エスエムエス、2027年3月期第2四半期決算、増収増益も純利益は税負担で16%減

エスエムエスの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比8.9%増、営業利益は11.7%増と増収増益でした。医療・介護人材の紹介と経営支援サービスが伸びた一方、法人税等の増加で親会社株主に帰属する中間純利益は15.6%減。通期予想は据え置き、年間配当予想は前期比1円増の30.5円です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 364億円 | +8.9% | 718億円 | 51% |
| 営業利益 | 49億円 | +11.7% | 68億円 | 72% |
| 純利益 | 42億円 | -15.6% | 62億円 | 68% |
| 営業利益率 | 13.5% | |||
この決算のポイント
- 1キャリア事業は人材紹介の成長で、売上高が前年同期比7.3%増の232億8100万円
- 2介護・障害福祉経営支援は会員増と有料サービス拡大で、売上高10.8%増
- 3海外事業は売上高12.1%増、セグメント損失は前年同期の9億5600万円から2億8500万円に縮小
- 4通期予想は据え置き、営業利益680億100万円に対する中間期の進捗率は72.1%
- 5年間配当予想は前期の29.5円から30.5円へ増額、自社株取得額は前年同期から大きく減少
業績のポイント
エスエムエス(エス・エム・エス)の2027年3月期中間期は、売上高が364億4400万円(前年同期比8.9%増)、営業利益が49億500万円(同11.7%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が42億1100万円(同15.6%減)でした。本業の増収増益と純利益の減少が分かれた決算です。
- 売上高の伸び: 医療・介護分野の人材紹介で成約が堅調に進み、介護・障害福祉の経営支援サービスも利用事業者や有料オプションが増えました。
- 営業利益の増加: 売上拡大を受けて営業利益は前年同期を上回りました。一方、給与手当や広告宣伝費、業務委託費も増えています。
- 純利益の減少: 法人税等は前年同期の7億5200万円から20億5100万円へ増加しました。税引前中間純利益は増えたものの、税負担が純利益を押し下げました。
- 経常利益の伸び: 持分法による投資利益は前年同期を上回り、経常利益は63億1000万円(同9.7%増)でした。
高齢化で医療・介護サービスへの需要が拡大する一方、働き手不足を背景に、事業者の人材確保や業務効率化のニーズが強まっています。売上高と営業利益がともに伸びたことは主力事業の需要を示す一方、純利益の前年割れは税負担の変化も含めて見る必要があります。
セグメント別動向
3つの報告セグメントはいずれも売上高が前年同期を上回りました。前年同期比の伸び率は海外が最も高く、キャリア、介護・障害福祉経営支援と続きます。
キャリアは売上高232億8100万円、セグメント利益55億6600万円でした。売上高は前年同期比で伸び、AI活用などによるマッチングプロセスの改善が人材紹介の成長に寄与しました。医療・介護従事者と事業者のマッチングを通じ、人手不足や人材の偏在に対応しています。
介護・障害福祉経営支援は売上高71億9300万円、セグメント利益22億6600万円でした。経営支援プラットフォーム「カイポケ」「かべなしクラウド」の会員増に加え、ファクタリングや端末など有料オプションの利用拡大が売上を押し上げました。一方、「かべなしクラウド」の営業体制やマーケティングを強化したため、利益の伸びは売上高を下回りました。
海外は売上高38億3200万円で、セグメント損失は2億8500万円に縮小しました。一部顧客のマーケティング予算縮小や中東情勢の悪化は続くものの、前年同期比では増収となり、赤字幅も縮小しました。
| セグメント | 売上高の前年同期比 |
|---|---|
| キャリア | +7.3% |
| 介護・障害福祉経営支援 | +10.8% |
| 海外 | +12.1% |
売上成長率では海外が先行しましたが、現時点では営業損失が残ります。利益の基盤は、利益を確保しているキャリアと介護・障害福祉経営支援の両事業です。
- キャリア+7.3%
- 介護・障害福祉+10.8%
- 海外+12.1%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| キャリア | 233億円 | 64% | 56億円 | 23.9% |
| 介護・障害福祉経営支援 | 72億円 | 20% | 23億円 | 31.5% |
| 海外 | 38億円 | 11% | -3億円 | -7.4% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は580億9400万円で、前期末から53億1900万円増加しました。営業活動で資金を稼ぎながら、システム開発投資や配当を続けています。
| 項目 | 2027年3月期中間期末・中間期 | 比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 580億9400万円 | 前期末比+53億1900万円 |
| 自己資本比率 | 49.4% | 前期末50.2% |
