
りそな、2027年3月期第1四半期決算、経常収益20%増で経常利益も2桁伸長、通期純利益目標を上方修正
売上高
3,600億円
+20.0%
営業利益
1,162億円
+19.3%
純利益
805億円
+14.2%
通期予想
3,300億円
営業利益率
32.3%
りそなの2027年3月期第1四半期決算を分析すると、経常収益は前年同期比20.0%増の3,599億円、経常利益は19.3%増の1,162億円と大幅な増収増益を達成した。日銀の追加利上げを背景に貸出金利息が同31.7%増と急伸し、実質業務純益も955億円と好調。通期の親会社純利益目標を前期比27.6%増の3,300億円に上方修正し、年間配当も8円増の37円を計画する。
業績のポイント
りそな(りそなホールディングス)の2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)連結決算は、2桁の増収増益を達成した。経常収益は前年同期比20.0%増の3,599億82百万円、経常利益は同19.3%増の1,162億3百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同14.2%増の805億26百万円となった。
主因は、日銀の利上げを反映した貸出金利息の急拡大にある。資金運用収益(主に貸出金利息・有価証券利息配当金)は2,351億54百万円(前年同期比29.1%増)。うち貸出金利息は1,651億53百万円(同31.7%増)、有価証券利息配当金も377億85百万円(同43.1%増)と伸長した。一方で、預金利息を中心に資金調達費用は720億15百万円(同41.0%増)に膨らんだが、資金利益(資金運用収益−資金調達費用)は1,631億99百万円と前年同期比24.5%増を確保した。
役務取引等利益も堅調で、548億36百万円(同6.6%増)。信託報酬やクレジットカード関連収益、投資信託販売手数料などが寄与した。一方、市場部門では債券相場の変動により債券関係損益が大幅に悪化し、その他業務利益は84億78百万円の赤字(前年同期は43億49百万円の黒字)となった。経費は人件費や物件費の増加により1,219億89百万円(同6.8%増)へ拡大したが、実質業務純益は955億71百万円(同15.9%増)と2桁増益を確保した。
与信費用は戻し入れ(利益)となり、13億35百万円の戻入(前年同期は9億23百万円の費用)。株式等関係損益も好調で、臨時損益は203億52百万円の利益(同17.4%増)を計上した。この結果、税引前四半期純利益は1,161億2百万円(同19.3%増)に達し、ROE(株主資本ベース)は12.92%と前年同期の11.96%から大きく改善した。
業績推移(通期)
セグメント別動向
りそなグループは主に個人部門、法人部門、市場部門の3セグメントで構成される。今期第1四半期の各セグメントの業務粗利益(セグメント別の粗利益)と実質業務純益の状況は以下の通り。
| セグメント | 業務粗利益(百万円) | 前年同期比 | 実質業務純益(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 個人部門 | 1,467億93百万円 | +39.8% | 820億83百万円 | +87.8% |
| 法人部門 | 1,381億13百万円 | +23.2% | 816億58百万円 | +36.5% |
| 市場部門 | △550億59百万円 | —(赤字拡大) | △572億60百万円 | —(赤字拡大) |
(注)個人部門・法人部門には関連子会社を含む。市場部門は赤字のため前年同期比は省略。
個人部門では、住宅ローンを中心とした貸出金利息の増加と、投資信託・保険販売などの役務取引収益が堅調に推移し、業務粗利益は前年同期比39.8%増の1,467億93百万円と急拡大。実質業務純益も820億83百万円と、前年同期の437億19百万円から大幅増益を達成した。金利上昇による預貸金利差の改善が追い風となり、国内個人預金は39兆6,573億円と前年同期比2,668億円増加した。
法人部門も、国内・海外貸出の拡大と金利上昇の恩恵を受け、業務粗利益は1,381億13百万円(同23.2%増)。実質業務純益は816億58百万円(同36.5%増)と、前年同期の597億69百万円から大幅に伸長した。中小企業向け融資やシンジケートローンなどが貢献し、与信費用も戻し入れとなって業績を押し上げた。
市場部門は、日銀の金融政策正常化に伴う金利上昇で保有債券の評価損が発生し、債券関係損益が139億17百万円の赤字(前年同期は8億99百万円の黒字)と急悪化。これにより業務粗利益は550億59百万円の赤字(前年同期は208億1百万円の赤字)、実質業務純益は572億60百万円の赤字(同224億42百万円の赤字)と赤字幅が拡大した。市場部門の赤字はグループ全体の収益を圧迫するが、事業基盤の個人・法人両部門の伸びでカバーし、連結実質業務純益は増益を維持した。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 個人部門 | 1,468億円 | 64% | 821億円 | 55.9% |
