の製造停止で収益を立て直しました。次期は売上高4,500億円、営業利益300億円を予想します。
- 日産化学は半導体材料と農業化学品がそろって伸びました。次期も売上高2,897億円、営業利益668億円を見込みます。
順位変化と構造トレンド
売上高と営業利益の首位は、ともに信越化学です。営業利益率でも24.7%で首位を守りました。大規模な基礎素材と高収益の電子材料を持つ強みが、規模と利益率の両方に表れています。
一方、成長率では日産化学が先頭に立ちました。営業利益率も22.7%と高く、売上規模より製品の付加価値が収益力を左右する姿が見えます。トクヤマやデンカも、半導体材料や事業改革が利益を押し上げました。素材の量から高付加価値へ、稼ぎ方の重心が移っています。
業界共通のリスク
- 中国や欧米の需要低迷が続けば、化学品の市況や販売量がさらに弱まります。
- 原燃料価格や為替の変動は、製品価格への転嫁に時間差を生みます。
- 半導体材料の需要が強くても、設備投資の波で出荷が変動する可能性があります。
- 不採算事業の減損や工場停止は、短期的な利益や雇用に影響します。
- セメントなどの事業では、脱炭素対応や環境規制への投資負担が重くなります。
- 高付加価値分野では、海外企業との技術競争や顧客の品質要求が強まります。
就活生・転職希望者へ
半導体材料や農業化学品では、研究開発や品質保証、顧客との技術調整が成長を支えます。日産化学やトクヤマのように、特定分野の需要が業績に直結する企業では、専門性を深める機会が広がりそうです。
一方、基礎化学や事業再編では、工場の効率化やコスト管理も重要です。デンカやクラレの事例からは、成長投資だけでなく、事業を見直す力も求められると分かります。志望先を選ぶ際は、売上規模だけでなく、成長分野と改革の方向を確認したいところです。
タグ#特殊化学#機能化学#化学業界#2026年3月期#半導体材料#AI需要#信越化学工業#日産化学#事業構造改革#決算比較
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