地方銀行・準大手銀行6社・2026年3月期Q3――「金利のある世界」で収益爆発、横浜FGが利益率で独走
今期の総括
金利復活で本業回帰、M&Aと還元で格差拡大
ゼロ金利時代の終焉が、銀行業の景色を劇的に変えました。日銀の利上げを追い風に、主要6社すべてが大幅増益を達成。特にりそなHDや横浜FGは貸出利息の急増により、稼ぐ力が格段に向上しています。株主還元も過去最高水準へ拡大。本業の復活と戦略の差が鮮明になった、歴史的な決算期といえます。
業界全体の動き:利上げがもたらした「ボーナスタイム」
銀行業界は今、かつてない収益拡大期にあります。共通する要因は以下の3点です。
- 日銀の政策転換(利上げ): 貸出金利が上がり、銀行の本業である「利鞘」が劇的に改善しました。
- 堅調な資金需要: 企業の前向きな投資意欲により、貸出金残高が各社とも大きく伸びています。
- 機動的な資産運用: 国債の売却損を株式の売却益で補いつつ、ポートフォリオの刷新が進みました。
りそなHDは貸出金利息が前年比で1,024億円も増加。業界全体で「お金を貸して稼ぐ」モデルが復活しています。
売上高ランキング
りそなHDが約1兆円の売上で圧倒的首位。地銀勢ではふくおかFGが規模でリードし、各社とも2割前後の増収を記録する活況ぶりです。
売上高 前年同期比
しずおかFG(24.3%増)を筆頭に、あおぞらを除く各社が20%前後の高い伸び。金利上昇が全社のトップラインを一気に押し上げました。
純利益 前年同期比
横浜FGが35.4%増で首位。あおぞら銀行も前年比で大幅増益を記録しましたが、これは前年の低迷からの反動という側面が強いです。
勝者と敗者:効率経営の横浜FG、再起を図るあおぞら
今回の「勝者」は横浜FGです。営業利益率は34.5%と群を抜いて高く、純利益も前年比35.4%増とトップの伸びを見せました。法人向けコンサルとM&A戦略が、高い収益性を支えています。
一方であおぞら銀行は、営業利益が前年比78%増と数字上は急回復しましたが、利益率は13.1%に留まりました。前年の赤字懸念からは脱したものの、他社と比較すると収益の柱を模索している段階といえます。規模のりそなHD、効率の横浜FGという二強構造が鮮明です。
勝者
横浜フィナンシャルグループ
苦戦
あおぞら銀行
営業利益ランキング
全社が大幅増益を達成。特に横浜FGと、規模を活かしたりそなHDが1,000億円超の利益を稼ぎ出し、業界の収益を牽引しています。
営業利益率ランキング
横浜FGが34.5%でトップ。地銀上位校は30%前後を維持する一方、投資銀行へシフト中のあおぞら銀行とは20ポイント以上の差がつきました。
注目の動き:M&Aと経営統合による「新・生存戦略」
金利上昇の恩恵に甘んじず、各社は次の一手を打っています。
- 横浜FG: L&Fアセットファイナンスを買収。独自の融資ノウハウを取り込み、成長領域を拡大しています。
- 千葉銀行: 千葉興業銀行との経営統合に向けた準備を加速。地域シェアを固め、経営基盤を強固にしています。
- あおぞら銀行: 「投資銀行ユニット」が利益の8割を稼ぐ構造へ転換。従来の銀行の枠を超えた専門性を追求しています。
しずおかFGやふくおかFGも大幅な増配を発表。好業績を背景に、投資家への還元姿勢を強めています。
業界共通のリスク:好調の裏に潜む「3つの懸念」
手放しでは喜べないリスクも存在します。
- 資金調達コストの上昇: 預金金利が上がれば、支払う利息も増え、利益を圧迫します。
- 海外不動産・債券リスク: 米国などの金利動向次第で、保有資産に含み損が出る恐れがあります。
- 倒産件数の増加: ゼロゼロ融資の終了と利上げが重なり、企業の貸し倒れが増えるリスクです。
各社は千葉銀行のように、貸倒引当金を積み増すなど、警戒を緩めていません。
就活生・転職希望者へ:銀行は「コンサル」へ進化した
今の銀行は、単にお金を貸す場所ではありません。横浜FGのソリューション営業や、あおぞら銀行の投資銀行業務など、専門スキルが求められる知の格闘場です。業績好調で給与水準も上がっており、高度な金融知識を身につけたい人には、最高の環境が整っています。
