ITコンサル・開発支援5社、2026年各社決算比較、AI追い風の中で利益の明暗
5社の決算では、AI・DX需要が売上を押し上げる一方、利益の伸びには差が出ました。売上成長率トップのSHIFTは営業減益となり、営業利益の伸び率トップはNSDでした。決算期間は各社で異なりますが、伸びる売上が利益に結びつくかが比較の焦点です。
今期の総括
売上成長と利益成長の差が拡大
業界全体の動き
5社に共通する追い風は、企業のDX投資とAI活用です。ただし、売上の伸びが利益に直結するとは限りません。
- AI・DX需要の拡大:NSDは金融ITやDAS事業が伸び、DASの売上は前年同期比29.2%増でした。システナも生成AIの本格実装やデータ活用需要を取り込みました。
- 人材確保が利益を左右:SHIFTは採用活動の正常化で採用費が増え、売上高が前年同期比21.4%増でも営業利益は4.3%減でした。フューチャーも採用費の増加が利益率を押し下げました。
- 高付加価値化で差が出る:フューチャーは営業利益率19.3%で5社中トップでした。受託開発に加え、コンサルや自社サービスの収益力が利益率の差につながっています。
- 決算期間は同じではない:SHIFTは第3四半期累計、フューチャーと電通総研は中間期、システナとNSDは第1四半期です。売上高の絶対額ランキングより、各社の前年同期比や利益率に注目したい局面です。
売上高ランキング
営業利益ランキング
営業利益率ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
営業利益の伸びで最も勢いを示したのはNSDです。第1四半期の売上高は前年同期比9.6%増、営業利益は17.4%増でした。5社中で営業利益の増加率が最も高く、純利益も15.2%増です。金融ITに加え、AI・データ分析などの注力領域が伸びました。
一方、最も苦戦したのはSHIFTです。売上高は前年同期比21.4%増と5社で最も高い伸びでしたが、営業利益は4.3%減、純利益は36.6%減でした。買収したニッセイコムの連結効果が売上を押し上げる一方、採用費や大型案件獲得に向けた費用が利益を圧迫しました。M&A関連費用を除く調整後営業利益も2.1%減で、報告上の減益幅より小さいものの、利益回復は今後の課題です。
利益率では、フューチャーの19.3%がシステナの16.1%を上回りました。SHIFTは9.8%で5社中最低です。売上規模の拡大と、利益を残す力は別の評価軸といえます。
- 好調
- NSD
- 苦戦
- SHIFT


注目の動き・戦略比較
各社はAI需要を取り込みながら、異なる方法で成長を狙っています。
- SHIFT:ニッセイコムの連結効果で売上高は前年同期比21.4%増でした。採用を再び強め、将来の大型案件にも備えています。短期の費用増を、稼働率や案件獲得の改善で吸収できるかが焦点です。
- フューチャー:ITコンサル事業が伸び、ビジネスイノベーション事業も黒字化しました。売上高は前年同期比7.5%増、純利益は13.0%増です。一方、営業利益率は前年同期の19.9%から19.3%へ低下しました。期末配当の無配修正もあり、投資と株主還元の配分が注目されます。
- システナ:生成AIの実装やDX需要を追い風に、売上高は前年同期比5.5%増、営業利益は9.0%増でした。高付加価値領域への人材配置と、継続収入型ビジネスの拡大を進めています。
- NSD:DAS事業の売上高が前年同期比29.2%増となり、全体の営業利益も17.4%増でした。中期経営計画の初年度に、AI・データ分析を成長の柱として成果を出せるかが次の見どころです。
- 電通総研:金融・ビジネスソリューションが伸び、売上高は前年同期比10.5%増、営業利益は15.8%増でした。製造ソリューションの減益を、好調分野の成長でどこまで補えるかが課題です。
業界共通のリスク
需要が強くても、受注を利益に変えるには人材と案件管理が欠かせません。各社の開示内容や業界構造から、次の点に注意が必要です。
- 人件費と採用費の上昇:人材獲得競争が続けば、賃金や採用費が利益を圧迫します。SHIFTの減益やフューチャーの利益率低下にも、採用費の増加が表れています。
- AI投資の収益化:生成AIの導入案件が増えても、開発費や人材育成費を回収できなければ利益は残りません。実証実験から本番導入への移行が続くかも重要です。
- 大型案件の採算管理:案件の遅れや仕様変更は、稼働率の低下や追加コストにつながります。売上成長だけでなく、営業利益率や受注後の採算を確認したいところです。
- 顧客の投資計画の変化:景気や金利、企業業績が悪化すれば、DX案件の延期や縮小が起こり得ます。特定の業界や大型顧客への依存度にも注意が必要です。
- 価格競争と技術変化:生成AIの普及で開発工程が変わると、従来型の人月モデルは単価や需要が変わる可能性があります。各社の差別化と生産性向上が問われます。
順位変化と構造トレンド
売上高の伸び率ではSHIFTが前年同期比21.4%増で首位でしたが、営業利益の伸び率ではNSDが17.4%増で先行しました。電通総研も営業利益を15.8%増と伸ばし、売上成長率の順位と利益成長率の順位は一致していません。
利益率の首位はフューチャーの19.3%で、システナの16.1%が続きます。受託開発の規模だけでなく、コンサルティングや自社製品、データ・AI領域をどれだけ利益につなげられるかが、今後の競争力を左右しそうです。なお、各社で決算期間が異なるため、売上高や営業利益の金額順位は単純比較に向きません。
就活生・転職希望者へ
企業選びでは、売上成長だけでなく、どの領域に人材を投じているかも見たいところです。NSDは金融ITやDAS、システナはAI・DXや高付加価値領域、フューチャーはITコンサルを軸にしています。SHIFTは採用を強めており、事業拡大と人材育成の両面が焦点です。
AIを使う力に加え、業務課題を整理する力や、顧客と要件を詰める力も重要になります。配属先の事業や教育制度、案件の進め方を確認し、自分が伸ばしたい専門性と会社の投資分野が合うかを確かめましょう。
タグ#ITコンサル#システム開発#情報通信#AI#DX#SHIFT#フューチャー#システナ#NSD#電通総研
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