セメント・炭素製品3社、2027年3月期Q1など直近決算で見えた勝者と明暗
3社の直近決算は、売上高がそろって増えた一方、利益の質に差が出た。半導体・AI需要を取り込むニチアスは売上高が16.0%増え、営業利益率も15.5%で首位。太平洋セメントは海外・輸出が支え、東海カーボンは営業増益でも純利益が14.0%減った。成長の源泉が業績を分けた。なお東海カーボンは中間期で、他2社の第1四半期とは期間が異なる。
今期の総括
高機能需要が稼ぐ力を分けた
業界全体の動き
- AI・半導体需要が高機能製品を押し上げた。ニチアスは売上高が前年同期比16.0%増、営業利益が20.7%増。東海カーボンも売上高が9.9%増、営業利益が10.5%増となった。
- 国内セメント需要の弱さは続く。建設コスト高や人手不足が重荷となる中、太平洋セメントは輸出拡大と海外事業で補い、売上高を前年同期比5.1%伸ばした。
- 利益率には大きな差が出た。ニチアスは15.5%で、東海カーボンの8.7%、太平洋セメントの5.2%を上回る。高機能製品の伸びが収益性を支えた。
- 株主還元も強化された。太平洋セメントは100億円の自社株買いと年120円配当を計画。東海カーボンも年40円配当を見込み、従来の30円から増配する。
※太平洋セメントとニチアスは2027年3月期第1四半期。東海カーボンは2026年12月期中間期で、集計期間は異なる。
売上高ランキング
営業利益ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
勝者はニチアスだ。売上高は720億円で3社中最小だが、前年同期比16.0%増と伸び率は首位。営業利益は111億円で、前年同期比20.7%増。営業利益率15.5%も3社で最も高い。
AI投資を背景に、半導体製造装置向けの高機能製品が42.3%増収となった。全セグメントが増収で、特定分野だけに頼らない伸びも強みだ。
純利益面で最も苦戦したのは東海カーボンだ。売上高は1,737億円、営業利益は151億円で、いずれも前年同期比で増加した。一方、純利益は72億円と14.0%減った。カーボンブラックの原料高などが、営業増益を最終利益につなげにくくした。
太平洋セメントは売上高2,219億円で規模首位。売上高の伸びは5.1%と3社で最も小さいが、営業利益は13.9%増、純利益は22.3%増だった。国内需要の弱さを海外と輸出で補った。
- 好調
- ニチアス
- 苦戦
- 東海カーボン

営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
- 太平洋セメントは輸出と海外事業を伸ばし、国内需要の減少を補う。100億円の自社株買いに加え、年配当を前期比20円増の120円とする計画も示した。
- 東海カーボンはAI関連や半導体製造装置向けが追い風となり、通期予想を上方修正した。年間配当も30円から40円へ引き上げる見込み。ただし純利益は前年同期比14.0%減で、下期の利益回復が焦点となる。
- ニチアスは半導体装置向け高機能製品の急伸を受け、通期予想を上方修正した。営業利益率は15.5%で、東海カーボンの8.7%、太平洋セメントの5.2%を大きく上回る。
各社とも成長の取り込み方が異なる。ニチアスは高機能製品、東海カーボンは素材・装置需要、太平洋セメントは海外展開が業績の軸だ。
業界共通のリスク
- 需要の変動:ニチアスと東海カーボンは半導体・AI投資の減速に注意が必要。好調な高機能製品の伸びが続くとは限らない。
- 原材料とコスト:東海カーボンでは原料高が利益を圧迫した。セメント各社もエネルギーや物流の費用を販売価格へ転嫁できるかが課題となる。
- 国内建設の弱さ:太平洋セメントは需要減に加え、人手不足や建設費上昇の影響を受ける。輸出や海外事業の比重が高まれば、現地の政治・経済リスクも増す。
- 利益と純利益のずれ:東海カーボンのように営業増益でも純利益が減る場合がある。原料費や償却負担など、営業利益以外の要因も確認したい。
- 比較期間の違い:東海カーボンは中間期、他2社は第1四半期。季節性や進捗を考慮し、単純な横並び評価は避けたい。
順位変化と構造トレンド
売上高では太平洋セメントが2,219億円で首位。東海カーボンは1,737億円、ニチアスは720億円だった。一方、営業利益率はニチアスが15.5%で首位となり、規模の大きさと稼ぐ力は別の順位になった。
売上高の前年同期比はニチアスが16.0%増、東海カーボンが9.9%増、太平洋セメントが5.1%増。成長率でも高機能製品を持つ企業が先行する。ただし東海カーボンは中間期の数字であり、期間差を踏まえた見方が欠かせない。
就活生・転職希望者へ
同じガラス・土石系でも、仕事の現場は大きく違う。太平洋セメントでは国内インフラや海外事業、東海カーボンでは素材開発や工場運営、ニチアスでは半導体装置向け製品などが成長領域だ。
AI・半導体の追い風を重視するなら、ニチアスや東海カーボンの関連事業が候補となる。一方、景気変動への強さや事業の幅も見たい。太平洋セメントの海外展開や、ニチアスの全セグメント増収など、成長源の広さも企業選びの材料になる。
タグ#セメント#炭素製品#ガラス・土石#太平洋セメント#東海カーボン#ニチアス#決算比較#AI需要#半導体#株主還元
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/industry/cement-carbon/2027-Q1