| 法人部門 | 1,381億円 | 60% | 817億円 | 59.1% |
| 市場部門 | -55,059百万円 | - | -57,260百万円 | - |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は77兆79億円と、2026年3月末比7,109億円増加した。主に貸出金が48兆5,156億円(3月末比8,809億円増)と拡大。有価証券も金利上昇による評価損拡大はあるものの、運用残高は増加している。預金(譲渡性預金含む)は63兆5,655億円(同6,492億円減)と微減だが、貸出とのバランスは健全。自己資本比率(参考値)は3.9%と前期末の3.8%から改善し、自己資本額は3兆97億円へ増加した。
キャッシュ・フロー計算書は四半期では非開示だが、減価償却費は93億62百万円と前年同期比で微増。設備投資は限定的であり、営業活動によるキャッシュ創出力は堅調とみられる。
資本政策では、通期の年間配当金を37円(中間18.5円、期末18.5円)とし、前期実績29円から8円の増配を予定している。配当性向の目標は明示されていないが、純利益目標3,300億円に対する配当総額は約830億円(発行済株式数約22億4,500万株で試算)となり、配当性向は約25%と、引き続き安定配当を志向する方針がうかがえる。自社株買いについては今回の決算短信では触れられていないが、自己株式の増加(3月末540万株→6月末633万株)は、従業員持株会支援信託等に関連する動きとみられる。
リスクと課題
企業が認識する主なリスクと課題は以下の通り。
- 金利変動リスク: 日銀の金融政策次第で、債券ポートフォリオの評価損益がさらに悪化する可能性がある。市場部門の赤字拡大はこのリスクを如実に示す。一方、貸出金利回の上昇が収益を下支えする構図だが、急激な金利上昇は信用コスト増加にもつながりかねない。
- 信用リスク: 与信費用は戻し入れとなっているが、先行きの景気減速や中小企業の業績悪化に伴い、不良債権処理額が増加するリスクがある。実際、個別貸倒引当金繰入額は一部で増加傾向にあり、予断を許さない。
- 外部環境の不確実性: 決算短信でも「外部環境に起因する様々な不確実性が存在し、先行き不透明感はますます強まっている」と明記されており、世界経済の減速や為替変動が業績に影響を与える可能性がある。
- 預貸金利回差の動向: 預金金利の上昇が貸出金利回上昇より速い場合、利ざやは縮小する。今期は貸出利回の改善が預金利回上昇を上回り利ざやは拡大したが、競争環境の激化で預金獲得コストが増加すれば収益を圧迫する。
- 株価変動リスク: 株式等関係損益は業績のバッファーになっているが、市場下落時には減益要因となる。政策保有株式の縮減方針も今後の損益に影響を与えうる。
通期見通し
2026年5月12日に公表した連結業績目標を修正し、親会社株主に帰属する当期純利益を3,300億円(前期比27.6%増)に引き上げた。第1四半期の好調な実績と、貸出金利息の増加基調継続を見込んだ修正である。経常収益や経常利益の通期目標は開示されていないが、純利益目標の上方修正は通期の強気な見通しを示す。
配当予想も中間18.5円、期末18.5円の年間37円に増配され、前期比8円の増加となる。想定為替レートや金利水準などの前提は示されていないが、自己株式取得を含めた株主還元の強化が期待される。ただし、市場部門の赤字が年間を通じて続く可能性や、与信コストの顕在化リスクには引き続き注意が必要だ。
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りそなの第1四半期は、日銀の利上げが銀行本業の収益力に明確にプラスに作用した好決算といえる。特に個人・法人の両部門で貸出金利息が急増し、実質業務純益が2桁増益となった点が評価できる。市場部門の赤字は金利上昇局面の避けられない副作用だが、事業基盤の安定成長でカバーできている。
今後の焦点は、追加利上げの有無とそのペースだ。過度な金利上昇は債券評価損をさらに拡大させる一方、預金金利の追随上昇が利ざやを縮小させる可能性も孕む。また、中小企業向け融資の与信コストが景気減速で顕在化すれば、戻入益が剥落するリスクにも注意がいる。
とはいえ、収益構造の改善と配当増額は、投資家にとって好材料。通期純利益目標の上方修正も強気であり、第1四半期だけで進捗率約24%と順調な滑り出しだ。金利のある世界への適応力が、今後のりそなの真価を問うことになるだろう。
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