楽天銀行、2027年3月期第1四半期決算、経常利益26%増で通期予想を修正

楽天銀行の2027年3月期第1四半期決算は、経常収益が前年同期比36.3%増の784億円、経常利益が26.1%増の302億円、純利益が24.5%増の209億円と増収増益でした。日銀の利上げを受けた運用利回りの上昇や、口座数の拡大が業績を押し上げました。一方、預金金利の上昇で資金調達費用も増加しており、楽天銀行は直近の業績動向を踏まえて通期予想を修正しました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 784億円 | +36.3% | 3,435億円 | 23% |
| 営業利益 | 302億円 | +26.1% | 1,258億円 | 24% |
| 純利益 | 210億円 | +24.5% | 881億円 | 24% |
| 営業利益率 | 38.5% | |||
この決算のポイント
- 1資金運用収益は前年同期比194億円増え、経常収益の伸びをけん引
- 2口座数は6月末に1,846万口座、単体預金残高は13兆3,656億円に拡大
- 3預金金利の上昇などで資金調達費用は前年同期比83億円増加
- 4通期予想を修正、年間配当予想は0円で前期から変更なし
- 5国内基準の連結自己資本比率は前年6月末の10.68%から11.38%へ上昇
業績のポイント
楽天銀行(楽天銀行株式会社)は、2027年3月期第1四半期に経常収益784億円、経常利益302億円、親会社株主に帰属する四半期純利益209億円を計上しました。前年同期比ではそれぞれ36.3%、26.1%、24.5%増となり、金利上昇と口座拡大が増益を後押ししました。
- 資金運用収益: 前年同期比194億円増の631億円。運用資産の増加と、日銀の政策金利引き上げに伴う運用利回りの上昇が寄与しました。
- 役務取引等収益: 前年同期比15億円増の135億円。口座数の増加や生活口座化を背景に、為替・口座振替・カード関連の手数料が伸びました。
- 資金調達費用: 前年同期比83億円増の193億円。預金残高の増加に加え、普通預金金利を引き上げた影響が出ました。
- 営業経費: 前年同期比37億円増の168億円。人件費、ソフトウエア償却費、業務委託費、広告宣伝費などが増加しました。
運用収益の増加が預金金利上昇による負担や経費の増加を上回り、経常利益は前年同期から63億円増えました。日本銀行は2026年6月に政策金利を引き上げており、利上げは運用利回りを押し上げる一方、預金金利の上昇を通じて調達コストも高めます。今後は、預金金利の上昇をどれだけ貸出金などの運用収益に反映できるかが利益成長の焦点です。
セグメント別動向
楽天銀行グループの報告セグメントは銀行業の単一セグメントです。このため、決算短信にはセグメント別の売上高や利益の内訳は掲載されていません。連結業績の伸びを支えた主な動きは次の通りです。
- 銀行業: 経常収益は前年同期比36.3%増、経常利益は26.1%増。運用資産の増加と利回り上昇に加え、口座数の拡大による手数料収入の増加が寄与しました。
- 台湾事業: 樂天國際商業銀行股份有限公司の経常収益は前年同期比5億円増の15億円、経常費用は6億円増の25億円でした。連結短信では、同社は量的な重要性が乏しいとして独立した報告セグメントに分類されていません。
国内では口座数が2026年6月末に1,846万口座となり、口座を日常的な入出金や決済に使う「生活口座化」が進んでいます。預金基盤と決済利用の拡大は、金利収入だけでなく、振込や口座振替などの手数料収入を積み上げる点でも重要です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業 | 784億円 | 100% | 302億円 | 38.5% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から1,057億円減った一方、貸出金と預金は増加しました。資産の規模だけでなく、預金を基盤とした貸出の伸びや資本の厚みも確認したいところです。
| 項目(億円) | 2026年6月末 | 2026年3月末 | 前期末比 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 164,864 | 165,921 | -1,057 |
| 貸出金 | 61,172 | 59,431 | +1,741 |
| 預金 | 135,415 | 130,469 | +4,947 |
| 純資産 | 4,183 | 3,895 | +288 |
- 自己資本比率: 貸借対照表上の自己資本比率は2.3%で、前期末の2.2%から上昇しました。国内基準で算定する連結自己資本比率は、前年6月末の10.68%から11.38%に上昇しています。両者は算定方法が異なる指標です。
