良品計画・2026年8月期Q2、営業利益24.8%増の450億円——海外事業が牽引し通期予想を上方修正、政策保有株は全売却
売上高
4,385億円
+14.8%
通期予想
8,870億円
営業利益
450億円
+24.8%
通期予想
890億円
純利益
343億円
+34.5%
通期予想
620億円
営業利益率
10.3%
株式会社良品計画が10日に発表した2026年8月期第2四半期(中間期)の連結決算は、営業利益が前年同期比 24.8%増 の 450億円 と大幅な増益を記録した。国内外での積極的な新規出店に加え、中国を中心とする東アジアや、タイ・ベトナムが好調な東南アジア事業が収益を大きく押し上げた。同社は業績の好調を受け、通期の営業利益予想を従来の830億円から 890億円 へと上方修正し、同時に保有していた 政策保有株式を全て売却 したことを明らかにした。
良品計画 2026年8月期 第2四半期決算
さくら × けんじ の対話形式解説
業績のポイント
良品計画の2026年8月期中間期決算は、売上高にあたる営業収益が前年同期比 14.8%増 の 4385億49百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同 34.5%増 の 342億62百万円 となり、増収増益を達成した。国内外での店舗ネットワーク拡大が着実に収益へ寄与しており、中間期末時点の総店舗数は前期末比で52店舗増の 1,460店舗 に達している。
利益面では、生産体制の内製化による原価低減や値下げの抑制といった 「収益構造の改革」 が実を結び、営業利益率は前年同期の9.5%から 10.3% へと改善した。また、特別利益として投資有価証券売却益を 23億67百万円 計上したことも最終利益を押し上げる要因となった。同社はこの期間中に保有するすべての政策保有株式の売却を完了させており、コーポレートガバナンスの強化と資本効率の向上を同時に進める姿勢を鮮明にしている。
業績推移(通期)
セグメント別動向
地域別の業績では、すべてのセグメントで増収増益を確保し、多極的な成長が見られた。国内事業は営業収益が 2,443億44百万円(前年同期比 +8.1%)、セグメント利益が 274億95百万円(同 +14.2%)となった。システム障害によるEC販売の苦戦という逆風はあったものの、「無印良品週間」などの販促施策や、郊外の生活圏を中心とした新規出店が功を奏した。
海外事業は、特に東アジアと東南アジアが成長を牽引した。東アジア事業は、中国大陸での大規模なECイベント「ダブルイレブン」の成功や、ヘルス&ビューティー部門の伸長により、セグメント利益が前年同期比 29.0%増 と大幅に伸びた。東南アジア・オセアニア事業では、タイやベトナムでの旗艦店がブランド認知度向上に寄与し、利益は同 47.0%増 と極めて高い成長率を記録している。
| セグメント | 営業収益 (百万円) | 前年同期比 | 営業利益 (百万円) | 前年同期比 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国内事業 | 244,344 | +8.1% | 27,495 | +14.2% | 11.3% |
| 東アジア事業 | 136,061 | +23.3% | 27,565 | +29.0% | 20.3% |
| 東南アジア・オセアニア | 33,117 | +35.4% | 4,854 | +47.0% | 14.7% |
| 欧米事業 | 25,025 | +17.9% | 3,986 | +9.7% | 15.9% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内事業 | 2,443億円 | 56% | 275億円 | 11.3% |
| 東アジア事業 | 1,361億円 | 31% | 276億円 | 20.3% |
| 東南アジア・オセアニア事業 | 331億円 | 8% | 49億円 | 14.7% |
| 欧米事業 | 250億円 | 6% | 40億円 | 15.9% |
財務状況と資本政策
2026年2月末時点の総資産は、前期末比693億円増の 6,321億15百万円 となった。これは新規出店に伴う有形固定資産の増加や、積極的な在庫確保による商品の積み増しが主な要因である。一方で、自己資本比率は 59.6% と前期末から0.6ポイント上昇しており、強固な財務基盤を維持している。
株主還元については、2025年9月1日付で実施した 1株につき2株の株式分割 を考慮した配当方針を維持している。通期の配当予想は1株当たり 32.00円(中間16円、期末予想16円)としており、分割前の基準に換算すると実質的には前期の50円から 64円 への増配となる。キャッシュフロー面でも、営業活動により 439億84百万円 のキャッシュを創出しており、投資と還元のバランスを重視する経営判断が示されている。
通期見通し
好調な中間決算と為替水準の見直しを踏まえ、同社は2026年8月期の通期業績予想を上方修正した。修正後の営業利益は 890億円(前期比 20.5%増)を見込み、過去最高益の更新を視野に入れる。中国を中心とした海外市場での店舗純増ペースの維持に加え、国内でのサプライチェーン効率化による利益率の底上げを継続する方針だ。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正予想 | 前期実績 | 修正幅 |
|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 8,650億円 | 8,870億円 | 7,851億円 | +2.5% |
| 営業利益 | 830億円 | 890億円 | 738億円 | +7.2% |
| 当期純利益 | 585億円 | 620億円 | 508億円 | +6.0% |
リスクと課題
順調な業績の裏で、いくつかの課題も浮き彫りとなっている。第一に システムインフラの安定性 である。国内事業においてシステム障害がEC販売にマイナスの影響を与えたことは、オムニチャネル戦略を進める同社にとって早急な改善が必要な領域である。また、海外事業への依存度が高まる中、地政学リスクや為替変動の影響をより強く受ける構造となっている。
北米事業においては、大寒波などの異常気象が一時的に客足に影響を与えるリスクが顕在化した。さらに、原材料費や物流費の高騰といった外部要因に対し、自社工場を持たないファブレス経営に近い形態の中で、いかに「内製化」を深化させコスト競争力を維持できるかが、中長期的な成長の鍵を握ることになる。
良品計画の決算で最も注目すべきは、単なる増益だけでなく「営業利益率の改善」です。かつて苦戦した国内事業が内製化によって二桁の利益率を確保し、稼ぎ頭である東アジア(中国等)が20%を超える高い利益率を維持している点は、ブランド力の強固さを示しています。
特に、政策保有株式を全て売却したという決断は、外国人投資家を中心とする市場対話を意識した極めてポジティブなシグナルと言えます。従来の「モノ作り」中心の企業体質から、資本効率を重視するグローバル経営体質への脱皮が着実に進んでいる印象を受けます。
今後の焦点は、成長著しい東南アジア市場が、東アジア事業に続く「第二の収益の柱」としてどれほどのスピードでスケールアップできるか、そして国内ECのシステム刷新が早期に完了し、リアル店舗との相乗効果を最大化できるかにあるでしょう。