| 営業活動によるCF | 76億5000万円の収入 | 前年同期は68億8000万円の収入 |
| 投資活動によるCF | 20億5700万円の支出 | 前年同期は23億3800万円の支出 |
| 現金及び現金同等物 | 157億3600万円 | 前期末比+31億8800万円 |
| 年間配当予想 | 30.5円 | 前期実績29.5円 |
| 自己株式の取得による支出 | ほぼゼロ | 前年同期は39億9900万円 |
営業キャッシュフローは増加しましたが、ファクタリング利用事業者の増加に伴う未収入金の増加が資金の押し下げ要因となりました。投資活動の支出は主に「カイポケ」などのシステム開発によるものです。年間配当予想は前期より1円増え、配当予想に変更はありません。
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、4月28日に公表した内容から変更ありません。売上高は前期比11.0%増を見込む一方、営業利益の伸び率予想は0.2%増にとどまります。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 718億3400万円 | 718億3400万円 | +11.0% |
| 営業利益 | 68億100万円 | 68億100万円 | +0.2% |
| 経常利益 | 87億3100万円 | 87億3100万円 | +0.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 61億6500万円 | 61億6500万円 | 記載なし |
中間期までの進捗率は売上高が50.7%、営業利益が72.1%、純利益が68.3%です。営業利益は中間期で通期予想の7割を超えていますが、会社は予想を修正していません。下期の採用・広告などの費用や事業ごとの利益動向を確認し、計画の達成度を見極める必要があります。
リスクと課題
高齢化と人手不足はサービス需要を支える一方、事業運営や顧客企業の経営に影響する課題でもあります。短信で会社が挙げた事業環境上の要因は次の通りです。
- 従事者の不足: 生産年齢人口の減少を背景に医療・介護分野の人手不足が続いています。人材確保ニーズは事業機会ですが、業界全体の人員不足が深刻化すれば、顧客事業者の運営やサービス供給にも影響します。
- 海外の地政学リスク: 中東情勢の悪化がグローバルキャリア事業に影響しています。情勢が長引けば、海外事業の成長や収益改善の足かせとなる可能性があります。
- 顧客の広告予算: 海外のメディカルプラットフォーム事業では、一部顧客のマーケティング予算縮小が続いています。顧客の支出がさらに絞られれば、売上の伸びに影響するおそれがあります。
- 業績予想の不確実性: 通期予想は一定の前提に基づくもので、実際の業績はさまざまな要因で予想と異なる可能性があると会社は説明しています。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/29)
2,509円
最新終値(2026/10/29)
2,509円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/29更新
エスエムエスをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて人材サービス業界の今
掲載11社エスエムエスは人材サービス業界の掲載11社中、売上高で7位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +3.6%全業界 +16.0%
- 今期計画 営業利益
- −0.9%全業界 +11.7%
- 予想の上方修正
- 1社下方 1社
- 営業利益率(業界)
- 6.3%
- エスエムエス+87.3%
- 人材サービス(業界平均)+3.6%
- 全業界+16.0%
- 足元の業績今期第1四半期累計は4社合計で売上高+10.2%・営業利益+24.3%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は4社、下回る企業は1社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは1社、下方修正は1社。修正幅が最も大きいのはメイテック(営業利益+1.5%)。





タグ#エスエムエス#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#介護経営支援#医療人材紹介#配当
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主力の人材紹介と介護事業者向け支援がそろって増収となり、需要の強さが表れた中間決算です。特に「カイポケ」の会員増だけでなく、有料オプションの利用拡大も売上に寄与しており、顧客基盤の拡大が単価上昇につながっている点は注目できます。
一方で、海外事業は赤字幅を縮めたものの黒字化には至っていません。また、営業利益の中間期進捗が高いのに通期予想は据え置かれており、下期の費用や事業ごとの採算が焦点です。純利益の減少は税負担の増加が主因で、本業の利益動向とは分けて評価したいところです。
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