- キャッシュフロー: 第1四半期は四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成していません。このため、営業・投資・財務キャッシュフローの比較はできません。
- 配当・自社株買い: 2027年3月期の年間配当予想は0円で、前期実績も0円です。短信に自社株買いの実施に関する記載はありません。
預金残高の増加は資金調達基盤を広げる一方、預金金利の引き上げは利益を圧迫する要因にもなります。自己資本比率の上昇や貸出金の拡大を確保しながら、預金獲得と運用収益のバランスを保てるかが今後の経営課題です。
通期見通し
楽天銀行は、直近の業績動向を踏まえ、2027年3月期の通期連結業績予想を修正しました。今回の短信には修正前の予想数値や修正額、修正の具体的な理由は掲載されておらず、詳細は同日公表の「業績予想の修正に関するお知らせ」としています。
| 指標 | 今回の通期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 3,434億円 | +34.3% |
| 経常利益 | 1,257億円 | +22.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 881億円 | +20.6% |
第1四半期は増収増益となりましたが、預金金利の上昇に伴う資金調達費用の増加も確認されています。通期計画の達成度を見極めるには、今後の金利動向に加え、運用利回りの上昇が調達コストをどの程度補えるか、口座拡大が手数料収入の伸びにつながるかが重要です。
戦略トピック
楽天銀行は、口座を日常生活で使う機会を増やし、預金基盤とサービス利用を広げる取り組みを進めています。2026年6月末の口座数は1,846万口座となり、前年同期からの増加を背景に為替手数料や口座振替手数料なども伸びました。
- 公金口座振替: 千葉県佐倉市の公金口座振替サービスの取り扱いを開始しました。公共料金や税金などの支払いに使われることで、口座の継続利用を促す狙いがあります。
- 保険商品の拡充: 第一フロンティア生命保険と共同開発したインターネット完結型の一時払個人年金保険「プレミアカレンシー3楽天銀行エディション」を2026年6月に発売しました。
- 口座獲得・預金運用促進: 開業25周年と1,800万口座突破を記念するキャンペーン、円定期預金の特別金利キャンペーンを実施しました。
口座数の拡大に加え、預金や保険などを組み合わせて利用機会を広げる戦略です。生活口座化が進めば手数料収入の安定につながる一方、キャンペーンやシステム・人員にかかる費用も増えるため、利用の定着と収益性を両立できるかがポイントになります。
リスクと課題
第1四半期は金利上昇が運用収益を押し上げましたが、同時に預金金利や経費も増加しました。業績の持続性を判断するうえでは、金利差の変化や貸出資産の健全性にも注意が必要です。
- 金利上昇と預金コスト: 預金金利の引き上げで調達費用が増え、運用利回りの上昇効果を一部打ち消す可能性があります。預金獲得競争が強まれば、利益率への下押し圧力が高まります。
- 貸出資産の信用リスク: 貸出金の拡大に伴い、貸倒引当金や貸出金償却などの与信関係費用が増えるおそれがあります。単体の金融再生法開示では、危険債権が前年6月末の25億円から40億円に増えています。
- 市場・為替変動: 地政学リスクや資源価格、金融市場の変動が続いています。保有有価証券の評価や外貨関連取引の損益が変動する可能性があります。
- 費用増加: 人件費、ソフトウエア償却費、業務委託費、広告宣伝費などが増加しています。サービス拡充や口座獲得の投資が、収益の伸びに結びつくかが課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
5,552円
最新終値(2026/10/23)
5,810円+4.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#楽天銀行#決算#決算分析#四半期決算#2027年3月期#増収増益#利上げ#預金金利#通期業績予想
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コメント
今回の決算は、日銀の利上げが運用収益の伸びに直結した一方、預金金利の引き上げで調達費用も増えるという銀行業の両面が表れています。口座数と預金基盤の拡大は強みですが、口座獲得だけでなく日常利用を収益に結びつけられるかが重要です。
通期予想は修正されたものの、この短信だけでは修正の方向や幅、具体的な理由を確認できません。次の決算では、運用利回りと預金金利の差、手数料収入の伸び、与信費用の推移を合わせて見る必要があります。
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