大手不動産デベロッパー5社、2026年3月期比較、成長率と利益率で分かれた勝者
大手5社は売上高と営業利益がそろって増えた一方、純利益は東京建物だけ減少しました。東急不動産HDは純利益が24.7%増と伸び率首位、住友不動産は営業利益率28.3%で首位です。成長の勢いと稼ぐ効率は別の顔を見せました。なお東京建物は2025年12月期で、他4社とは決算期が異なります。
今期の総括
規模、成長、効率で勝者が分かれる
業界全体の動き
今期は不動産市況の追い風が、各社の賃貸や売却を支えました。売上高と営業利益は5社すべてで前年を上回っています。
- オフィス需要の回復が続きました。三菱地所は丸の内の賃貸が好調で、住友不動産は空室率の改善と賃料改定が増益を支えました。
- 物件売却も利益を押し上げました。三菱地所は国内外の売却が進み、東京建物は物流施設やオフィスの投資家向け売却が寄与しました。
- マンション価格の上昇も追い風です。三井不動産と三菱地所は分譲が堅調で、住友不動産も高水準の利益を確保しました。
- ホテル需要も一部企業を後押ししました。三井不動産と東急不動産HDは、インバウンド需要を取り込んでいます。
売上高の前年比は5社平均で5.7%増でした。三菱地所の10.5%増や東急不動産HDの8.3%増が平均を押し上げています。
売上高ランキング
営業利益ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
成長の勢いで目立ったのは東急不動産ホールディングスです。売上高は8.3%増、営業利益は18.6%増、純利益は24.7%増でした。純利益の伸びは5社で最も高く、営業利益率も前年の12.2%から13.4%へ改善しました。
一方、純利益で最も苦戦したのは東京建物です。営業利益は20.2%増と5社で最も伸びましたが、純利益は10.6%減でした。前期にあった政策保有株式の売却益の反動が主因です。本業の営業利益は伸びており、事業全体の失速とは言い切れません。
利益の伸びと最終利益は別物です。東京建物は営業利益率20.2%で住友不動産に次ぐ一方、純利益の前年比では5社中唯一のマイナスでした。決算期も東京建物は2025年12月期で、他社との単純比較には注意が必要です。
- 好調
- 東急不動産ホールディングス
- 苦戦
- 東京建物


営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社の強みは、稼ぎ方の違いに表れました。
- 三井不動産は、賃貸の安定収益に都心マンションとホテルを組み合わせました。売上高は3.2%増、純利益は12.0%増です。
- 三菱地所は、丸の内の賃貸基盤に物件売却を重ねました。売上高は10.5%増で5社首位。自社株買いは500億円を上限とし、発行済み株式の1.65%を上限とする計画です。
- 住友不動産は、東京のオフィス賃貸を成長の軸に据えています。営業利益率は28.3%で5社首位。営業利益も10.2%増えました。
- 東京建物は、物流施設やオフィスの開発・売却が利益を押し上げました。営業利益は20.2%増。次期年間配当は122円とする方針です。
- 東急不動産HDは、渋谷圏のオフィスに仲介やホテルを組み合わせました。営業利益は18.6%増、純利益は24.7%増です。
安定収益に売却益を重ねる戦略が、各社に共通する成長の形です。ただし、賃貸を軸にする住友不動産と、売却や周辺事業も伸ばす各社では、利益の出方が異なります。
順位変化と構造トレンド
売上高と営業利益の首位は、ともに三井不動産でした。売上高は27,097億円、営業利益は3,978億円です。前年比もそれぞれ3.2%増、6.7%増でした。
利益率では住友不動産が28.3%で首位です。東京建物は20.2%、三菱地所は18.9%と続きます。規模の大きさだけでは、効率の順位は決まりません。
成長率では東急不動産HDが純利益の伸びで先頭に立ちました。三菱地所は売上高の伸びで首位です。規模、成長、効率の三つ巴となり、単一の指標だけでは各社の強さを測れない決算でした。
業界共通のリスク
好調な決算でも、各社には共通の課題があります。
- 金利上昇は、開発資金の調達費用や不動産価格に影響します。物件売却の採算にも注意が必要です。
- 建設費や人件費の上昇は、新規開発の利益を圧迫する恐れがあります。工期の遅れも収益化を後ろ倒しにします。
- 物件売却への依存が高まると、市況や買い手の投資意欲に左右されます。売却時期のずれも業績変動につながります。
- オフィス需要の回復が鈍れば、賃料改定や稼働率の改善が止まる可能性があります。特定エリアへの集中にも目配りが必要です。
- ホテル事業は訪日客の需要に支えられています。景気や国際情勢の変化で、宿泊需要が揺れるリスクがあります。
就活生・転職希望者へ
不動産大手の仕事は、ビルを保有するだけではありません。開発、賃貸、販売、運営、物件売却まで、事業の幅が広がっています。
三井不動産や東急不動産HDは、ホテルや仲介を含む複数事業に関わる機会があります。住友不動産はオフィス賃貸が強く、三菱地所は丸の内を中心とした街づくりが特徴です。東京建物では物流施設など、物件の開発と売却を担う役割もあります。
投資家は、売上や利益の伸びだけでなく、賃貸収入の安定性と売却益の割合も確認したいところです。就活生は、希望する会社の稼ぎ方と、自分が携わりたい仕事が合うかを見比べるとよいでしょう。
タグ#不動産デベロッパー#不動産業界#2026年3月期決算#三井不動産#三菱地所#住友不動産#東京建物#東急不動産HD#オフィス賃貸#インバウンド#物件売却
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