日本オラクル株式会社 の会社詳細
日本オラクル株式会社
日本オラクル
2026年5月期 第3四半期

日本オラクル・2026年5月期Q3、売上・利益ともに過去最高を更新——クラウド事業が前年比34.8%増と急成長

日本オラクル
4716
クラウドサービス
OCI
生成AI
過去最高益
ガバメントクラウド
DX投資
高収益企業
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

2,067億円

+7.1%

通期予想

2,898億円

進捗率71%

営業利益

670億円

+4.4%

純利益

469億円

+4.6%

営業利益率

32.4%

日本オラクルが3月24日に発表した2026年5月期第3四半期(2025年6月〜2026年2月)の決算は、売上高・各利益ともに第3四半期として過去最高を更新しました。企業のデジタル変革(DX)や生成AI活用に向けたIT投資が底堅く、主力のクラウド事業が前年同期比 34.8%増 と大幅に伸長したことが全体を牽引しています。営業利益率は 32.4% と極めて高い水準を維持しており、高収益なビジネスモデルがさらに強固となっています。

トーク

日本オラクル 2026年5月期 第3四半期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

当第3四半期累計期間の売上高は 2,066億7,000万円(前年同期比 +7.1%)、営業利益は 670億2,300万円(同 +4.4%)となりました。純利益についても 469億2,900万円(同 +4.6%)と、全ての主要指標で前年を上回る着地となっています。

好調の背景には、国内企業によるシステム更新需要や、デジタルデータを活用した業務効率化への強い意欲があります。特に、同社が推進するクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure (OCI)」や生成AI関連のソリューションが、ガバメントクラウド(政府共通のIT基盤)への採用や民間企業の基幹システム移行を通じて大きく普及しました。

指標2025年5月期 Q32026年5月期 Q3前年同期比
売上高1,928億円2,066億円+7.1%
営業利益642億円670億円+4.4%
経常利益647億円677億円+4.6%
四半期純利益448億円469億円+4.6%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力の「クラウド・アンド・ソフトウェア」セグメントが売上の約86%を占め、成長の柱となっています。中でも「クラウド」単体の売上高は 606億3,800万円(前年同期比 +34.8%)と驚異的な伸びを見せました。これは既存顧客のオンプレミス環境からクラウドへの移行(リフト&シフト)が加速していることに加え、東京・大阪データセンターの利用量が順調に増加しているためです。

一方で「ソフトウェア・ライセンス」は売上高 316億6,900万円(同 -6.7%)と減少しました。これは顧客の契約形態が従来の買い切り型ライセンスから、月額課金制のクラウド利用へとシフトしているという 構造的な変化 を反映しています。「ソフトウェア・サポート」は高い更新率を背景に 850億4,200万円(同 +1.1%)と安定的に推移しています。

「ハードウェア」セグメントは売上高 101億2,000万円(同 -10.2%)と苦戦しました。最新世代のプラットフォーム「Oracle Exadata X11M」の提供を開始したものの、市場全体のクラウドシフトによるハードウェア単体需要の抑制が響いています。対照的に「サービス」セグメントは、クラウドへの移行支援コンサルティングが堅調で、売上高 192億円(同 +3.5%)となりました。

区分売上高 (百万円)前年同期比構成比
クラウド60,638+34.8%29.3%
ソフトウェア・ライセンス31,669△6.7%15.3%
ソフトウェア・サポート85,042+1.1%41.1%
ハードウェア10,120△10.2%4.9%
サービス19,200+3.5%9.3%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
クラウド・アンド・ソフトウェア1,774億円86%663億円37.4%
ハードウェア101億円5%3億円3.3%
サービス192億円9%45億円23.5%

財務状況と資本政策

資産合計は 3,154億9,300万円 と、前事業年度末に比べ約9億円の微減となりました。流動資産において「関係会社短期貸付金」が 2,120億円(前期末比1,020億円増)に急増していますが、これは親会社であるオラクル・ジャパン・ホールディング・インク向けへの資金貸付の増加によるものです。

純資産は利益の積み上がりにより 1,880億8,100万円(同243億円増)に拡大しました。この結果、自己資本比率は前事業年度末の51.7%から 59.6% へと大幅に上昇しており、財務の健全性は極めて高いレベルにあります。

配当については、現時点では「未定」としています。同社は例年、期末一括配当を実施しており、前期実績は1株当たり190円でした。株主還元の方針については、今後の収益動向を精査した上で決定される見込みです。

リスクと課題

今後の懸念材料として、以下の要因が挙げられます。

  • クラウド移行に伴う売上構成の変化: 買い切り型のライセンス収入から、期間収益であるクラウド収入への移行が進む過程で、短期的には増収率が抑制される可能性があります。
  • 競争環境の激化: AWS、Microsoft Azure、Google Cloudといったハイパースケーラーとのシェア争いが激化しています。同社は生成AIやソブリンクラウド(データ主権を確保したクラウド)戦略で差別化を図っていますが、継続的な投資が不可欠です。
  • 地政学リスク: 経済安全保障の観点から、データの所在や運用主権に対する要求が高まっており、それらに対応するためのコスト増が利益を圧迫するリスクがあります。

通期見通し

2026年5月期の通期業績予想については、期初に公表したレンジ形式の予想を据え置いています。売上高は前年比 +6.0%〜+10.0% の増収を見込んでおり、第3四半期までの進捗(+7.1%)は概ねレンジ内に収まっています。

項目前期実績 (2025/5)今期予想 (2026/5)予想増減率
売上高2,635億円2,793〜2,898億円+6.0〜10.0%
1株当たり利益350.15円490.00〜505.00円-
AIアナリストの視点

日本オラクルの決算は、IT業界全体の潮流である「オンプレミスからクラウドへ」の流れを完璧に捉えた内容と言えます。特筆すべきは、クラウド単体の売上高が前年比3割以上増えている点です。これは、単なる基幹システムの移行だけでなく、AI活用のためのインフラ(GPU環境等)としてOCIが選ばれていることを示唆しています。

営業利益率32%超という数字は、国内ITサービス企業の中でも群を抜いています。人月商売になりがちな日本のSIerとは異なり、ソフトウェア・サポートという安定したリピート収入を基盤にしつつ、クラウドという成長エンジンを加速させる理想的な収益構造を築いています。

注目すべきは「Oracle Alloy」を通じたソブリンクラウド戦略です。外資系ベンダーでありながら、日本国内のデータ主権に配慮した体制を構築したことで、デジタル庁のガバメントクラウド案件を確実に獲得しており、これが公共部門での強固な参入障壁となっています。投資家にとっては、親会社への多額の貸付金という特殊な財務構造はあるものの、そのキャッシュ創出力の高さは依然として魅力的です。